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ナ・ヘソク「朝鮮女性初の世界一周」…韓国女性初の世界一周



    「私は授乳中の子供まで3人の子供がいて、今日はどうか明日はどうかわからない70歳の老母がおられた。しかし私は心機一転の波動を禁じ得なかった。私の一家のために、自分自身のために、私の子のために、とうとう出発を決意した」。

    朝鮮初の女性東京留学生であり、洋画家のナ・ヘソク(1896~1948・写真)は、1927年6月19日に釜山津から列車に乗って世界旅行に発った。1929年3月12日、船で釜山港に到着するまでの1年8ヶ月間の旅。世界の多くの国を訪問して旅行記を残したが、これが初めて一冊に編まれた本が出た。 『朝鮮女性初の世界一周記』(ガギャナル)だ。

    ナ・ヘソクはパリに1年2ヶ月滞在し、欧州各地を旅した。大西洋を渡ってアメリカまで回った後、ハワイを経て故国に帰ってきた。

    この旅行は出発する前から話題になったし、帰国後は東亜日報と「三千里」に旅行記が連載された。植民地体制、封建思想、男性中心主義という抑圧的秩序の中で、ナ・ヘソクは「探索する者がいないなら、その道は永遠に行けない」と語って社会を変えようとした。旅行の話題は美術紀行であり、もう一つは女性としてのアイデンティティだった。旅行から帰ってきた後、パリを懐かしがってナ・ヘソクはこう書いた。

    「私は女性であることを確実に悟った。女性は偉大であり、幸せな存在であることを悟った。すべての物情は女性の支配下にあることを悟った」。

    日帝強占期という不毛の時代にも、そのように長いあいだ世界を周遊したことも驚くべきことだが、その軌跡が完全に地球を回っていることが異彩を放つ。近代的個人として脱却していく新女性たちの世界を理解する重要な記録でもあり、この90年前の旅行記は重要な価値を持つ。

    しかし世界旅行はナ・ヘソクには奈落の道へ落ちるきっかけになった。パリで出会ったチェ・リンとの恋愛事件で、35歳の若さですべてを失なって一人残った。「離婚告白書」を発表し、女性に貞操を強要する男の利己主義を告発した。社会の冷遇に健康さえ失い、1948年にだれも見守るものがなく一人でこの世を去った。
  • 毎日経済_キム・スルギ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-02-04 11:50:21