記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > FOCUS

韓国は最大の武器輸入国…トランプ大統領、知りつつ「おとぼけ」

    ドナルド・トランプ米大統領は先月30日(現地時間)、韓・米首脳会談で韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉を要求して乗り出して、主務部処である産業通商資源部に赤信号が灯った。トランプ大統領とウィルバー・ロス商務長官は韓米FTA締結後、米国の貿易赤字は2倍以上に増え、自動車と鉄鋼業界を指摘して不公正貿易の是正を要求した。

    しかしこのような米国側の主張は、かなりの部分が誤解だというのが韓国政府と業界の説明だ。韓米FTA再交渉の可能性が高まっただけに、韓国の対米黒字縮小の努力を米国側に積極的に知らせ、洗練された対応論理を用意しなければならないという指摘だ。

    トランプ大統領が韓米FTAと関連して誤解している争点を分析してみる。

    ▶ 米国に手荒い協定(Rough Deal)?

    トランプ大統領は韓・米首脳会談の過程で、韓米FTAについて「手荒い(Rough)」協定だと表現した。去る4月の「恐ろしい(Horrible)」協定に続き2回目で、極端な表現で韓米FTAの評価を切り下げたわけだ。トランプ大統領の主張には韓米FTAによって米国だけが損をしているという認識が敷かれている。しかし、これは明らかに誇張されたものだ。

    韓米FTA発効前の2011年、韓国の対米商品収支の黒字は116億4000万ドルだったが、昨年は233億ドルで100%増加した。一方、米国が強みを持っているサービス収支は、(米国の統計基準で)同じ期間に109億ドルから143億ドルに黒字幅を33%増やした。もちろん総交易収支(商品収支―サービス収支)の面で韓国がより多くの利点を得たという分析は可能だ。

    ここには韓・米間貿易の核心である武器の取引が抜けている。韓国は対米貿易黒字を軽減するために韓米FTA締結以後、安全保障の理由を掲げて貿易統計には現れない米国産兵器の輸入を大幅に増やしたことを、知っていながら知らないふりをしているという指摘だ。

    韓米FTA発効前の2011年、韓国が米国から輸入した武器体系は6762億ウォンに過ぎなかったが、FTA発効後は2015年まで年平均5兆ウォンに迫る。

    防衛事業庁によれば、2016年に韓国派米国から約6兆ウォン(50億ドル)以上の武器を購入するだろうと予想される。これを勘案すれば、昨年に韓国が米国との交易を通じて得た黒字の規模は、トランプ大統領が主張する200億ドル以上ではなく40億ドルにすぎない。チョン・インギョ仁荷大学副総長は、「貿易統計には現れない武器輸入額を勘案すれば、両国の貿易収支格差は事実上大きな差はない」とし、「決して米国が一方的に損をする構造ではない」と指摘した。

    特に韓国は今年に入って、対米黒字の縮小に拍車をかけている。今年の上半期の対米貿易黒字は81億6000万ドルで、前年同期よりも37.9%急減した。このような減少は、主要対米貿易黒字国の中で最も大きい幅だ。このままなら米国の為替操作国指定要件の一つである「貿易黒字200億ドル」の基準を避けることができると思われる。

    ▶ 自動車・鉄鋼の輸出、今年に入って減少

    トランプ大統領は不公正貿易の代表例として、韓国産自動車と鉄鋼に直接言及した。米国の保護貿易主義の優先ターゲットになる可能性が高いため、積極的に防御に乗り出すべきだという指摘だ。

    韓国貿易協会によると今年の1~5月、韓国の対米自動車輸出は65億1100万ドルで、前年同期比で8.5%減少した。これに比べて韓米FTAが締結された2011年以降、韓国市場での米国産自動車の成長は画然としている。 韓国が輸入した米国産自動車は金額ベースで、2011年の3億5000万ドルから昨年は16億8000万ドルに365%急増した。年平均成長率は35.5%に達している。一方、韓国の対米自動車輸出は5年間79%で、米国の5分の1の水準に過ぎない。年平均成長率も12.4%にとどまっている。

    もちろん絶対的な金額ベースでは、韓国の対米自動車輸出規模がはるかに大きい。しかし、人口格差や市場規模などを比較したとき、単純に車両の輸出台数と金額で不公正貿易を論じることは不合理だというのが自動車業界の主張だ。鉄鋼製品の対米輸出は今年1~5月に前年同期比で30.3%減少した。保護貿易主義を掲げた米国が反ダンピング関税を課したことで、対米輸出が大きく萎縮したためだ。

    ▶ 対米投資が急増...雇用創出に寄与

    トランプ大統領は昨年の大統領選挙の過程で「韓米FTAが米国製造業と地域経済を殺している」と再交渉の必要性を力説した。しかしこのような言及も事実と大きく異なる。

    韓国の対米投資はFTA発効前よりも2倍以上に増えた。韓国の米国に対する直接投資は昨年は511億8000万ドルで、FTAの発効直後の2012年201億6000万ドルよりも2.5倍増加した。特に韓国の対米投資は素材・部品、生活家電工場、エネルギー開発投資などグリーンフィールド投資の性格が強く、トランプ大統領の主張とは逆に、むしろ米国製造業の復興に寄与したという評価だ。

    「雇用を奪っている」というトランプ大統領の主張も、今後の再交渉過程で韓国政府が反駁する根拠は充分にある。韓米FTA発効とともに、米国内の韓国企業は総1万人以上の雇用を創出し、2014年時点で4万5100人を雇用していることが分かった。また韓国企業が米国の労働者に提供する平均賃金は9万2000ドル水準で、日本を含むアジア投資国の中で最も高い。

    財界の関係者は「今回の韓国経済使節団が40兆ウォンを超えるおみやげの包みを解いたのに、トランプ大統領の立場は全く変わったものがない」とし、「洗練された論理を作成し、米国側を積極的に説得しなければならない」と強調した。
  • 毎日経済 コ・ヂェマン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-07-04 02:31:24