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「蓮庵」具仁會(ク・イネ)…呉服屋から身を起こしたLG創業者

  • 「まさにこれが私たちがしなければならない本当のビジネスだ。不足している生活必需品を作り出すのが本当の愛国の道だろう。人のできない事業を一度成功させてみよう。そんなやりがいを一度探してみよう」。光復直後の1947年、「透明クリーム」化粧品を生産して常勝疾走していた一人の若いビジネスマンが、とつぜんプラスチック製造業に進出することを決めた。彼は化粧品を入れる容器のふたが割れて返品が多くなるやいなや、ちょうど代案を探していたことからプラスチック事業に興味を持つようになった。以後はプラスチックに対する理解を広げつつ、原料と設備があればクリームだけでなく、櫛や歯ブラシなどの日常生活用品を作れることを悟り、生活必需品を製造して普及させることが国のための道だと信じるようになった。

    1931年、20代の年齢で呉服店から事業を開始したLGグループの創業者である故「蓮庵(ヨナム)」具仁會(ク・イネ)会長(1907~1969)はちょっとしたことや疑問も軽く流さずに、研究に研究を重ねた末に新たな技術革新を生み出して起業家として成功の道に入った。

    「蓮庵(ヨナム)」具仁會は、企業こそ国家発展と国民生活の安定に寄与しなければならない存在だという認識にしたがって、企業経営を通じた報国の信念を固めていった。このような国益思想は、彼の企業活動や生活の中でそのままに現れた。仁和と勤倹節約、信用と技術重視、社会的・文化的責任などはすべて「蓮庵精神」を構成する重要な要素だ。

    蓮庵の精神はLGグループの創業理念であり、蓮庵の起業家精神を形成させる母胎だ。また、LGグループ2代会長である具滋暻(ク・ヂャギョン)名誉会長と故・具本茂(ク・ボンム)会長に至るまでのオーナー経営者らが、今日のLGグループを世界的な超一流企業に作り上げるところの基礎となった。

    光復(1945年8月15日)直後、資本主義が胎動する前の韓国は産業の不毛地に相違なかった。しかし蓮庵は1947年にラッキー化学工業社を設立し、LGグループの始まりを告げた。韓国戦争(1950~1953)の真っ最中だった1952年には、不屈の意志と強靭な起業家精神で韓国初のプラスチック事業に飛び込んだ。

    国民生活に欠かせない製品を作るべきだという蓮庵の起業家精神は、櫛や石鹸、歯ブラシや食器などのプラスチック製品の生産につながった。続いて1959年にラッキー油脂を設立し、石鹸とグリセリンの生産を本格化した。 1958年には金星(クムソン)社を設立し、翌年に国内初のラジオを生産することで韓国電子産業の新紀元を開いた。金星社は白黒テレビ・エアコン・扇風機・冷蔵庫をすべて国内で初めて生産し、「最初」神話を継続して書き続けながら、国民の生活水準の向上に大きく寄与することはもちろん、電子・化学産業を開拓して韓国産業の近代化の礎を整えるところに貢献した。

    蓮庵の起業家精神は、仁和団結・開拓精神・研究開発に要約される。

    開拓精神は蓮庵が釜山の小さな化粧品工場を、今日のLGに成長させた最大の動力だ。草創期のLGの成長は徹底した現実意識を土台に、他者のやらないことを見つけて開拓してきた努力の結実だった。研究開発は開拓精神を成功に導く細部的な戦略概念だ。

    蓮庵の起業家精神は、慶尚南道の晋州(チンヂュ)に根付いた「南冥」曺植(チョ・シク、1501~1572)先生に対する敬意思想とつながっている。慶南晋州は蓮庵の故郷であり、蓮庵が1931年24歳で初めて起こした事業である「ク・イネ商店」がオープンしたところでもある。

    「南冥」曺植先生に対する敬意思想は、人を重視して義を重んじる心をいだけばかならず実践するという実用主義的な思想で、この思想がLGグループの仁和と起業家精神につながった。ホ・ナムウン慶尚大学名誉教授は、蓮庵と同業者の許萬正(ホ・マンヂョン)先生が創業初期に発揮した不屈の起業家精神が今日のLGグループを作ったと評価した。

    ホ・グォンス慶尚大学教授は蓮庵の人間尊重と国に対する献身は、独立運動の資金逸話によく現れていると説明する。蓮庵は1942年、宜寧(ウィリョン)出身の独立運動家「白山」安熙濟(アン・ヒヂェ、1885~1943)の独立運動資金の支援要請に応じて1万ウォンを支援した。蓮庵が事業を初めて起こしたときに準備した金が2000ウォンだったという点を勘案すれば、どれほど大きな金額だったのかを知ることができる。

    蓮庵の長男である「上南(サンナム)」具滋暻(ク・ヂャギョン)名誉会長は、1969年に蓮庵がとつぜんこの世を去った翌年にLGグループの2代め会長に就任した。

    上南は挑戦と革新の伝道師として、LGグループを名実共に世界的企業に成長させた。上南は1988年に「21世紀に向けた経営構想」という明確な方向を確立し、グループ経営に新風を起こした。上南は創業者の蓮庵の開拓精神と研究開発を顧客のための価値創造に、仁和団結を人間尊重の経営に昇華させた。

    1995年、25年のあいだ会社を率いてきた父に続いて第3代会長に上がった具本茂(ク・ボンム)会長は、「正道経営」を就任の第一声で取りあげた。具本茂会長は公正・正直・誠実を土台に、顧客を満足させて従業員・株主・協力社そして社会に対する責任を果たす世界的な企業にならなければならないという点を任期中に強調した。
  • 毎日経済_チョン・ギョンウン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-09-13 19:10:49