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SKイノベーション、低硫黄重油の海上生産...環境規制で注目


    9月20日午後2時(現地時間)、シンガポール・マレーシアの近くの海上ではFSO(海洋に浮かぶ原油貯蔵・荷役)船舶のジュビリースター号での海上ブレンディングのため、重油の需給作業の真っ最中だった。ブレンディングというのは硫黄含有率の異なる重油を混ぜて、低硫黄(通常1%以下)など、硫黄の含有量を合わせた重油を生産する作業だ。

    縦の長さが330メートルもあるサッカー場3つのサイズ(VLCC級)の巨大なストレージ船は、約1時間のあいだに3000立方メートル分量の重油を受給される。 8年前に海上低硫黄油のブレンド事業に乗り出したSKイノベーションは、2020年から施行される国際海事機関(IMO)の環境保護規制で注目されている。

    IMOは2016年、環境保護のために海上の燃料油に適用される硫黄酸化物の含有量を、3.5%から0.5%へと大幅に削減させる案を確定した。これによって低硫黄製品の需要が急増し、主要企業の一つであるSKイノベーションが注目を浴び始めたのだ。市場では規制をビジネスモデルとして活用したSKイノベーションの選球眼のおかげで、実績と株価も反騰に転じるだろうとの見通しが出ている。

    現在、SKイノベーションは海上ブレンディングを通じて、年間100万トン水準の低硫黄重油製品を供給している。証券業界では石油事業に含まれる低硫黄油市場の拡大と従来のパラキシレンなどの化学事業が好調で、同社の営業利益は2016年以降から2020年まで、5年連続で3兆ウォン以上をずっと維持するものとみなしている。

    SKイノベーションは低硫黄重油市場の成長性が不確実だった2010年に海上ブレンディング事業に乗り出して、海上で直接低硫黄油の生産を開始した。軽油などに比べて重く粘度の高い重油は、原産地が異なる油を混合したときに予期せぬ不純物が発生し、船舶エンジンに故障を起こす危険性がある。したがって各海運会社は新しいブレンド製品が発売されても、これまでの製品を継続して使用するか、徹底的な検査を経た後に選択する傾向がある。

    SKイノベーションの関係者は、「特定の重油をどのような割合で混合すれば問題ない製品を作ることができるかに対するノウハウのぶんは先んじていると確信している」とし、「配合比率を知っても、その原料を調達できる取引先を確保することは新規参入者には容易ではなく、先取り効果の大きい市場だ」と語った。

    東南アジア海運の拠点であるシンガポール・マレーシアの海上で行われるブレンディングは、陸上作業に比べて物流費の削減・時間短縮という利点がある。しかし海上作業の特性上、既存のタンカーにブレンディング設備と、重油が固まるのを防ぐための加熱施設など追加が必要だ。設置後にも安定性のために平衡の管理と24時間交代勤務の労働力が必要な作業だ。

    このような難しさのせいで一部ではSKが海上ブレンディングに乗り出すのは難しいだろうと指摘したが、SKイノベーションは海上作業のために果敢な決断と投資、そして技術の高度化を通じて最終的に競争力を確保することができた。

    金ワングンSKトレーディングインターナショナルチーム長は、「依然として重油全体の70%が硫黄含有量3.5%以上である高硫黄油」だとし、「今後は規制によって国際的な低硫黄油供給不足の事態が起きると予想する」と述べた。金チーム長は続けて、「ブレンド油は混合比と混合原料の取引先確保が重要だ」とし、「後発走者が今になって数兆ウォンの設備投資を通じて低硫黄油の海上油市場に飛び込むことは容易ではないと思う」と答えた。

    世界最大の海運会社マースク社のシンガポール支社長は、「施行までの時間が残り少ない硫黄含有量規制は、海運業界にとって前例のない大きな変化をもたらすと思う」と展望した。また、「低硫黄重油そのものが新しい製品なので、船社としては原料と配合比率に対する不安感がぬぐえない」とし、「これまで取り引きしてきた製品が互換性・安定性・信頼性ので高い評価を受けざるをえないだろう」と語った。

    SKイノベーションは現在、年間200万トンに達する低硫黄油生産量を、2020年には400万トン以上に増やす計画だ。

    また、全社レベルで海上油環境規制に先制的に対応し、環境に配慮した製品の生産を増やすための設備の新設も進めている。

    昨年末に総1兆ウォンほどが投入される、減圧残渣脱硫設備(VRDS)新設計画を発表した。高硫黄燃料油である減圧残渣油を、低硫黄油やディーゼルなどの高付加価値製品に変換できる設備だ。 2020年に設備が完成すると、SKイノベーションは国内1位の低硫黄油の供給者に跳躍するものと見られる。

    証券業界ではVRDSとシンガポールの海上設備のおかげで、2020年からSKイノベーションの年間営業利益は2400億ウォンほど増加すると見ている。

    業界関係者は、「石油と化学事業の同伴相乗効果で、SKイノベーションの営業利益は年間3兆ウォン台を着実に守るだろう」と言う。このような期待感で、SKイノベーションの株価は28日に21万9500ウォンを一時的に記録し、52週めで新高値を記録した。最近3ヶ月の株価上昇率は17%に達している。
  • 毎日経済_シンガポール=パク・チェヨン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-09-30 23:30:05