解説 | ハングル発音:パスニ 意味:男性アイドル(またはアイドル性のある俳優の)の熱狂的なファン 解説:年配の男性はこの言葉の意味を聞くと、おそらく半分以上は歓楽街で働く女性を卑下して呼ぶ言葉だと答えることでしょう。かつてはビアホールやウィスキーやカクテルを売る酒店をバー(Bar)と呼んでいたので。 当時のことを思い出すならば、パスニ(=빠순이)はバー(=바)+スニ(=순이)になる。なぜよりによってスニという名前がついたのか疑問だ。韓国語でスニという名前自体、やや田舎くさい印象を与えるからだ。ダサい印象まである。ソウルに上京して仕事を見つけられず、バーで働くようになったというストーリーが聞こえてくるようだ。決してスニは、良い意味で使われる言葉ではない。笑い物にして見下げるような言葉だ。田舎から都市に出てきて工場(=공장 / コンジャン)で働いている女の子たちも「コンスニ(=공순이)」と呼ばれていた。 その言葉が最近になって、完全に別の意味を持つようになった。好きな芸能人を極度に追いかける女性ファンを意味する言葉になったのだ。オッパ部隊(오빠부대)からオッパスニ(오빠순이)を経て、パスニ(빠순이)という言葉になった。歌手だけでなく、運動選手や俳優などを追いかける女性も同じ言葉で呼ばれる。 噂によれば、1990年代後半にムン・ヒジュンという歌手のファンに対して彼を嫌いなアンチがつけたという。言葉の由来になった経緯が、この言葉が決して良い意味ではないことを教えてくれる。実際この言葉は、10代の女子学生らの間で主に使用され、スターの家の前で夜を明かしたり、会場がどんなに遠くにいても必ず訪れる執拗さを見せるため、スターたちも少し負担になるファンと言えるだろう。 パスニに軽蔑的な意味があることを知らず、むやみに口にして大変な苦労をした政治家もいる。大統領候補が女子校を訪問して講義をするとき、自分はヌルグンオッパ(늙은 오빠 / 年老いたお兄さん)、ヌルパであるとし「皆さんを見ていると明朗で、パスニ部隊が多いようだ」と冗談を言ってしまい、彼が所属する党から記者に記事を書かないでくれと懇願するような事態が起きたりもした。 狂信的な10代の男性ファンをパドリと呼ぶのだが、トリという言葉も、スニと同様に、卑下する意味が込められている。工場に通う10代~20代の青年たちをコンドリと呼んでいたからだ。最近では、パスニの代わりに「パクスンヒ(박순희)」と遠まわしに表現したりもする。 |