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コラム > FOCUS > 韓国、第1四半期の経済成長率が0%台に 新政府は悪条件で出発
今年第1四半期の韓国経済が半年ぶりに0%台の成長率を記録した中、高物価・高金利・高負債の衝撃がさらに強く景気を抑えるという見通しが出ている。26日、中央銀行の韓国銀行によると第1四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.7%増に止まった。ソーシャルディスタンス規制の影響で民間消費が0.5%に後退し景気の不確実性が大きくなり企業が設備投資を4.0%減らしたことが影響している。半導体、化学製品などを中心に輸出が4.1%増えたが、0%台の成長を防ぐには力不足だった。
このような状況のため、大統領職引継ぎ委員会でも低成長リスクに対する警告音が出ている。大統領職引継ぎ委員会の高官は同日、「今年の成長率は2%台半ばから後半になるだろう」とし「来年は年間成長率が1%台まで下落しかねない」と懸念を示した。
第1四半期の成長率(0.7%)の構成要因を見ると純輸出成長率への寄与度が1.4%ポイントに達し事実上、経済を支えている。一方、民間消費(-0.2%ポイント)、建設投資(-0.4%ポイント)、設備投資(-0.4%ポイント)などが輸出が成し遂げた成長寄与度の大半を削り落とした。
さらに大きな問題はこれから始まる。第1四半期の経済の足を引っ張った消費と投資展望が暗いからだ。今月から社会的距離の確保が解除され対面消費部門が回復するという期待感があるが、ウクライナ戦争の長期化により物価が上昇したというのが大きな負担となっている。「高物価→家計実質所得減少→消費縮小」と「物価上昇→韓国の基準金利引き上げ→元利償還金の負担が加重→消費縮小」という悪循環の輪が強まっているのだ。
史上最大に膨らんだ家計負債も消費心理を抑える要因だ。韓国銀行の家計信用データによると国民が自由に取り出して使えるお金(可処分所得)は昨年第4四半期の1073兆7000億ウォンで前年同期比5.1%増えたが、同期間の家計負債(1862兆ウォン)は7.8%急増した。可処分所得対比家計負債比率は173.4%で、昨年の第3四半期に続き過去2番目に高い水準を記録した。
特に「借金をして投資に乗り出した20~30代とコロナ19事態により生活資金が必要な低所得層が借金を大幅に増やした状況で高物価と利上げの衝撃が続けば負債の負担が他の部門に転移する危険性が高まった。
延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「政府は相当な財政を投入しているが、成長率は高まっていない」とし「物価上昇による景気低迷にもかかわらず、国内外の要件で金利を引き上げざるを得ない状況であるため景気の不確実性は今後さらに高まるだろう」と見込んだ。
米国の緊縮の影響で急速に下落する1ドル当たりのウォン相場も設備投資の悪化要因だ。韓国銀行は今年、国内設備投資の伸び率が2.2%で、前年(8.3%)比大幅に下がるものと見込んだ。来年は1.7%まで落ち込むものと見られる。国内工場で使用される生産装備10個のうち4個(39.4%)は輸入しているが、ウォン高が進むと設備投資の負担が増え生産まで萎縮する可能性が高い。
国会予算政策処のパク・ソヌ経済分析官は「韓国は輸入資本財への依存度が高い」とし「外国との交易が全般的に減るだろうという懸念が大きい状態でウォン高まで進み設備投資に悪影響を及ぼすだろう」と説明した。
供給網の衝撃や中国経済の封鎖の影響で、韓国経済の主軸である輸出環境も悪化している。関税庁によると、輸入物価の急騰で1~20日の貿易収支は51億9900万ドルの赤字で、月間基準で過去最大の赤字を記録した1月水準を超えた。国際原油価格の急騰で輸出単位で輸入できる商品の量(2月の純商品交易条件指数)は1年間で7.4%下落し11か月連続下落傾向を見せている。
現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「ウクライナ事態が第1四半期にきちんと反映されなかったため、第2四半期からは輸出貢献度がさらに低くなるだろう」とし「グローバル貿易が萎縮し輸出が悪化する可能性がある」と伝えた。
このため、今年政府が掲げた3%台(3.1%)の成長率達成にも暗雲が立ち込めている。すでに最近、国際通貨基金(IMF)は、今年の韓国成長率の展望値を従来の3.0%から大幅に下げた2.5%と見込んだ。国際格付け会社フィッチとムーディーズはそれぞれ3.0%から2.7%に、現代経済研究院は2.8%から2.6%へと成長率の目線を下げた。チュ室長は「現在の景気状況からすると今後の成長率が下がる可能性が高く年間3%の成長を達成することは難しそうだ」と展望した。