トップ > 数字経済 > 企業 > サムスンSDI、米国進出を本格準備…外部人材のスカウトで体制強化

サムスンSDI、米国進出を本格準備…外部人材のスカウトで体制強化


  • サムスンSDI、米国進出を本格準備…外部人材のスカウトで体制強化

最近、サムスンSDIは外部人材をバッテリー事業の副社長に迎える破格の人事で体質強化を急いでいる。

今年の第2四半期に電気自動車(EV)用バッテリー事業の黒字転換に成功したサムスンSDIは、早ければ今年の下半期に確定する北米の新工場などの大規模な投資を控えて組織を革新する姿だ。

4日のバッテリー業界によると、サムスンSDIは今月初めにチャン・レヒョクKAIST電気電子工学教授を副社長に迎え入れた。チャン新副社長は中・大型円形バッテリーシステム先行専門タスクフォース(TF)の長として、主にバッテリーパック分野の技術革新を指揮することになる。サムスンSDIは「チャン新副社長はすでに会社顧問として活躍してきただけに、付加価値の高いバッテリーパック技術を向上させる適任者」だと説明した。

サムスンSDIは外部人材を副社長級の幹部に迎い入れたのは、同社がバッテリー事業に注力し始めた2000年代半ば以来では初めてだ。特に通常ならば12月に実施する定期役員人事とは別に行われたことで、さらに破格だという評価が出ている。チャン副社長は1967年生まれで、40代だった2012年と2015年にそれぞれ電気電子学会(IEEE)と国際コンピュータ学会(ACM)の碩学会員に選ばれた。これらの学会の碩学会員は優れた業績を積んだ人材のみに与えられ、毎年50人ほどを選ぶ。

サムスンSDIは外部DNAの輸血のほかに、素材事業の再編も着々と進めている。サムスンSDIは先月、完全子会社のエスティエム(STM)社にバッテリーの核心素材である陽極材の製造ラインの一部を譲渡した。現在、蔚山工場内で増設している新規設備や建物など合わせて約1000億ウォンだ。

サムスンSDIは2019年と昨年にかけて、すでに1000億ウォン規模の陽極材ラインをエスティエムに譲渡したし、陽極材ライン投資のためのエスティエム有償増資にも参加した。サムスンSDIはバッテリーコストの40%以上を占める陽極材の生産ラインをエスティエムに集めて内在化率を高め、競争力を強化する方針だ。

これに関連し、サムスンSDIは国内の素材企業エコプロビーエム(ECOPROBM)と合作した「エコプロイーエム」を通じて陽極材の供給を受けている。エコプロビーエムも下半期に浦項第2工場の着工を推進しており、ハンガリーへの追加投資も検討することが分かった。またサムスンSDIはスマートフォン用小型バッテリーの製造センター長にペク・スンギ天津法人長(常務)を着席させるなど、いくつかの役員人事も断行した。

サムスンSDIのこのような動きをめぐって、大々的な生産基地の投資を控えた組織整備という分析が出ている。サムスンSDIは今年、約1兆ウォンを投資してハンガリーのゴッド市に角形電池の工場を増設する計画だ。既存の4ラインに4ラインを追加してゴッド工場の生産量を倍増するという目標だ。ゴッド工場は来る3四半期から次世代角形電池である「Gen5(ジェネレーション5)」を独BMW社に供給する。Gen5は陽極材の素材であるニッケルの含有量を88%に高め、1回充電あたりの走行距離を600キロメートルにまで引き上げたハイニッケル電池だ。

市場の最大の関心事は、サムスンSDIの北米投資計画だ。サムスンSDIはLGエネルギーソリューションとSKイノベーションに続いて、数兆ウォン台の電池セル製造用新工場を米国に建設することが有力視している。市場では投資規模が1兆ウォンまたは3兆ウォンに達することがあると見ている。世界第4位の自動車ステルランティス(Stellantis/フィアットクライスラーオートモーティブグループとプジョーシトロエングループの合弁会社)、米国EV企業のリビアン、独BMWなどが主要な投資パートナーとしてあげられる。サムスンSDIは第2四半期の実績発表会で「米国・メキシコ・カナダの協定(USMCA)が発効し、2025年からは主要部品の北米生産は避けられない。サムスンSDIも遅れないように米国進出を推進して計画を具体化する」と投資計画を策定した。

サムスンSDIは第2四半期にEV用の中・大型バッテリー部門で黒字転換を達成し、ビジネスを成長軌道に進入させた。また1兆ウォンの現金性資産を確保したことに続き、ハンファ総合化学の株式全量の処分で1600億ウォン以上の現金を加えるなど、投資で実弾を着実に集めている。産業界はサムスンSDIの米国への投資確定が熟したと見ており、発表時期を見計らっている雰囲気だ。財界では李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長が今月中旬に赦免または仮釈放された場合は、さらに投資の時計が早くなるだろうという観測も出ている。
  • 毎日経済 | イ・ジョンヒョク記者
  • 入力 2021-08-04 21:12:39




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア