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「品位のある彼女」キム・ソナ「ボクジャとして生きるためキム・ソナを忘れた」

    放送してからいつのまにか12年が経ったにもかかわらず、俳優キム・ソナが出演したMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』は、いまだ多くの人々の「人生ドラマ」として記憶されている。一緒に呼吸を合わせたヒョンビン、チョン・リョウォン、ダニエル・ヘニーなど主演・助演俳優たちをスターダムへと押し上げただけでなく、キム・ソナに「ラブコメクイーン」という修飾語を抱かせたという点で意味のある作品だ。

    『私の名前はキム・サムスン』を演出したキム・ユンチョル監督がキム・ソナに渡した『品位のある彼女』はまた再びの人生作を予告して俳優本人はもちろん視聴者の期待を高めた。今度はラブコメディではなかった。止まることを知らない貪欲によりついには殺されたパク・ボクジャに扮したキム・ソナを最近ソウル市江南区論峴洞にあるカフェで会った。

    「パク・ボクジャが殺されるシーンで始まるでしょう。とてもユニークだと思いました。そして死んだパク・ボクジャがナレーションをするのも魅力的だと感じました。これまでのドラマとは違うと思いました。演技する時は死ぬことは考えずに始めました。死んだのは結論であり、遡って丁寧に流れが説明されるでしょう。パク・ボクジャが親に捨てられて苦労して生きて、中間には刑務所にも行って来ます。そしてアン・テドンの家に入って自分の居場所を獲得した時の行動のすべてがです。だからパク・ボクジャの結末が私には重要ではありませんでした」

    アン・テドンの介護者として家の中に入ってきたパク・ボクジャは忠清道の方言を駆使して「会長の健康以外には何も関心がない」と話す。しかし、アン・テドンがいない場所では標準語を使い、アン・テドンと再婚して子供を産みたがり、テソンパルプの副会長となったものの会社を売却して逃走した。数カ月間パク・ボクジャとして生きたキム・ソナもやはり「混乱した」と明らかにした。

    「方言を使うことさえも嘘なのか本当なのかすら分かりませんでした。本当のボクジャの考えが何であるか分からないから疑問符をめぐってひとりで悶々としながら演技をしなければなりませんでした。序盤、監督とさまざまな話をしながら質問も多く投げかけたのですが、後には質問を辞めました。私はどうせ答えを知らないし、どの線までが正解なのか分からなかったんです。ところが、最後になってボクジャが、どうして逃げたのかと質問してきたウ・アジンに言います。奪われるかもしれないと恐れて逃げていったと。ところが逃げてもホテルだというところがとても無様でした。ある面ではウンギュと似ていると思いました」

    父に無視されるアン・ジェグ(ハン・ジェヨン扮)の一人息子アン・ウンギュ(イ・ゴヌ扮)は劇中、キャラクターが深く描かれていないものの、それ自体ですべてのことを理解することができた。内気な性格で部屋の中に閉じこもって勉強だけをして、母親のパク・チュミ(ソ・ジョンヨン)とパク・ボクジャとの争いにより家から追い出されたのに、反抗を一度もせずにウ・アジンのもとを訪ねるだけだ。キム・ソナはアン・ウンギュがパク・ボクジャとは異なり豊富に育ったが、両親や友人もなく孤独に生きたパク・ボクジャと同じように感じたのだ。

    「『品位のある彼女』は誰にでも必要なのは愛だと語っているようで好きです。大韓民国の上流、下流層のことを話すのに最終的に私たちが生きていくことを扱っているんです。人はぶつかりながら他人の手が必要であり、また、誰もが必要なのは愛なのではないでしょうか。これが台本で語ろうとされていることのようです」

    劇中パク・ボクジャは他人と話をして心配事を打ち明けたりはしない。ドラマの末尾になってようやくウ・アジンに少しの本音を告白するだけだが、他のキャラクターに比べて孤独な人物だ。キム・ソナは孤独なパク・ボクジャを演じるために、実際に周りの人との接触を自制し、キャラクターに没頭した。

    「ボクジャとして生きるために少しの間キム・ソナを忘れました。率直に言って数年以上を過ごした友達でも性格と状況をすべて知ることができないでしょう。ところが私は何年も生きた人物を演じなくてはいけないので、単純にはできないと思います。だから作品をする時は個人の生活をたたみます。それが私自身を本当に孤独にしたとは思います。見方を変えると愚かに見えるかもしれません。しかし、すべてを手に入れることはできません。誰かの人生を生きる時、それでもその人に対して申し訳ない気持ちを減らそうとしたら、私の友達と遊ぶ時間を減らさなくてはいけません。私は私が足りないからそうなんだと思います。 『こんな風にでも集中しなくては』と思うんです。ただ最低限の礼儀を守るのです。私の信念のようなものです」
  • シックニュース キム・ジヨン記者 / 写真=C-JeSエンターテイメント提供 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-09-03 08:58:00