サムスン電子を覆う3つの「暗雲」

半導体不況と供給網遮断、スマホの停滞 

  • サムスン電子の四半期別実績の推移


市場で予想されたように、サムスン電子は史上初の四半期売上げ70兆ウォン時代を開いた。しかしサムスン電子をはじめとする情報技術(IT)・半導体業界の表情は明るいだけではない。サムスン電子の業績を入念に調べてみると、収益性低下の兆候が見えるなかで、外部からの複合危機が押し迫っているからだ。半導体とともに実績の二大柱であったスマートフォンが突破口を見つけられないことも、サムスン電子の前途に暗雲を垂れめさせる実情だ。

■ サムスン電子、歴代最高の四半期売り上げ

サムスン電子は去る8日、第3四半期は暫定売上げ73兆ウォンと営業利益15兆8000億ウォンを収めたと明らかにした。事業部門別の詳細の実績は今月28日に公開する。証券業界の推定によると、営業利益15兆8000億ウォンのうちの約10兆ウォンがメモリ半導体およびシステム半導体などの半導体事業が占めるようだ。これは営業利益全体の約67%に達する。

専門家らは、今年の第4四半期までは半導体事業が前年比で堅調な成績をあげて、業績を牽引するものとみなす。ただし第3四半期を乗り越えることができないだろうというのが大体の見込みだ。国内の主要証券会社の第4四半期の業績見通しは、売上げ73兆?75兆ウォンと営業利益15兆ウォン水準だ。オ・ギュジンDB金融投資アナリストは「第4四半期はDRAM価格の下落反転で、サムスン電子の営業利益の減少は避けられないだろう」と予想した。

今年の年間では、サムスン電子は売上げ280兆ウォンと営業利益53兆ウォンを上げるだろうと期待される。売上げは直前の最高値であった2018年(243兆7700億ウォン)を圧倒する、史上最大値が確実視されている。売上げ300兆ウォンにわずか20兆ウォンだけ残した数字でもある。

しかし2018年と比較すると、収益性悪化の兆候が顕著に現れている。サムスン電子は2017年から2年間続いたメモリー半導体のスーパーサイクルに支えられ、2018年は売上げ243兆7700億ウォンと営業利益58兆8900億ウォンを記録した。営業利益率は24%を超える。一方、今年の予想営業利益率は約19%にとどまっている。

■ 半導体スーパーサイクルの停滞

サムスン電子の収益性を圧迫する第一次要因は「半導体のピークアウト(Peak out/高点から下る)」だ。今年に入って高空行進を継続していた半導体の価格は第3四半期から急に停滞し、業界ではスーパーサイクルは予想よりも早く収束しているという分析を出している。市場調査機関のDRAMエクスチェンジは先月末、今年の第4四半期のPC用DRAMの固定取引価格は5~10%が、サーバ用DRAMの固定取引価格は最大で5%下落するかもしれないとにらんだ。

実際、業界ではメモリ半導体の供給は予想よりも早く需要を上回ったという分析が多い。特に半導体好況論を維持していたウォール街の投資銀行(IB)ゴールドマン・サックスが否定論を展開して、ピークアウトの主張にいっそう力が乗せられる。ゴールドマン・サックスは、「短期的にはPC用メモリの注文減少とモバイルおよびサーバー用半導体の需要も減って、全体的な価格の下落傾向が予想される。市場ははっきりとした兆候なしに沈滞しており、来年上半期まで半導体需要の調整が予想される」と説明した。

■ 半導体供給網の遮断

電力難とコロナがかみ合って招いた供給網ショックも問題だ。激しい電力難と2022年北京オリンピックに備えた環境規制を強調する中国は、下半期に入って全国の電力供給を減らしたり遮断している。このために半導体とスマートフォン・家電の原材料価格は、文字通りに垂直上昇している。代表的には、半導体ウェハの原料であるケイ素(金属シリコン)は中国産のシェアが67.5%だが、最近では雲南省と四川省などの生産量が従来より90%以上減少し、今月初めまでの3ヶ月間で国際市場価格が322%急騰した。

東南アジアはコロナ19のデルタ変異が拡散し、サムスン電子の家電・スマートフォンの生産にブレーキをかけている。サムスン電子の中核生産拠点であるベトナムはコロナの拡散傾向が続き、工場の稼働率は半分を下回るケースも頻繁な状態だ。このほかに世界のシステム半導体の品薄によって、スマートフォンの円滑な生産も支障をきたしている。

■ スマートフォン事業の停滞

サムスン電子のスマートフォン事業にも、継続して危機説が提起されている。

プレミアムフォン市場では、米Apple(アップル)社のiPhoneが先を行く中で、中シャオミなどの中国企業は中・低価格の携帯電話を前面に出して、サムスン電子を追撃している。サムスン電子の世界スマートフォン市場でのシェアは、継続的な下落傾向を免れずにいる。市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、第2四半期のサムスン電子はスマートフォンの出荷台数5790万台を記録してシェア1位を守った。しかし出荷量は昨年よりも24%減り、シェアも3%ポイント落ちた17.63%にとどまった。この期間にシャオミは前年同期比で2倍以上に増えた5300万台の出荷量(16.11%)で、サムスン電子とのシェア格差を1%ポイント台にまで減らした。プレミアムフォンと第5世代(5G)市場でも、サムスン電子は競争力の確保に苦労している。 アップルのiPhoneシリーズが年間1億台以上を販売している間に、サムスン電子のギャラクシーシリーズの年間販売台数は3000万台レベル以下に下がってきた。

ギャラクシーZフォールド3とZフリップ3など、サムスン電子の第3世代のフォルダブルフォンが市場で突風を起こしているが、全体のスマートフォン市場の大勢を変えるにはまだ足りない。昨年、全世界のフォルダブルフォンの販売比率は1%未満だった。このことからサムスン電子は、今年の4月からスマートフォン事業を担当する無線事業部の経営診断に乗り出した。 7月までに予定されたが、診断は8月に延ばされた後に再び延長された状態だ。
  • 第3四半期のサムスン電子部門別利益推定値

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  • 毎日経済 | イ・ジョンヒョク記者/パク・チェヨン記者
  • 入力 2021-10-08 20:27:17