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コラム > FOCUS > 韓国の鉄鋼・造船業界、厚板価格をめぐって激しい綱引き
船舶用厚板の価格をめぐって韓国の鉄鋼会社と造船会社の譲歩のない綱引きが激しく続いている。鉄鋼業界は今年に入って原材料価格が急騰したため厚板価格の引き上げが避けられないという立場を固守している反面、造船会社は厚板価格が2年連続で上昇すれば実績に大きな打撃を受けることになると反発している。ひとまず引き上げることで方向性を固めたが、どれだけ上げるかについては依然として合意点を見出せずにいる。
6日、業界によると鉄鋼会社と造船会社は今年上半期、船舶用厚板の価格を引き上げることでやっと合意し引き上げ幅を最終調整している。双方は当初、先月末までに交渉を終えようとしたが、引き上げ幅をめぐって異見を示し交渉が長引いた。
鉄鋼業界が引き上げを強く要求する理由は最近、厚板生産に入る鉄鉱石や有煙炭の価格が大幅に値上がりしたためだ。韓国資源情報サービスによると鉄鉱石の価格は今年16%、有煙炭は58%上昇した。原材料価格が上がっただけに鉄鋼業者は厚板価格を高めなければならないという立場だ。
船舶用厚板は厚さ6ミリメートル以上の鉄板を指す。船舶製造原価の約20%を占める。韓国造船海洋が公示した厚板価格は、1トン当たり2020年66万7000ウォンから昨年112万1000ウォンへと2倍ほど上昇した。韓国造船海洋は昨年、造船事業で鋼材購入費だけで2兆6454億ウォンを支出した。
受注好況を迎えた造船業界の立場では厚板価格が引き上げられる場合、収益性の悪化を避けられない。造船会社は船舶を受注する際、契約時点を基準に見積もりを出す。受注後1年ほど設計期間を経た後、実際の生産に入るため資材価格が上がっても、これを船舶価格に中途反映できない。造船業は依然として需要者優位の市場であるため造船会社が鋼材の価格上昇を予想し船価にあらかじめ反映することも難しいという主張だ。
造船業界の関係者は「昨年に続き今年も厚板価格が上がることになれば造船会社は価格上昇分だけ工事損失充当金を増やすほかはない」として「経営実績が改善される時点がそれだけ遅れる」と伝えた。
重大災害法とストライキによる相次ぐ生産中断も造船会社の実績改善を難しくする要因だ。
現代重工業グループの主力造船系列会社である現代重工業は第1四半期に売上約2兆ウォンを記録した。これは年間計画(10兆1753億ウォン)の20%水準で目標値に及ばなかったという意味だ。第1四半期に33億ドル分の受注をし年間計画(113億ドル)の29%を達成したのとは温度差が感じられる部分だ。営業利益も2170億ウォンの赤字に転じた。現代重工業のイ・サンギュン社長は最近の経営説明会で「重大災害にともなう作業中止で売上に関する支障が深刻だ」と吐露した。
ここに現代重工業は賃金交渉が膠着状態に達しストライキまで進行中であるため、第2四半期実績にも悪条件として作用する可能性が高い。昨年、現代重工業の造船部門の設備稼働率は63.6%に過ぎない。同じ系列会社である現代三湖(サムホ)重工業(87.9%)、現代尾浦造(ミオポ)船(75.7%)はもちろん、95%を超えるサムスン重工業・大宇・船海洋の稼働率と比べても著しく落ちる水準だ。