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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    ユッケとユッサシミ(牛刺し)は別の食べ物でしょうか?
  • A.

    上の2つの写真は似ているように見えますか?牛肉を生で食べる、おいしい食べ物という共通点はありますが上の写真はユッケで、下の写真はユッサシミです。

    あれ?ユッサシミのサシミは刺身のことですよね?

    そうです。 食べ物の名前に語弊(*)があります。

    実は、ユッサシミは地域ごとに呼び方が少しずつ違います。全羅道(チョルラド)の方では主にセンコギと言い、大邱(テグ)の周辺ではムンティギ、蔚山(ウルサン)ではマクチッキと言います。 全羅道は食べ物がおいしいですし、現地でたくさん食べるのでソウルでセンコギと言っても理解する人が多いです。

    このように地域の特色が現われた用語なので、メディアではセンコギの代わりにユッサシミという呼び方を主に使うようです。一部のメディアではセンユッケ(生ユッケ)と言ったりもしますが、あくまで一部のメディアです。

    魚の刺身以外は生ものが、あまり好きでない筆者も光州(クァンジュ)へ出張に行ってユッサシミを食べた時、「ああ、肉が甘いんだな」と驚いたことがあります。
    余談でした。

    ユッサシミは比較的、ユッケよりも刺身に近いので、ユッケをユッケムチム(ユッケ和え)に変えて呼ぶべきだという主張もありますが、いまでに食堂に行ってユッケを注文すると上の写真に写っている食べ物が出てきます。

    ユッケは細く切った牛肉を生のまま砂糖、塩、醤油、ニンニク、ゴマ油、梨の果汁等で作ったヤンニョムに混ぜ合わせた料理です。 もちろんヤンニョムは食べる人の好みによっていくらでも変わります。

    ユッケの材料は主に牛肉ですが、鶏肉や豚肉で作ったりもします。遠い昔は牛肉には無鉤条虫 、豚肉には有鉤条虫が入ってるから危険だと言われてましたが、1980年代以後は牛と豚の寄生虫が絶滅したため、ユッケを食べて寄生虫に感染したという話は聞いたことがありません。

    いい部位の牛肉で作ったユッケは生という感じが全く感じられないほど食感がいいです。食べる人によって感じ方は違うでしょうが、サーモンの刺身と似た食感だと思えばいいでしょう。非常にやわらかくて、口の中でとろけます。

    そんなもの食べられないと拒否感を示した人々も、ひとまず一口食べてみれば箸が止まらなくなるでしょう。

    ユッサシミはユッケとは違い薄切りで出てきますが、地域や食堂によって小さく薄切りにしてくれる所もあれば、マグロのように分厚く長さをそろえて切って売っている所もあります。

    そしてユッケと違う点がもう一つあります。あらかじめヤンニョムに混ぜて出てくるのはなく、刺身のようにタレにつけて食べます。タレは地域によって違いますが、ゴマ油ダレ(ゴマ油+塩、コショウ)とチョコチュジャンが一般的ですね。ユッサシミ専門店では唐辛子油を使ってタレを作ったりもします。 もちろん食べる人次第です。

    「タレ? そんなもの必要ない!」そのまま食べてこそ肉の味をしっかり味わえると言い、箸で肉を取った瞬間口に持っていくタフな男性もいますし、コショウが少し入った塩につけて食べたり、刺身のようにワサビ醤油につけて食べたりもします。

    ユッケやユッサシミの決め手は新鮮度です。

    屠畜場で屠畜したばかりの肉であるほど本来の味を楽しむことができます。KBSで放送した『韓国人の食卓』でもユッサシミが登場しました。屠畜して1時間も経っていなかったので、死後硬直が起き肉が動くのを見て、ナレーションを担当した年配俳優のチェ・ブラムさんが「なぜこんなに、よだれが出てくるんだ?」と言ってました。

    焼いて食べる時は、死んだ後ある程度時間が過ぎて熟成された肉がいいですが、生で食べる時は 屠畜したばかりの新鮮な肉を食べるのがポイントです。(普通、韓国で牛や豚を屠畜した後、一日冷凍させて、脂肪が凝固した形(マーブルリング)を見て等級を付けた後、売るようにしていますが、ユッサシミの部位は脂身がないので、等級審査とは関係なく直ちに口の中へ入れましょう。)

    人情が厚い食堂でユッケやユッサシミを注文すれば屠畜したばかりの肝とセンマイも一緒に出てきます。かなり新鮮な肝なので、色も黒色ではなくて生き生きとした赤色で、血の臭いもほとんどしません。

    ユッケやユッサシミは、一品だけで食べることが多いですが、全羅道地方では他の料理にユッケを添えたりもします。全州(チョンジュ)や晋州(チンジュ)ではビビンバの上にユッケを乗せて一緒に食べたり、光州と全南(チョンナム)地域ではユッケと小さく切ったサンナクチ(生タコ)を混ぜておかずとして出したりもします。

    光州と全南地域では鶏でもユッケを作ります。郊外の農場を兼ねた食堂に行って注文すれば、その場で鶏を屠畜して刺身にして出したりもします。

    とても珍しい例ですが妊娠した雌豚を屠畜した時、その中にいた胎児豚で作った子豚刺身もあります。



    * 標準国語大辞典を見ればセンソンフェ(魚の刺身)とユッケに対する定義が微妙に違います。

    フェ(刺身)-肉や魚などを包丁で小さく切って食べる食べ物。
    センソンフェ(魚の刺身)-新鮮な魚を薄く切って醤油やチョコチュジャンにつけて食べる食べ物。
    ユッケ(肉の刺身)-牛の赤身や肝、センマイ、ルーメンなどを小さく切って色々なヤンニョムをして生で食べる食べ物。

    このため専門家たちの間でもユッケは事実上、刺身の和え物と同じ食べ物なので、ユッケムチム(ユッケ和え)に変えた方がいいと言われていますが、1800年代朝鮮末に編纂された料理本是議全書に現在のユッケをユッケと解説するなど長い間、使われてきた用語なので変えることは簡単ではありません。