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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国でよく使う日本語にはどんなものがありますか?(上)
  • A.
    筆者が子供のころにはしょっちゅう聞きましたし、大人たちが話をするのをそばで聞いていると、自然にいくつかの単語を学んだりもしました。

    しかし最近では、家や飲み屋、食堂などで韓国人が日本語を話すことを聞くのは稀です。代わりに英語はあまりにもあたりまえになりました。もしかしたらボグチェをご存知ですか?英語と日本語を混ぜて書いたり、話したりするのを「ボクチェ」と言いますが、無知(?)な人は何を言っているのか…まったく、当惑するだけですねえ。

    ボクチェの例をあげるならば、「この口紅はクリーミーでグロッシーでマットな肌表現にハーモニーを成しています」。本当にこういうふうに言うのかですって?デパートに化粧品を買いに行って、店員からこの言葉を聞いて仰天をしていた人から伝え聞いた話ですから、実際にこのように言ったに違いありませんとも。歳月の流れが韓国から日本語を押し出して、英語を受け入れたわけですね。

    とは言うものの、現場ではまだまだ日本語を使う場所を見つけることができます。建築工事現場、印刷所、縫製工場、映画の撮影現場、自動車整備業者などです。かつては新聞社や雑誌社でも日本語に容易に接することができましたし、海兵隊では「チムバ(ちんば=片跛)」などの日本語が依然として通用すると言っていましたねえ。

    最近ではちょっと減りましたが、ビリヤードはまさに日本語の聖地でした。友達4人でビリヤード場に入るやいなや、友人が「俺たちゲンペイでやろうか?」と提案したり。敵味方に分かれて行うゲームなので、チャンソリ(無駄口)、コーチに嘆く声…これに加えて「ケンセイ(牽制)」まで横行します。

    「おい、シネルイパイくれ!(思い切り回転させてくれ)」「ナミ、うんと軽く突いてくれ!」。ケンセイ(牽制)したにもかかわらず憎たらしい相手選手の玉が絶妙に当たるやいなや、「あんなのフロック(偶然だ)」とツッコミを入れれば「コイツ、偶然じゃないさ見て打ったさ」とか。正しく学んだのではなく聞き覚えなのでフロックだろうがフロッコだろうが、いい加減な発音がでも通じます。

    ヒネル(捻る)、ハコマオシ(角回し)、タデ(長撞き)、ニク(二度撞き)、ヒロ(相手の手玉に自分の手玉を当てるファール)、タマ(玉)、ダイ(台)…ほとんどのビリヤード用語は日本語だったわけですね。学校でとくに日本語を学ばなかった男子学生は、ビリヤードで日本語を習得していたわけです。

    ビリヤードでも日本語がたくさん消えましたが、工事現場ではまだ日本語に容易に接することができます。建設現場に初めて行く人は現場の用語に慣れていないことから、かなり頭を悩ませるでしょう。アルバイトで背負子を運ぶ人ならてきとうに合わせておけばいいでしょうが、現場踏査をしてきた建築学科の学生が用語を知らなければ困難であり、しかも現場用語がオリジナル日本語ではなくて発音や用法が少しずつ異なり、日本語を勉強して行っても完全な聞き取りは難しいわけです。

    ビリヤードで遊んでから建築現場に行けば助けになるかって?いいえまったく。おおかた仕事が終わって家に帰ろうと車代を言うと、現場の所長が「ちょっとそこ、ダンドリしてから行け!」と言われれば、さていったい何をしろと言うのか、尋ねる人がそばにいない場合は器楽類そうに鳴ります…いやいや、気が狂いそうになりますね。

    現場で使う日本語がどのようなものなのか、ちょっと調べてみましょうか。

    カンモク:かくざい(角材/垂木)
    カネ:かね(直角のこと)
    カダ:かた(型)
    ワク:わく(枠あるいは型枠)
    カリ:かり(借り/つけ払い)
    カンジョ:かんじょう(勘定/韓国語は賃金の意味で使う)
    カッパ: かっぱ(雨合羽)
    ゲンバ:げんば(現場)
    コングリ:こんくり(コンクリート)
    クルマ:くるま(車)
    キリコミ:きれはし(切れ端)
    ナラシ:ならし(均し)
    ノガタ:どかた(土方)
    タテグ:タテグ(建て具)
    タンドリ:だんどり(段取り)
    トギダシ:とぎだし(研ぎ出し)
    トビ:とび(とび職)
    ルーベ:りゅうべい(立米=立方メートル)
    マチコバ:まちこうば(町工場)
    メキ:めっき(鍍金/メッキ)
    ミスモリ:みずもり(水盛り/水平を見る)
    セメン:せめん(セメント)
    シダバリ:したばたらき(下働き/助手)
    アシバ:あしば(足場)
    アダラシ:あたらしい(新しい)
    オサマリ;おさまり(収まり/安定)
    オハンマ:おおはんまー(大ハンマー)
    ジャバラ:じゃばら(蛇腹)
    チョーシ/チョーセ:ちょうせつ(調節)
    チンパ/チムパ:ちんば(片跛=かたちんば)
    ハムバ/ハンバ:はんば(飯場)
    ヘーベ:へいべい(平米=平方メートル)

    日本の人が見てもかなり多いですよね。実際にはこれよりもはるかに多いのです。なぜかんたんな自国のことばで言わないで、困難な日本の言葉をそのまま使ののでしょうか?気になったこともありました。たぶん「私は専門家だ」と自慢してみたいからでしょう。

    現場用語は建築や土木現場だけでなく、軍隊内でも通用します。軍隊は軍人だけでなく、専門知識や技術を持った軍務員たちも一緒に仕事をしますが、彼らが前任者から現場用語を身につけて伝播する役割を担うようですね。彼らと働く若い軍人たちも従って学ぶことになるわけですよ。

    このような現場ではなく日常生活の中にも、頻繁にではないけれどもたまに使う日本語があります。これについては次の回で紹介しましょう。

    ※この記事は「韓国でよく使う日本語にはどんなものがありますか?(中)」へ続きます。