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韓ツールジェン、「遺伝子はさみ」技術で海外特許33件


    ソウル市の加山デジタル団地駅近くのビョクサンデジタルバレービル。この建物の12階には遺伝子治療剤と種子開発本部などになった230坪(760平方メートル)のスペースに、第3世代の「クリスパー遺伝子はさみ技術」で有名なツールジェン(ToolGen)社の研究所が位置している。ここでは遺伝子の突然変異によって運動と感覚神経が損傷する「シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease/CMT)」などのさまざまな希少疾患に対し、遺伝子はさみ技術を活用した治療剤を開発している。

    ツールジェンは最近、全世界のバイオ市場で最もホットな分野の一つである「遺伝子はさみ」で珍しい特許技術力を保有して、「グローバルナンバー3」に上げられる企業だ。昨年、クリスパー遺伝子はさみ技術がノーベル化学賞を受賞し、国内外の関心はよりいっそう熱くなっている。

    遺伝子はさみは珍しい疾患などを引き起こす突然変異遺伝子を除去し、通常のDNAをつけて遺伝子がほんらいの機能どおりに動作するように修正するものだ。クリスパー遺伝子はさみは「生命工学系の革命」と呼ばれるほど、人類が治療できなかった疾患を治療するために有用な技術として評価される。新しい技術であるだけに特許使用許可を受けなければならず、生命倫理の制約のために商業化された治療剤の開発は遅れている方だ。このことから、遺伝子はさみ技術の将来価値だけでも数兆ウォン台に達するという評価だ。

    ツールジェンのキム・ヨンホ代表は「クリスパー遺伝子はさみ技術を保有している会社は国内ではツールジェンが唯一で、世界でも私たちを含めて米国UCバークレーとブロード研究所の3社がすべて」だとし、「最尖端のバイオ分野で国内企業が米国と肩を並べることができる数少ない分野」だと強調した。

    国内ベンチャー企業が次世代バイオ技術とされる遺伝子はさみで世界が認める高い技術力を備えたのは、1999年にツールジェンを共同創業したキム・ジンス基礎科学研究院(IBS)誘電体矯正研究団首席研究員(博士、前ソウル大学化学部教授)がそうそうに遺伝子校正分野に飛び込んだからだ。

    キム博士は米国留学時代、現地で分子生物学教授らがベンチャー創業に乗り出すことを見て、当時はまだ国内では聞きなれない遺伝子はさみで創業を決意した。先だって第1~第2世代の遺伝子はさみ技術に倒して一部懐疑的な見方も多かったが、キム博士は遺伝子はさみ技術こそ今後の遺伝子時代が到来するとバイオ市場を変える主導的な技術だと判断し、ただひとつの井戸を掘り続けた。多くは既存の遺伝子はさみ技術の精巧さと効率不足をあげて可能性は小さいと保留したが、ツールジェンは愚直に一本道を歩んだ。

    ツールジェンは2000年代初頭に人間誘電体の約2000個のジンクフィンガータンパク質(zinc finger/JFN)のうち、特定遺伝子の塩基配列のみ結合する約50個を選んだ。ジンクフィンガーはタンパク質の立体構造が指の形に似ているとして付けられた名称だ。キム博士はジンクフィンガータンパク質を素材として「遺伝子スイッチ」と呼ばれるDNA結合タンパク質を作ることができる、第1世代の遺伝子はさみ技術を初めて開発した。

    その後、ツールジェンは第2世代ターレン遺伝子はさみ技術の開発に着手して2010年に完了した。第2世代の遺伝子はさみ「ターレン(TALEN)」は3つの塩基配列に1個ずつ結合するジンクフィンガーとは異なり、1つの塩基配列に1つだけ結合することができることから精度が高い。

    ツールジェンはその後、2012年の第3世代技術であるクリスパー遺伝子はさみまで開発することに成功した。希望する遺伝情報の位置にどれだけ近い遺伝子はさみを使用できるかどうかを意味する「精巧性」と、遺伝子ハサミが目標としていない他のDNA配列には触れることなく特定部位を切り取る「特異性」は、さらに進化した第3世代のクリスパー最も上回っている。

    ツールジェンが遺伝子はさみでグローバルビッグ3となったもう一つの背景は、保有している遺伝子ハサミに関連する特許を迅速に出願したおかげだ。ツールジェンがいままで確保した遺伝子はさみグローバル特許は計33件に達する。

    ツールジェンが世界最高の遺伝子はさみ技術を保有しているのは、最初から徹底した特許管理の努力を傾注したおかげだという評価だ。現在、ツールジェンはシャルコー・マリー・トゥース病、黄斑変性、血友病などに使われる治療薬を開発中だ。この中で最も進んだのはシャルコー・マリー・トゥース病の治療法だ。今年、米国での公式臨床を開始する予定だ。 1年ほどのあいだ前臨床を経た後に順次、臨床1~3相に入る計画だ。
  • 毎日経済_キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2021-01-19 20:52:40