作品賞と監督賞はノミネートは予見されたが、競争作が非常に強力で、受賞の可能性は多少下がるだろうという評価だ。中国出身のクロエ・ジャオ監督の作品『ノマドランド』の受賞が有力視されているからだ。『ノマドランド』は経済危機で仕事を失った60代の女性ファーンが車に乗って米国を流れるなかでさまざまな人に会うという内容で、米国の民衆と自然をそのまま描いた点が好評を受ける。「プレビューオスカー」と呼ばれるゴールデングローブ賞ですでに作品・監督賞を受けた。『ノマドランド』のほかに作品賞では『ファーザー』『Judas and the Black Messiah(ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア)』『マンク』『Promising Young Woman(プロミシング・ヤング・ウーマン)』『Sound of Metal(サウンド・オブ・メタル)』『The Trial of the Chicago 7(ザ・トライアル・オブ・シカゴ7)』などと競争する。
ひよこ鑑別師のジェイコブ役を演じた韓国系アメリカ人の俳優スティーヴン・ユァン氏も、主演男優賞にノミネートされたということだけでも意味がある。韓国系アメリカ人が主演男優賞候補に上がったのは今回が初めてであるうえに、多くの外信の予測でも候補には入っていなかったからだ。スティーヴン・ユァンは『ウォーキングデッド』シリーズでグレン役を演じて人気を得て、イ・チャンドン監督の『Burning(バーニング)』とポン・ジュノ監督の『okja(オクジャ)』に出演したことがある。スティーブン・ユァンは『サウンド・オブ・メタル』のリズ・アーメッド、『Ma Rainey's Black Bottom(マ・レイニーのブラックボトム)』の故チャドウィック・ボーズマン、『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス、『マンク』のゲイリー・オールドマンなどと競争する。ボーズマンあるいはホプキンスの受賞が有力だという観測が多い。