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カルチャー > カルチャー > アンドラーシュ・シフが韓国演奏者に「コンクールに出ないで」と苦言した理由は?
「私が韓国の演奏者に伝えたいアドバイスはコンクールに出場するのをやめなさいということです。それより競争自体をやめろと言ってあげたいです」
「ピアニストたちの教科書」と呼ばれるほど精巧な演奏を繰り広げてきたハンガリー出身の演奏者アンドラーシュ・シフ(69)が来月の来韓公演を控え今後成長する韓国の音楽家たちに伝えた助言は挑発的だった。世界的巨匠は、数多くの韓国音楽家が有数のコンクール優勝を契機に世界の舞台で頭角を現しながら逃してきた盲点について苦言を惜しまなかった。
「音楽はスポーツではありません。偉大な芸術の領域です。速度と力、スタミナと正確度のように測定可能な要素はスポーツで扱うものです。芸術は測定できない要素で構成され高度に主観的な領域です。それが音楽コンクールが不可能な理由です」
彼がコンクールを批判する理由には成長する青年演奏者を保護する目的もある。特に、韓国の演奏者たちとは縁を結びながら教え続けてきた。2008年の来韓当時、マスタークラスで会ったピアニストのキム・ソンウクをスイスのルツェルン・フェスティバルに招待しチョ・ソンジン、ムン・ジヨン、キム・スヨンなどもマスタークラスで会った。
「韓国にはものすごい人材がいます。彼らは保護しながら育成しなければなりません。競争させてはいけません」
60年以上ピアノの鍵盤の前に座って地道に演奏力を発揮できたのも、彼が自由奔放さを通じて守ってきた健康のおかげだ。
「健康であることを前提に年を取ることは良いことだと言えます。もちろん若い頃は、簡単にやり遂げた仕事に肉体的な制限はあります。それでも年を取るにつれて私たちはほとんどのことをよりよく理解するようになります」
アンドラーシュ・シフは当日、公演場の音響とピアノと観衆の雰囲気などを考慮し即席でレパートリーを演奏する人としても有名だ。11月6日、ソウルロッテコンサートホールと10日、釜山(プサン)文化会館で開かれる今回の来韓公演でも、あらかじめ決めておいた曲目はない。
「私は自由と即興の力を信じています。考えてみれば観客に何を聞くことになるのか事前に話してあげるというのは平凡なことではありません。このような新しい方法を通じて私ははるかに大きな自由を感じます。観客には公演がもっと新しくなります」