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【韓国コラム】名節避難所と偽ギブス
- 城南(ソンナム)市庁のブックカフェ。
地方自治体が住民の情緒を涵養するために設置した、大したところではないように思われている。
しかし、城南のブックカフェは一時、大変な注目を集めた。
秋夕(チュソク、旧盆)や旧正月などの名節にも深夜まで明かりを灯したからだ。親戚たちが集まっている家から離れたいという若者たちにとっては、ここが避難所の役割を果たした。
「名節避難所」という言葉を広めたのは、ある語学学校だ。名節の連休にイベントを開き塾に通わない学生にも講義室を開放し食事や飲み物を提供したイベントだった。この時、語学院がつけた副題が「親戚軍団の帰還」だった。
名節避難所が好評を得ると似たようなイベントを開く居酒屋もでき、避難スペースを設けたところでボランティアを募集したりした。ある人は親戚軍団を避けて避難所に向かい、そんな人に奉仕すると言って避難所に行き…。奉仕する人も奉仕される人もとても気が合う。
避難所に行けなかった嫁は偽ギブスで名節を迎えた。演劇用の小物やエイプリルフールのイベントに使われた偽ギブスは2014年から流行り始めたが、当時、一部のネットショップでは商品が品切れになるほどだった。
手をギプスの間に入れると20~30分で完全に固まるが、その上に弾性包帯を巻くとまんまとだまされてしまう。使い方が簡単なので、これを求める人が多いようだ。
新型コロナウイルスで今年は故郷に帰る人が大幅に減ったにもかかわらず、偽ギブスを売るオンラインショッピングモールは依然として盛況だ。
「他の人は行かないと言っているのに、なぜ私たちは?」
もしかしたら被害意識がもっと大きくなったのかもしれない。
「名節避難所」や「偽ギブス」は名節の意味を振り返らせる。
長い間、会ったことのない親戚に会うという懐かしさが消えたからだ。避難所や偽ギブスは親戚の絆を断ち切る。
自分と自分の家族でなければ親戚も、舅姑や妻の親も厄介になってしまったのではないかと心配になる。
「息子の嫁さん、早く来い。今年の皿洗いはお義父さんが全部やってやる」
こんな垂れ幕も無駄だ。
最初から顔を合わすこと自体が負担なら、あらゆる薬も効果がないだろう。 - Lim, Chul | 入力 2021-09-21 00:00:00