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ポスコ浦項製鉄所の稼働中断 電気自動車・変圧器などの生産に支障


  • ポスコ浦項製鉄所の稼働中断 電気自動車・変圧器などの生産に支障
  • 台風で浸水したポスコ浦項(ポハン)製鉄所3厚板工場で職員たちが排水作業のために消防ポンプを緊急投入している。[写真提供=ポスコ]

韓国の鉄鋼生産の3分の1以上を担っていたポスコ浦項製鉄所の稼動が49年ぶりに初めて中断された余波が産業界の随所で現れている。

15日、鉄鋼業界によると昨年基準で浦項製鉄所の粗鋼生産量は1685万トンだ。これは韓国国内全体の粗鋼生産量の35%に当たる。

この日まで「休風(一時的稼動中断)」に入った溶鉱炉(高炉)3基がすべて正常稼動を始め、高炉で作られた溶銑の不純物を除去し成分を調整する製鋼工場も一部正常化した。転炉7基のうち4基と連続鋳造8基のうち4基が再稼動に突入したのだ。

しかし、これは鉄鋼半製品(スラブなど)を作ることができるという意味に過ぎない。台風で浸水被害を大きく受けた熱延・厚板工場など圧延ラインは、まだ排水作業が真っ最中だ。圧延とは熱・圧力を加えて用途に合わせて鉄を加工することだ。すなわち、圧延ラインが回るまでは完成品の生産が不可能だ。正常な生産が可能になるまでポスコでは3か月、鉄鋼業界では4~6か月を予想する。

問題は少なくない完成品が国内鉄鋼会社のうちポスコだけ、それも浦項製鉄所だけで作られるという点だ。

代表的な品目が電気鋼板だ。電気鋼板は無方向性・方向性に分けられるが、無方向性は電気自動車の重要部品である駆動モーターの核心素材だ。しかし、需要に比べて供給(年10万トン)が少ないため今回の生産中止前にも品薄現象が起きてきた。ポスコグループ社のうち電気自動車用駆動モーターコアを作るポスコモビリティソリューションによると、現在在庫は1か月分に過ぎない。その後は追加金を払ってでも中国の宝山鉄鋼や日本製鉄などから購入しなければならない。2020年上半期、1トン当たり1000ドル前半だった無方向性電気鋼板の価格は現在2000ドルを超える。こうでもしなければ完成車メーカーの電気自動車生産計画に支障が生じる。電気鋼板の供給ができなければ直ちに目前に迫った変圧器の増設・交換も進行できない。電気業界の関係者は「通常10~11月には冬季電力過負荷に備え変圧器の容量を増設したり古い変圧器を交換する」とし「そのためには今から変圧器を生産しなければならないが方向性電気鋼板を手に入れることができない状況」と吐露した。

また、年間200万トン以上生産される船材やステンレススチール(STS)もポスコ浦項製鉄所でのみ生産される。両製品は建設現場からベッドスプリングに至るまで広範囲に使われる。厚板(338万トン)の次に多く生産される冷延(291万トン)も、後工程が再び稼動するまでは市場に供給されない。他の鉄鋼会社の製品を使えば良いがポスコの生産能力があまりにも高く、冷蔵庫・洗濯機の製造業者が「供給ショック」を避けることは難しいと予想される。結局、中国や日本の鉄鋼会社から輸入するのは避けられないと鉄鋼業界は分析する。この場合、米国・中国間の貿易葛藤が変数になりうる。現在、米国は中国産の鉄鋼に対して高率の関税を課している。財界関係者は「電気鋼板をはじめ、中国など外国産鉄鋼を輸入するためには自動車メーカーなど顧客企業の認証が必要だ」とし「現実的に米国の顔色を伺わざるを得ない状況なので政府と前方産業企業間の議論が必要だ」と伝えた。
  • 毎日経済 | イ・ユソプ記者
  • 入力 2022-09-15 17:24:17




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