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【韓国コラム】ホッキョクグマ
- 昨年12月26日、アメリカの最北端にあるアラスカの気温が摂氏19.4度を記録した。東京やソウルでも暖かい天気だろうが、北極圏から近いアラスカの冬の気温が韓国の春並みに暖かかったのだ。
「北極の氷河が溶けてホッキョクグマの生態が脅かされる」という言葉は文字通りだった。
暑かった天気はすぐに急降下した。記録的な250ミリの大雨となり空から降ってきた巨大な氷の欠片が道路を塞いだ。地球の異常気象、つまり地球温暖化の影響だろう。異常気象の影響で去年1年間、アメリカでは656人が死亡し、なんと125兆ウォンに達する物質的被害を受けたそうだ。アメリカ人の10人中4人が直接・間接的に気候変動の影響を受けているにもかかわらず、ドナルド・トランプ元大統領は就任初年度にパリ協定(気候変動枠組条約)から離脱している。
アメリカの不参加でパリ協定は非常に滑稽になってしまった。
幸いにもバイデン大統領が率いる新政府がパリ協定離脱について謝罪し復帰したことで国際社会が地球温暖化に対応する第一歩を踏み出すことになった。
まだ正常に機能しているわけではない。気候変動枠組条約という聖杯にお辞儀をしながらも、いざ視線は自国の利益に向いているからだ。そのためトランプ元大統領の傲慢な言動が、むしろ率直なものだったという見方も存在する。
このような一連の事態を見ているとハンガリー出身の数学者ジョージ・ポリア (Pólya György)が作ったクイズを思い出す。
彼はこのようなクイズを出した。
ある猟師が自宅から1キロ南に行ってクマを発見して銃を撃った。逃げるクマを追いかけて東に1キロ進んで、とうとうそのクマを捕まえることができたが、そこから北に1キロ行ったところに猟師の家があった。クマの色は?
彼が望んだ答えは「白」、ホッキョクグマの色だ。
南へ1キロ、東へ1キロ、北へ1キロ行って家に帰る道は、家が北極点にある時だけだからだ。数学と地球の物理では正解が1つ*だが、人々はこの答えを聞いても簡単に満足できない。
「猟師の家が複数あるかもしれないのでクマの色が分からない」とか、「猟師の家が大きすぎてクマの色が分からない」というユーモアな回答もある。
「私が見る白は、あなたが見て感じる白と同じなのか。果たしてホッキョクグマの白は絶対的に白毛なのか」という疑問をなげかける人もいれば、「北に行ったから赤(共産主義者)だ」と言い張るマッカーシズム的観点も提示される。
最近は「保護すべきホッキョクグマを狩った」と猟師に対する非難が殺到している状況だ。そして、ホッキョクグマを見たことがない普通の人たちの考えはこうだ。
「私はそんなことを知らない。クマはクマの色だろう」
それぞれ違う人間の考え方を統一させることができない限り、気候変動枠組条約は空念仏になる機能性が高い。そこから人類の不幸が始まったのではないかとも思う。 - Lim, Chul | 入力 2022-01-08 00:00:00