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コラム > FOCUS > ナフサ、7年半ぶりの最高値 ウクライナ侵攻で石油化学業界が泣き顔
ロシアのウクライナ侵攻でナフサ価格が急騰し韓国の石油化学業界の第1四半期の実績に赤信号が灯った。原油から分離して出るナフサは合成樹脂と合成ゴム、合成繊維製品を作る際に基礎原料として使われる。
ロシア産の輸入制限措置で最近、ナフサの取引価格が7年半ぶりに最高値を記録した。一方、石油化学業界が中国、日本、東南アジアなどへ輸出するエチレン価格は横ばいとなり主要企業のマージンが損益分岐点を下回っている。
18日、韓国石油化学協会によると今年の第1四半期のナフサ国際取引価格は1トン当たり877.96ドルで2014年第3四半期(915.68ドル)以来7年半ぶりの最高値を記録した。主要原油生産国であり世界1位の天然ガス輸出国であるロシアに対する経済制裁が現実のものとなり国際原油価格が急騰すると原油を精製して製造するナフサ価格が急騰したのだ。
一方、ナフサを熱分解して作るエチレンの取引価格は最近、5四半期連続1000~1100ドル台にとどまり原価上昇分をまともに反映できていない。このため、石油化学業界の主な収益性指標として挙げられるエチレンスプレッド(エチレンとナフサの価格差)は今年の第1四半期に275.54ドルと、2019年第4四半期以降、最低値に落ち込んだ。
業界はアジア地域のエチレンメーカーの損益分岐点スプレッドを通常300ドルのラインと見ている。これを考慮すれば現在、工場を稼動するほどに企業の損害が大きくなるものと推定される。
ナフサはロシア、アラブ首長国連邦、米国などから輸入しており一部は国内でも直接生産している。LG化学、ロッテケミカル、麗川(ヨチョン)NCCなどがナフサ熱分解工程(NCC)を通じてエチレンとプロピレンなど主要化学製品の基礎油分を作っている。韓国は世界4位のエチレン生産国家で全体生産量の55%を輸出している。
業界では米国や中国などが大規模なエチレン設備増設に突入し供給過剰の憂慮が高まっている中、国際原油価格の方向性を予測することが難しく事業の不確実性がしばらく続くだろうという分析が出ている。
工程上、ナフサを液化石油ガス(LPG)などに完全に代替できないうえ中国の主要都市の封鎖措置が、もう1つの変数として浮上したという意見もある。ある業界関係者は「中国でエチレンを原料とするプラスチック工場がまともに稼動していないという話が出て業界内外で需要萎縮の憂慮も提起されている」と伝えた。
最近、石油化学業界は輸入ナフサに課せられる0.5%の関税を期限付きで撤廃するよう政府に「緊急割当関税」を要請すると同時にロシア産の輸入物量を中東産に代替するための努力を繰り広げている。
しかし、第2四半期に入っても業況が低迷する兆しを見せ不安感が薄れていない。
韓国石油化学協会のキム・ピョンジュン本部長は「今月に入って市況が一部改善したが先週、原油価格が急騰し第2四半期の見通しを出すのは容易ではない状況だ」とし「エチレン価格が一般的に国際取引価格に連動するため個別業者別に供給価格をむやみに引き上げることもできない状況だ」と説明した。