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コラム > 人物 > 「ソウルはアジアの拠点、日が沈まないNYTニュースルーム」インターナショナルNYT社長インタビュー
「ニューヨークタイムズ(NYT)のニュースルームは24時間動く。東から日が昇るとソウルのニュースルームがリアルタイムでニュースを送出し日が移動すればロンドンとニューヨークが引き継ぐ。ソウルはNYTのアジアホーム(home)だ」
NYTインターナショナルのスティーブン・ダンバー=ジョンソン社長が最近、毎日経済とのインタビューでソウルに新たに定着したNYTアジアデジタルハブについて、このように評価した。当初、香港にあったNYTアジアデジタルハブは中国の「香港国家保安法」施行で取材活動に制約が生じ1年前の昨年5月、ソウルに移転した。
現在、NYTは米国ニューヨーク本社、英国ロンドン、ソウルの3か所にデジタルハブを置き24時間ニュースルーム体制を運営している。
スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「中国の介入で香港で独立言論が活動できなくなった」として「数年前に、このような言論の環境悪化を捕捉した。これが私たちが香港を離れることにした理由だ」と説明した。彼は「デジタルハブの移転で最も重要な基準は「言論の自由度」だった」として「NYTの内部評価過程で韓国が最も高い点数を受けた」と伝えた。続けて「ソウルは自由な取材環境を提供するだけでなくライフスタイル、音楽、芸術、デザインなどインスピレーションを与える文化的要素が豊富だ」と付け加えた。
ソウル鍾路区(チョンログ)に位置するNYTの事務室は発足1年で収容人数をほぼ満たした。スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「40人余りがソウルのデジタルハブで勤めており年末までに職員を45人に増やす」とし「私たちは継続して新規人材を採用している。ソウルでもニュース生中継を越えてオーディオ、視覚ジャーナリズムを具現できるようになれば興味深いだろう」と話した。
新聞の成功的なデジタル転換事例に挙げられるNYTは最近、デジタル購読者数の1000万人達成に成功した。先立ってNYTは2025年までにデジタル購読者数を1000万人に増やすという目標を立てたが、今年1月スポーツ専門オンラインメディア「ジ・アスレチック(The Athletic)」の買収を通じて目標を早期達成したのだ。昨年末基準(ジ・アスレチックの購読者を除く)NYTはデジタルニュース購読者数590万人、デジのタル非ニュース購読者数210万人、紙新聞購読者数80万人を確保した。2027年末までに購読者数1500万人確保がNYTの次の目標だ。スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「米国以外の地域では購読者数110万人を保有している。これを2倍に増やそうとし、これは確実に達成可能な数値だ」と強調した。彼は「この過程でアジアハブの役割が非常に重要だ」として「NYTソウルは引き続き成長していくだろう」と伝えた。
スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「ほとんどの国家にNYT支局があり最も多くの外国人記者を保有している」として「現在、ウクライナだけで20人以上の記者が活動している」と説明した。彼は「国際的なニュースに触れるためにNYTを購読しなければならない理由がここにある」と付け加えた。
デジタル転換のためには、何よりもジャーナリズムとコンテンツの本質に投資を惜しんではならないとスティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は助言した。彼は結局、コンテンツの品質強化がデジタルと紙新聞の両方に恩恵を与える好循環構造につながると説明した。スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「デジタルと紙面はコンテンツを流通する経路の違い」として「NYTは投資の最も大きな部分をジャーナリズムの本質を強化することに集中する」と伝えた。
最近、NYTはニュース産業を越え非ニュース分野まで事業を拡大している。料理レシピアプリ、ゲームなどNYTだけのコンテンツ生態系を造成し顧客に多様な経験を提供する「プラットフォーム」に変貌を図ることだ。今年1月、NYTはオンライン単語パズルゲーム「ワードル
(Wordle)」を買収した。ワードルは毎日300万人以上が楽しむ人気ゲームだ。スティーブン・ダンバー=ジョンソン社長は「NYTはゲーム、クッキング、ニュースなど様々なコンテンツをまとめて提供することに大きな関心を持っている」として「それぞれ他の窓口を通じて流入したトラフィックはニュース購読者増加など収益にもつながる」と説明した。