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数字経済 > 上海の封鎖措置解除で釜山港パッシング現象再現の可能性
中国の経済首都である上海の封鎖措置が2か月ぶりに解除されサプライチェーンのボトルネック現象が再び激しくなりかねないという懸念が高まっている。
これまで稼動を中断していた上海所在の工場が再稼動に入ったことで世界最大のコンテナ港湾である上海港を出入りする物流量が大幅に増えるだろうという見通しが出ている。これにより海上運賃が高くなれば昨年のように上海から出発するコンテナ船が釜山(プサン)港を通らず米国に直行する「パッシング現象」が再現される可能性がある。
上海市当局は3月に始めた都市封鎖を65日後の今月1日0時を基点に解除した。これまで貨物車の運転手たちが隔離の可能性を懸念し上海への進入を憚りながら、陸上と上海港間の物流移動が円滑ではなかった。このため上海港と近隣の寧波港の蔵置率は100%に迫った状況だった。蔵置率とは港湾コンテナターミナルの野積場に貨物が積まれた比率を意味する。このため、この2か月間、適時に消化できなかった貨物が一気に殺到する兆しを見せている。
海運業界の関係者は「6月中下旬からは海運業界がピーク期に進入する。これまで出られなかった物量が同時多発的に出てきて海上運賃が高くなりかねない」として「コロナ19事態初期の2020年2~5月に出られず積もっていた物量が動き出し海上運賃が高まり始めた。その影響が今まで及んでいる」と述べた。
海運業界の展望のように物流ボトルネック現象の深化が現実化すれば、国内輸出企業の打撃は避けられない。昨年も海上運賃が急激に高くなり上海から米国ロサンゼルス(LA)港に向かうコンテナ船運賃が釜山港から出発するより50%以上高く策定され海運会社が釜山港を通り越す現象が現れた。
グローバル海上運賃は最近、2週間連続で上昇傾向を続けている。上海から出港する国際コンテナ運送航路15か所の短期運賃を総合した上海コンテナ運賃指数(SCFI)は先月27日基準で4175.35を記録した。SCFIは今年初め、5109.60でピークに達した後、17週連続下落した。下げ幅を減らして先月20日、4162.69で先週対比14.86ポイント上昇したのに続き、その次の週も12.66ポイント上昇した。海運業界は上海封鎖の解除が海上運賃の反騰に引き続き影響を及ぼすものと見ている。海運業界の展望どおり上海発物流の滞積が深刻化すれば、輸出品を運ぶ船を手に入れることは難しくなる。中国の景気低迷が深刻化すれば物流大乱はないだろうが、韓国の対中国輸出が打撃を受ける。韓中路線は国内海上の輸出入物流量の33%を占める。
一方、一部では2か月間続いた上海封鎖措置で中国景気が萎縮し物流ボトルネック現象が再発する可能性は低いという正反対の展望を見据えた。上海所在の主要工場が3月末から生産を中断し3~4月のほとんどの製品生産が大幅に減少した。
上海に滞在中の物流業界関係者は「現地企業等の話を聞いてみれば発注自体が減少したという」と明らかにした。