記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
カルチャー > カルチャー

1時間のあいだ「自分の話」を語る写真館へ行ってみた…イオジンプレース

    イオジンプレースのシム・ヨンソプ代表(右)とフォトグラファーオ・ビョンファン氏

    ソウル市陽川区木洞の写真館がさいきん静かにうわさに乗って、訪れる人が続いている。昨年の8月から人々をフィルムにおさめはじめたというこの写真館は、自分が知らなかった自分自身を発見するというコンセプトの「自分を見つける写真館」だ。

    この写真館は昨年11月、各界の著名人がさまざまな分野を講義する「人生学校」とのコラボレーションを行い、多少は有名になった。 5万5000ウォンというちょっと高価な価格と1時間という時間が必要だが、半年の間に約120人が訪れた。

    [img2平素からゲストを撮る構図と同じ構図で座り、記者の質問に答えているシム代表。[/img2]

    写真撮影を通じて本当に「自分」を見つけることができるのだろうか?手足がかちかちに凍るほどの寒波が襲った24日、寒さを突き抜けて直接ここを訪ねた。

    到着後、ひと息ついてすぐにシム・ヨンソプ代表(39)とフォトグラファーのオ・ビョンファン氏(36)に会った。いまイオジンプレースがあるすぐわきの路地でカメラの販売代理店を運営していた二人は、偶然に「ラウンドミッドナイト」というイベントの写真のコーナーに参加して、今のスタジオを一緒にオープンした。現在、二人は毎週木曜日は人生学校で、残りの曜日は自分を見つける写真館「イオジンプレース」で撮影を行っている。

    • 自分を見つける写真館のアンケート。手のひらほどの大きさのアンケートを作成するのには思ったよりも長い時間がかかる。



    まず一番最初に「意味があって幸せだった瞬間」と「自分が望む自分の姿」という2つの質問に対する答えを作成した。簡単な質問だったが、一度も真剣に考えたことがなかったので、答えを書くのは容易ではなかった。 10分あまりほど「私がいつ何をするときが一番幸せ?」「私はどんな人になろうとこのように生きているのだろうか?」などの究極的な質問が頭の中をぐるぐるとよぎった。

    アンケートの作成後、写真を撮影する椅子に座った。シム代表はカメラアングルの外に座って私と会話を交わし、オ・ビョンファン氏が対話する私を撮る予定だという。私が書いた回答を声を出して読んだ後、シム代表に回答を渡すやいなや、本格的な「自分を見つける対話」が始まった。どこからどこまで話をするか迷っでなかなか口を開かないでいると、「この時間はゲストがお金で買った時間です、気楽に話してください」というアドバイスが聞こえた。そのひと言で瞬間的に心がすっと楽になった。ここを訪れるゲストも多くは「自分の話をする」と心に決めてくるはずで、本音を打ち明けるが負担にはならないという。

    • 記者とシム代表は互いの位置を変えてインタビューを進めた。シム代表が座っている席が、ゲストが座って撮影とインタビューを進める場所だ。シム代表は写真の中の記者が座っている椅子に座ってゲストとの会話を交わす。



    「私はなぜ一人が気楽なのか」「なぜ情熱のある人になろうとしているのか」など、深みのある会話が交わされた。ある瞬間に、わかってはいたが認めたくなかった自分の姿まで明らかになってしまった。ふだん知人には「こんな話をすると、私どう思うだろうか?」と胸の内にしっかりと隠していたが、私の前の二人は私をよく知らない人物だという、わけの分からない安堵感で話がすらすらと出てきた。会話に集中したことから、誰かが休むことなく私を撮っているということも忘れるほどだった。

    • 自分を見つける写真館で撮影した写真はすべてモノクロ写真だ。横顔を撮影した写真や目を閉じている写真など、他の写真館ではあまり撮らない面白い結果が出てくる。



    約40分ほどの会話が終わって結果を確認する番になった。セルカとはまったく異なる「他人が撮った自分の姿」に多少の衝撃を受けた。さきほどの会話が「内面と向き合う時間」だとしたら、今度は「外面と向き合う時間」だった。ふだん自分では見ることのできなかった大笑いする姿はもちろん、おちついた横顔も初めて見た。これは本当に私の姿なのかと適応できなかったが、私の見る自分の姿ではなく、他人が見る自分の姿に直面することができる経験だった。時間がはるかにすぎていたことも知らず、「お金がもったいなくない?」という懸念も消えた。ファイルで受け取ったお気に入りの写真数枚と、プリントした後に額に入る最高のカット一枚を選んですべての撮影が終了した。

    撮影を終えて帰る途中、余韻が残った。一度も考えたことがなかった「なぜこのように暮らしているのだろうか」についてじっくり振り返ってみた。撮影している1時間あまりは、私の学業や仕事ではなく、完全に「私」だけを考えることができる時間ではなかっただろうか。
  • 毎日経済_デジタルニュース局/ノ・ユンジュ研修記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-01-25 16:43:49