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崖っぷちのYG「ヤン・ヒョンソク王国」

  • 「ソテジ・ワ・アイドゥル(ソテジと仲間たち)」のメンバーとして出発し、韓国歌謡界最高の芸能企画会社の柱となった梁鉉錫(ヤン・ヒョンソク)前YGエンターテイメント代表プロデューサー(50)。彼は去る17日、性売買斡旋の嫌疑で被疑者の身分になり、警察の捜査を受けている。すでに所属芸能人の相次ぐ麻薬・性スキャンダル事件への関与でひとしきり非難を受けた彼は先月、YGの代表プロデューサー職からも辞した。彼の名前を取って設立されたYG(ヤングン)に危機が訪れてきたことはもちろんだ。ヤン・ヒョンソク王国はなぜ崖っぷちに追い込まれたのだろうか。



    ◆ アーティスト型アイドル、自由と放縦の間

    男性アイドルに求めてられていたものは外貌とパフォーマンスがすべてだった時期に、ヤン・ヒョンソクが取り出したカードはBIGBANGだった。

    2006年にデビューしたBIGBANGはリーダーのG-DRAGONが相当数の歌の作詞・作曲に参加しており、「アーティスト型アイドル」の始まりを告げた。以後、YGを通り過ぎたほとんどのアイドルは創作に頭角を現わして、YGアーティスト集団としてのアイデンティティを確かにした。創造性に力点を付けた歌手たちは、海外でKポップの位相を一段階高めたという評価を受ける。

    しかし彼らは自由と放縦の間できわどい綱渡りをしながら、物議をかもすこともした。BIGBANGのG-DRAGONとT.O.Pから2NE1のパク・ボムにプロデューサーKUSHまで、YGの所属芸能人は常に麻薬投薬論議に悩まされてきた。

    音楽評論家のファン・ソノプ氏は、「YGの内部にアーティストの作品活動のためには逸脱してもいいという雰囲気が広がっていたとみられる」とし、「有名税を払うアイドルがストレスを緩和する方法がなかったのに、自由奔放な会社の雰囲気の中で薬物まで手を伸ばすことになったと推測される」とした。



    ◆ Kポップを導いたが、Kポップ情緒に無知だった

    問題を大きくしたのは、それぞれの事件に向き合う会社の対処法だった。 YGは所属歌手が事故に絡まれるたびに「一罰百戒」する代わりにすばやくもみ消すほうを選んだ。ファンは苦境に陥ったアーティストが再び活動する姿をすぐに見ることができてよかったが、彼女・彼らの自粛を期待していた大衆は「YG薬局」という別名を付けてしだいに背を向けた。

    特に今年に入ってYGがBIGBANの元メンバーV.Iの「バーニングサン事態」を扱った態度は、会社に対する信頼度を墜落させる決定打になった。去る2月のV.Iの性接待疑惑が初めて浮上したとき、YGエンターテイメントは「フェイクニュースをはじめとするデマ拡大と再生産など、一切の行為に対して法的に強硬対応する」と線を引いたことがある。

    しかし証拠が重ねて明らかになったうえに、ソウル警察庁知能犯罪捜査隊がV.Iを売春斡旋など7つの容疑で検察に送致し、ファンの間ではYG不買運動まで行われるようになった。

    挙句の果てにはYGの後発アイドルグループ「iKON」のB.IまでLSD服用疑惑に包まれて先月、ヤン・ヒョンソク氏はYGの代表プロデューサーの席を降りることになる。

    ところが今回、YGの象徴であるヤン・ヒョンソク氏さえもが警察の調査を受けることになり、所属芸能人の管理の問題という次元ではなく、「YG帝国」そのものがまな板に上がった状況だ。

    音楽評論家のチョン・ビョンウク氏は、「企画社で個人の自律性を重要視する雰囲気は望ましいが、わが国の歌謡ファンたちはアイドルを保守的に消費する傾向が強い」とし、「YGは市場の特性に合わない戦略を広げたもの」だと見た。音楽評論家のハン・ドンユン氏は「個人主義を強調する海外では芸術と私生活は別物と見る反面で、韓国は伝統じたいが西洋とは異なる」とし、「最近は芸能人が続々と問題を起こすので道徳性をより重視することになったが、YGはこれに合わせずにファンに失望を残した」とした。

    ◆ 音楽に集中できない無理な事業拡大

    今回の事態で危機に直面することになった企業は、YGエンターテイメントだけではない。現在、YGエンターは上場企業のYGプラスをはじめ、21の子会社と孫会社を保有している。 テレビ番組制作やモデル、飲食、ゴルフ、化粧品まで、多彩な関連会社が全て「ヤン・ヒョンソク王国」で結ばれて、大衆からきゎれているのが実情だ。 YGプラスは1年で株価ががた落ちした。

    歌謡界ではこのように多角化した事業領域がYGリスクの影響を受けているだけでなく、危機の根本的な原因であったと見ている。本業に集中できないままタコ足式に事業を拡大したところ、企業アイデンティティだけがかすかになったというものだ。

    実際に大衆音楽以外の事業では、YGは明確な成果を出せなかった。芸能制作部門はこれを示す良い事例だ。昨年、野心満々で出した「チャッカゲサルヂャ」「YG戦略資料本部」」は苦戦を強いられただけでなく、これまで所属事務所に提起された麻薬投薬疑惑などをギャグ素材として活用したことでむしろ世論の非難を加えた。

    事業を無理押しで増やしていく中で、手段と方法を動員せずにはいられないほど切迫し、性接待や公権力買収などの疑惑まで受けたのではないかという指摘も出ている。

    大衆文化評論家のキム・ホンシク氏は「オーナー中心の脆弱構造に、専門的な経営管理能力が不足した」とし、「株価を上げるための無理な拡張のみが行われた」と評価した。

    ◆ 制作ノウハウを土台に回復可能か

    YGが過去の名声を取り戻すことができるかについては意見が分かれている。一方では、YGのブランド価値が底まで落ち、もはや正常な事業は難しいだろうという予測が出ているが、それにもYGの歌手発掘

    YGが過去の名声を取り戻すことができるかについては、意見が分かれている。それでもYGの歌手発掘・育成能力は相変わらずだという分析も存在する。

    イ・ハイと楽童ミュージシャンのファンを中心に起こる「契約解約」要求は、YGが回復不可能である方を代表する声だ。彼らは問題を起こしたことのない歌手が、YGに所属しているという理由だけで被害を受けると憤慨している。

    ハン・ドンユン評論家は、「コメントを見るとYGの歌手に、所属事務所からすぐに出るようにという意見が多い」とし、「ヤン・ヒョンソク元代表プロデューサーが受けている疑惑が事実として明らかになった場合、会社の維持は難しいようだ」と予想した。

    反騰が可能だという見る側は、YGがこれまで積み重ねたKポップ作りのノウハウを中心に刷新しなければならないと注文する。

    チョン・ビョンウク評論家は、「キューブエンターは主力グループが活動を中断した後、会社が揺れるという懸念があったにも拘わらず、PENTAGONや(G)I-DLEを成功させた」とし、「YGもしばらくは低迷期を経験するだろうが、新しいアイドルをどのように育てるかによって、長期的に存続することができるだろう」と予想した。

    某エンターテイメント会社の取締役は、「未曽有の事態を迎えたにもかかわらず、株価をこれほど維持できるのはBLACKPINKやWINNERなどのアーティストへの期待感が残っていることを示している」とし、「専門経営体制を土台にした根本的な変化が与えられるならば、やがて回復することができるだろう」と述べた。
  • 毎日経済_パク・チャンヨウン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2019-07-20 10:40:27