トップ >
コラム > オピニオン > 【韓国コラム】慰問手紙
旧正月(ソルナル)に故郷を訪れる人も故郷と距離を置く人もいるが、軍隊に行った将兵たちは故郷が懐かしいばかりだ。
特に前線で歩哨に立つ軍人なら舞い落ちる雪と恋しい母親や妹の姿が重なることもある。ずいぶん前のことだが、このような時は見知らぬ学生たちからの慰問手紙が役に立ったりもする。
2枚の慰問手紙だ。
何と書かれているか読まなくても手紙を書いた人の誠意が極と極の違いがあることは一目で分かる。
同じ時期、つまり昨年末に軍隊と姉妹関係を結んだ女子学校の学生たちが書いた手紙だ。
2枚目の手紙は公開されて韓国社会に大きな波紋を呼んだ。
「これから人生に試練が多いと思いますが、この程度は勝ってこそ男ではないでしょうか。寒いのに雪が降ったら熱心に雪かきしてください^^」
手紙を読んだ先生が消しゴムで消さずに線を引いた「消しなさい…」と書いた部分も見える。
この手紙が公開された後、「~~軍隊で石鹸は拾わないで~~」という内容の慰問手紙も公開された。手紙を書いた女子学生はシャワーを浴びている途中、床に落ちた石鹸を拾ってセクハラを受けるという内容くらいは知っているに違いない。問題になった慰問手紙を送った学校は慰問手紙を書いた学生に奉仕時間1時間を認めたというが、半分程度の学生が手紙を書いて送ったことが明らかになった。
「周りは、みんなきれいな便箋にいい言葉をもらったが、自分だけ、あんな手紙をもらって意欲も落ちて悔しい思いをした」
悔しさのあまり慰問手紙が公開され手紙を書いた女子生徒と軍人の個人情報確認、女子生徒のディープフェイク(Deep fake)などの問題が相次ぎ、とうとう男女の性対決にまで広がった。
旧時代の残滓である慰問手紙をなぜまだ書くのかという問題も提起された。
慰問手紙は韓国の学生だけが書いたのではない。2013年、アメリカでは25000件の慰問手紙を書いて送ろうというキャンペーンが繰り広げられた。
韓国で慰問手紙が導入されたのは韓国戦争当時の1951年だ。1952年のクリスマスを控え大々的な慰問手紙を書く運動が行われた。慰問手紙とともに慰問品を送る行事も兼ねていた。
そして1998年以降、慰問手紙は学校に任せられた。隣人を助けるための義援金、防衛義援金、慰問品を送るとともに慰問手紙も姿を消し始めた。
慰問手紙を送る学校は大部分軍部隊と姉妹結縁を結んだ学校だ。学校長が師団長と親しいとか古くから慣行になってきたとか、そんな理由だ。学校によっては軍隊に行って一日兵営生活を体験するとかそんな行事も企画するようだ。
喜んで参加する学生もいるだろうし奉仕時間を満たすために仕方なく真似する学生もいるだろう。そして、たまに自分の好みとは合わないと参加しないことにする。
慰問手紙をもらう軍人たちも同じように運がついてくるだろう。かわいい妹ができたと思って微笑む将兵もいれば問題になった慰問手紙で気分が悪くなった軍人もいるだろう。
慰問手紙で手紙を書いた学生や手紙を受け取った軍人だけでなく韓国社会も崩壊したような気がする。ただでさえ新型コロナウイルスで頼るところのない韓国人たちはどこで慰問を受けるべきだろうか。
- Lim, Chul
- 入力 2022-01-31 00:00:00