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LG Energy Solution、常温充電が可能な全固体電池を開発


LGエネルギーソリューションは「夢のバッテリー」と呼ばれる全固体電池の商用化を妨げていた難題を解決し、商用化の段階に一歩近づいた。LGエネルギーソリューションと米サンディエゴ大(UCSD)の共同研究陣は去る24日、これまで60度以上でのみ充電が可能だった全固体電池の技術の限界を超えて、常温でも急速充電が可能な技術を開発したと明らかにした。特に今回の研究結果は、世界的な科学誌「サイエンス」23日(現地時間)に掲載されて成果を認められた。

LGエネルギーソリューションとUCSDの研究陣は、全固体電池の陰極から導電材(電子の移動を助ける微粉末炭素)とバインダー(電極を安定させる素材)を除去し、5㎛(マイクロメートル/1㎛は100万分の1メートル)サイズの粒子を持つ「マイクロシリコン陰極材」を適用した。

シリコン陰極材は既存の黒鉛陰極材に比べて10倍の容量を持っているが、充・放電中の体積変化が大きいことから採用が難しい素材だった。このことからシリコンを小さくして陰極材に適用すると常温でも充電が可能だっただけでなく、500回以上の充放電を繰り返しても80%以上の残存容量を維持することが分かった。

研究陣は「シリコンを採用した全固体電池のなかで、常温で充放電の寿命が500回以上というのは初めて」だとし、「現在商用化されているリチウムイオン電池に比べ、エネルギー密度も約40%高めた」と説明した。

電気自動車に使われるリチウムイオン電池は、陰極と陽極から発生する「電子」の移動を通じて「電気」を発生させる。電子が陰極と陽極を移動する通路である「電解質」は、液体を使用する。液体電解質を使用しているために温度変化によって膨張したり、あるいは外部からの衝撃発生時に漏液等などが発生して電池の損傷の危険が存在した。陰極と陽極が接触してショートした場合、火災につながることもある。

電解質を固体に変更すると爆発の危険性は減少し、安全性に関連する部品を減らす代わりに、バッテリーセルをさらに詰めこんで容量を最大化できる。全固体電池を「夢のバッテリー」や「次世代電池」と呼ぶ理由だ。

とは言え、まだ全固体電池を実用化するには技術的に越えなければならない山が多い。全固体電池の分野で最も先頭にいるという評価を受けるトヨタは7月、世界初の全固体電池が搭載されたプロトタイプ車を公開したが、商用化は2025年と予想している。また商用化も純粋な電気自動車ではなく、内燃機関を助ける「ハイブリッド車」に優して先搭載することを目的としている。

全固体電池の商用化を妨げてきた代表的な障害が高温充電だ。リチウムを陰極に採用した従来の全固体電池の場合は温度に敏感で、60度以上の高温環境でのみ充電が可能だった。充電速度も遅いことが限界として指摘されてきた。

今回の研究では、LGエネルギーソリューションがオープンイノベーションの次元で毎年開催される「バッテリーイノベーションコンテスト」の支援課題だった。 2017年にUCSDとLGエネルギーソリューションの研究グループが提案した「硫化物系固体電解質を使用する全固体電池の開発」課題の一環として、いま現在4年めの研究が進行中だ。 LGエネルギーソリューションの関係者は、「現在も支援が継続して行われている」とし、「今後も安定した成果が出てくるだろう」と期待した。

ただし今回の研究は実験室で実現した成果であるだけに、商用化にすぐさま結び付けることは難しい。業界はまだ全固体電池の商用化までは5~10年の時間が必要だろうと見ている。研究を率いたUCSDのモン・イン教授は「まだ解決すべき課題がたくさんあるが、今回の研究ではシリコン陽極問題に対する有望な解決策を提示できるだろう」と期待した。 UCSDの研究陣は「ユニグリッドバッテリー」というベンチャー企業を設立し、関連技術の商用化に乗り出している。商用化に成功すると、LGエネルギーソリューションもその技術を自由に活用することができる。

一方、LGエネルギーソリューションは高麗大学と次世代バッテリー部門の人材養成のための契約学科を設立し、大学院新入生の募集を開始した。博士課程と修士・博士統合課程で運営される課程を終えれば学位取得とともににLGエネルギーソリューションに取捨する構造だ。企業と大学がバッテリー学科を開設するのは今回が初めてだ。
  • 毎日経済 | ウォン・ホソプ記者
  • 入力 2021-09-24 19:29:11




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