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Kポップ、アラブの「表現の自由化」にも寄与するか

    • Kポップアイドルグループの中東地域の公演が相次いでいる。先月、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)がサウジアラビアで、アジア歌手としては初めて開催した単独公演はチケットが3時間で売り切れた。 写真提供=レーベルSJ


    防弾少年団(BTS)は来る10月11日、サウジアラビアの首都リヤドでスタジアムコンサートを開催する。サウジアラビアで外国の歌手がスタジアム単独公演を開催するのは初めてだ。防弾少年団が舞台を繰り広げる「キング・ファハド国際スタジアム」は最大収容人数が6万8000人を超える会場で、地元での「BTS熱風」がどの程度なのかを推測できる。

    韓国アイドルがアラブの市場で影響力を急速に育てている。

    グローバルなシンドロームで大きくなった韓半島の大衆音楽は、世界で一番保守的な中東まで動かしているのだ。一部の国の執権層は自らの保守性を隠すための目的のために文化開放政策を活用しているが、このような目的のためにぴったりのコンテンツがKポップだという分析も提起されている。

    • ビーアイジーは6月に訪韓したサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子とムン・ジェイン大統領が出席した青瓦台公式昼食会に招待された。 [写真提供=ビーアイジーのインスタグラム



    今年は中東諸国の中でもとくにサウジアラビアでKポップが脚光を浴びた。SUPER JUNIORは先月12日、この国の第2の都市ジッダにある「キング・アブドラスポーツシティ」で「SUPER JUNIOR 7S」のステージを披露した。アジアの歌手がサウジアラビアで初めて単独開催した今回の公演には、4000人あまりのファンが集まって足の踏み場がなかった。現地の前売りサイトにはチケット購入に失敗した1万5000人が集まってサーバーが停止した。 「アラブエルフ(SUPER JUNIORファンクラブ)愛している」と叫んだSUPER JUNIORは翌日の13日、一部のメンバーがサウジアラビア「ジェッダシーズンフェスティバル」に登場してまた熱い反応を得た。

    2つのボーイズグループが人気を集めるサウジアラビアは、イスラム国家の中でも社会の進歩が最も遅い側に属する。ワッハービズム(Wahabism/イスラム原理主義)に追従するサウジアラビアは、外国の文化コンテンツの輸入の範囲が狭かったし、女性の運転を禁止するほど女性の人権が低い。変化は2017年に実権を握ったムハンマド・ビン・サルマーン皇太子がもたらした。昨年1月のサッカー競技場に女性の入場を許可したことに続き、同年6月には女性の運転を可能にする女権政策を部分的だが進めている。

    Kポップに門戸を開放することは、国家開発プロジェクト「ビジョン2030」の一環とみられる。石油依存経済から尖端技術と投資の中心地に生まれ変わろうというこのプロジェクトによって、「若いサウジアラビア」イメージを与えるところにKポップが適切なツールだという意味だ。

    韓国イスラム学会長のユン・ヨンス釜山外大アラビーアイジー語科教授は、「中東でKポップとKドラマが人気を呼んだのは、10年前に始まった話だ。これはグローバルな現象で、サウジアラビアやクウェートが他の国に比べて閉鎖的だとしても防ぐことのできない流れ」だとしながら、「サウジアラビアの若者もアラブ首長国連邦(UAE)などの近隣諸国との往来を重ねながら韓流に接するため、若年層が持っている欲求を国が押さることはできなかっただろう」と語る。ユン教授は「サウジアラビアではアメリカ文化にはまだ抵抗感が大きいが、感情的な共感が比較的大きい韓流には寛大な方だ」と付け加えた。

    中東で参入障壁が最高に高いと思われたサウジアラビアのドアが開き、韓国の各芸能企画社はこぞってアラブ市場の攻略に熱を上げている。ボーイズグループ「ビーアイジー(B.I.G)」は、6月に訪韓したムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が出席した青瓦台の公式昼食会に招待された。文在寅(ムン・ヂェイン)大統領と国内財界グループのトップが同席した昼食会に出席した国内アイドルはB.I.Gが唯一だった。秘訣はアラブの有名な曲の「カバー映像」ある。B.I.GがYouTubeにあげたアラブ有名曲のカバー映像は最大で441万回の再生回数を記録し、自分たちのオリジナルの曲よりも高い関心を集めている。コメント欄にはアラビア語があふれている。

    UAEなど比較的開放的な中東諸国では、Kポップの消費が日常化している。EXOは来る10月にドバイ「Walk of Fame」に入城する。EXOは昨年人気曲『Power』がドバイの噴水ショーのBGMとして何度か選ばれて、世界最高の建物ブルジュ・カリファで彼らをテーマに超大型LEDショーが繰り広げられるなど、現地でしっかりとしたファン層を誇っている。年初にはガールグループMOMOLAND(モモランド)がドバイの「免税テニススタジアム」でファンコン(ファンミーティング+コンサート)を開催してファン5000人と会った。新人ガールグループのは最近、モロッコの3YE(サードアイ)が歌手マナルの『Slay』と『Taj』をカバーした映像でアラブのKポップファンを狙った。

    各種のレポートやエンターテイメント専門家らによると、中東の音楽市場は成長可能性が大きい。中東・北アフリカ(MENA)地域の代表的衛星放送事業者であるOSNのデビッド・ブットロック前最高経営責任者(CEO)は、MENAのエンターテインメント業界での著作権侵害は年間5億ドル規模に発生すると述べている。このために市場は日陰から出ているMENAのエンタメ関連の売上げを日の当たる場に引き上げることに関心を持っている。スウェーデンのSpotify(スポティファイ)は昨年11月、バーレーン、エジプト、クウェート、レバノン、モロッコ、サウジアラビア、UAEを含む13カ国のMENA地域に進出した。音源のデジタル化に強いKポップは、現地の音楽市場で急速にシェアを高めている。

    しかしいまだに人権保障レベルが低いサウジアラビアでは、Kポップの歌手が公演を持つことに反対する動きもある。昨年9月の国連総会で防弾少年団のリーダーRMが「誰でも自分の声を出せ」と演説しただけに、少数者の人権を弾圧し表現の自由を保障していないサウジアラビアでの公演はボイコットするべきではないかという指摘だ。実際、世界的なヒップホップ歌手のニッキー・ミナージュ氏は先月18日、サウジアラビアのジェッダで開かれる音楽祭の公演をキャンセルしている。

    ミナージュ氏は「女性の人権、同性愛、表現の自由に対する私の立場を明確することも重要」だとその理由を伝えた。

    ユン教授は「西洋の基準で見たとき、サウジアラビアの人権保障レベルが不十分なのはそのとおりだ」とし、「しかし西欧で男女差別と見るいくつかのポイントが、アラブでは男女の区別とされる」と、文化の違いを理解する必要があると述べた。

    Kポップがアラブ文化圏の少数差別を減らす起爆剤になると予測する見方も存在する。大衆文化評論家のキム・ホンシク氏は「サウジアラビアでは女性の文化芸術の自由を抑圧しているが、防弾少年団を通じてそれがある程度解けるだろう」とし、「他の国の大衆歌謡に比べ、Kポップは健康な歌詞でアラブで好まれるので、このような部分を積極的に活用すれば拡散に有利だろう」と述べた。
  • 毎日経済_パク・チャンヨン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2019-08-16 23:39:19