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サムスン電子「非常事態」…「米インテルの逆襲」で

インテル「ファンドリー事業を強化」 

  • サムスン電子「非常事態」…「米インテルの逆襲」で

世界一の総合半導体(IDM)企業の米インテルは、米アリゾナ州に200億ドル(約22兆7000億ウォン)を投資して2つの工場を建設し、半導体ファウンドリー(受託生産)事業を強化すると電撃発表したことでサムスン電子は「非常事態」になった。

サムスン電子としては、世界一のファウンドリである台湾TSMCと尖端プロセス競争も手にあまるなかで、豊富な設計資産(IP)に莫大な資金力、ジョー・バイデン米政府の全幅の支援を背負ったインテルまでが競争者に浮上したわけだ。李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長が掲げた「2030年システム半導体世界1位」も難しいのではないかという懸念が出ている。

これまでインテルはファウンドリ事業を完全に手放したわけではない。インテルはすでにファウンドリ事業で数兆ウォンの年間売上げを上げているものと推定される。インテルはPC用の中央処理装置(CPU)とメモリ市場で確固たる市場支配力を維持してきたが、2010年代半ばからこのような地位が揺れはじめてファウンドリにも目を向けた。

インテルは特にスマートフォン革命を見落としたが、サムスン電子にファウンドリの主導権を奪われた痛恨の過去は忘れていない。アップルがiPhoneを初めて開発した当時、モバイル・アプリケーション・プロセッサ(AP)のファウンドリをインテルに委託しようとしたが拒否されて、サムスン電子と契約したからである。これはサムスン電子がファウンドリ事業を成長させる重要な足場になった。

今回、インテルはファウンドリ事業を本格化して、このような過去の不振を洗い落とすために切歯腐心すると予想される。インテルはモバイル半導体市場で米クアルコムや英ARMにおよばず、PC用チップ市場でも米AMDに押されている。このような中で、アップルとマイクロソフト(MS)にAmazon(アマゾン)のようなこれまでの大規模な顧客が半導体の直接設計に乗り出しており、新しい成長動力は切実だ。インテルのパトリック・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は23日(現地時間)、「インテルは顧客が信頼できるソフトウェア、半導体、パッケージ、製造プロセスを備えた唯一の企業」だとし、「世界のために継続的かつ安全に半導体を供給し、爆発する需要を満たすことができるだろう」と明らかにした。

インテルのファウンドリ進出宣言で、サムスン電子は尻に火が点いたかっこうだ。ファウンドリ事業は豊富な半導体IPと莫大な設備投資が成功の必須条件だ。半導体の創始と言えるインテルは、CPUから通信・サーバ半導体、モノのインターネット(IoT)、メモリまで膨大なIPを数十年間蓄積してきた。またシリコンバレーの頂点で、クアルコム・AMD・NVIDIAのなどの主要半導体設計専門会社(ファブレス)との密接なネットワークを構築している。

これだけではない。バイデン政権は半導体の自国生産を強調する米国の半導体崛起を明らかにした状態だ。バイデン政権が全幅の支援に乗り出せばアップル・クアルコム・NVIDIA・AMDなどのファウンドリ業界の4大顧客はもちろん、MS・アマゾン・IBMなどの現地の代表情報技術(IT)企業がインテルにファウンドリを任せることが起こりうる。すでにMSとIBMがインテルのファウンドリ宣言と協力計画を公開した状態だ。インテルは「IBMとのコラボレーションは生態系全体での半導体製造技術革新を加速し、米国の半導体産業の競争力を高め、米政府の重要な取り組みを支援することを目的とする」と強調した。

サムスン電子としては台湾TSMCとの競争に加え、インテルまで相手しなければならない局面だ。特に米国顧客の誘致のためには、現地の工場増設が避けられない。すでにTSMCはアリゾナ州に2024年の稼動を目標に、5ナノ級の新工場を建設し始めた。サムスン電子はテキサス州オースティンに1基のラインを備えているが、これは14ナノ級のプロセスが全てだ。業界の関係者は「現在、サムスン電子の5ナノ級先端ファウンドリラインは、クアルコムとNvidiaという大規模な顧客が大部分を占めている」とし、「これらを逃さずに新規顧客を引き付けるには、米国の工場増設はさらに急がれる状態」だとした。
  • 毎日経済 | イ・ジョンヒョク記者/パク・チェヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2021-03-24 20:35:38




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