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出前アプリ(App)10兆市場、年間取引1兆ウォン


  • 出前アプリ(App)10兆市場、年間取引1兆ウォン
  • 出前アプリ画面、左側から右側へ「ペダレミンジョク」「ヨギヨ」「ペダルトン」

ソウルの新林洞に住む自炊生キム・ダウンさん(27)は、スマートフォンにダウンロードした「出前アプリ」愛用者だ。アプリに接続すると、ピザ・チキンなど新林洞近隣の出前飲食店の情報がひと目に入ってくる。利用者が残した後記と評点・飲食店の社長のコメントを確認するのが必須だ。注文と決済をアプリを通じて一度に解決した後、少し待てば家に注文した食べ物が配達される。キムさんは、「チラシをいちいち集めなくてもよいので便利です。電話であれこれ説明しながら注文しなければならない煩雑さも減らせる」と耳打ちした。

2年前まで中華料理店の出前スタッフとして働いていたクォン・ドンアンさん(37)は、出前アプリのおかげで最近人気のある中料理店の社長になった。出前のアルバイトをしていた当時、クォンさんは、中華料理店が出前アプリサービスに登録した後から注文件数が目立って増加したことに気付いた。彼は、「出前アプリの広報効果をうまく活用すれば、直接店を出しても勝算があるだろう」と判断して独立し、小さな中華食堂「オジョ」をかまえた。アプリのリビュー欄に写真とメニュー説明を添え、面白く食べ物を紹介して顧客が上げた利用後記にこつこつとコメントをつけた。こうして顧客とうまく疎通したおかげで、出前アプリ登録業者のうち、売上10位圏に名前をあげた。

10兆ウォンの出前料理市場を狙ったモバイル出前アプリ業者の求愛が熱い。

出前アプリサービスは使用者の位置に基づき、近隣の出前飲食店を知らせ、利用者が残した後記や評点を通じて事前に飲食店の水準を把握できるようにするサービスだ。アプリで店を選び、電話番号を見て注文することも可能だが、アプリを通じてモバイル自動注文から決済まですべておこなえる。アプリを利用する場合、追加割引特典を受けることができ、人気を集める。

アプリのダウンロード数上位にランクした代表的な3つのアプリは、「ペダレミンジョク(配達の民族)」「ヨギヨ(すみません)」「ペダルトン(おかもち)」だ。それぞれ累積ダウンロード数1000万・550万・900万件を誇る。ニールセンコリアクリックによると去る3月、これらのモバイル純訪問者数は合計298万人に達する。そのうち半分を占めるペダレミンジョクの月平均取引額(550億ウォン)を土台に推定してみると、全体の出前アプリ市場規模は、年間1兆ウォン(取引額基準)を越えるものと予想が可能だ。

出前アプリ業者の成長の勢いも急勾配だ。13万件の飲食業者が登録されたペダレミンジョクは、2010年6月にサービスを開始して以降、売上額が2011年の4億6000万ウォンから昨年107億ウォンへと2年の間に23倍も増えた。登録業者数18万件のペダルトンも昨年80億ウォンの売上を達成し、2011年に比べて8倍増加した。

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現在、モバイル訪問者数基準の先頭走者はペダレミンジョク。ヨギヨが後を猛追している。ヨギヨは昨年12月、TV広告を始めながら訪問者数が前月に比べて64%以上増加した。これによって市場シェア率が急上昇するなり、これに負けじと去る4月、ペダレミンジョクもTV広告を後を追って始め、競争に火がついた様相だ。ペダレミンジョクを運営する業者「ウアハンヒョンジェドゥル」とヨギヨを運営する「アールジーピーコリア」は今年初め、それぞれ120億ウォン・145億ウォンの投資誘致に成功し、さらに幅をきかせている。

モバイル出前アプリとともに、ソーシャルコマース業界もこの市場に注目する。チケットモンスターは今年初め、出前飲食店クーポン販売に本格的に乗り出した。ソウルの一部地域で出前飲食店と直接提携を結び、注文料理の最大15%まで割引してくれるサービスだ。チケットモンスターのキム・ソジョンチーム長は、「今年に入り、出前の食べ物関連の商品が昨年に比べて10倍程度増えた」と雰囲気を伝えた。

TV地上波広告の競争も熱い

業者ら「手数料高すぎる」と不満

注文・決済システムの改善必要


4年前、初めてペダルトンが登場して以降、一時期は100件余りの出前アプリが雨後の筍のように生じたが、昨年末を起点にこのような傾向はやや落ち込んだ。かわりに上位3件のアプリ中心に再編される姿だ。

初期の出前アプリはスマートフォンの普及増加に支えられ、飲食店のチラシを代替する広告プラットフォーム形態の単純なサービスとして始まった。スマートフォンを通じて多様な飲食店情報を一場に集めておき、注文件数が多かったり評点が良い飲食店が上位にランクされる広告効果をもった。登録された飲食店は、毎月固定的な広告料を出前アプリ業者に支払った。

ペダレミンジョクのソン・ホギョンコミュニケーションチーム長は、「ほとんど出前飲食店がどこにあるのか知らない場合が多いが、出前アプリが配達可能な飲食店を知らせてくれる窓口の役割をした。事業の初期には、飲食店業者が出前アプリサービス効果を知らずに加入を嫌がったため、数か月間無料でサービスを体験させた。注文者が増える効果を認識した後に、業者が直接登録を希望してきた」と語った。

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最近、出前アプリは広告プラットフォーム形態から進み、コマース(commerce)プラットフォーム形態に変化する傾向だ。利用者がアプリを通じ、直接飲食店に電話で注文できるサービスをそのまま進行しながら、同時にモバイル注文・決済サービスを追加したものだ。電話注文は、出前料理が到着すれば出前スタッフに直接お金を渡す一方、モバイル決済はモバイルで電子商取引方式でなされる。昨年初め、ペダルトンとヨギヨがモバイル決済システムを導入したのに続き、ペダレミンジョクも参加した。手軽なモバイル決済方式を好む利用者の要求に符応するだけでなく、出前アプリビジネス拡張効果もみた。

ヨギヨのパク・ジヒ副社長は、「広告プラットフォームだけではビジネスが成長するのに限界がある」とし、「注文と決済がともに可能なコマース形態に転換すれば、プラットフォームの使用者が多くなるほど使用者に伝わるサービス改善効果もさらに大きい。登録業者と利用者すべてにより良いサービスを提供する基盤を用意すると同時に、プラットフォーム独自の売上の追加的な成長も期待できる」と付け加えた。

コマースプラットフォーム形態に変わりながら、出前アプリの収益モデルも広告収益から決済手数料の収益に移している。決済手数料は、決済額の一定比率を出前業者から出前アプリが受け取る手数料の収益だ。業界によると、未だ決済手数料の収益の割合は、全体収益の20%程度と少ないが、次第に拡張される可能性が大きい。広告収入は出前アプリ登録業者が多くなってこそ増えるが、決済手数料の収益は出前アプリを通じた登録業者の注文量が増えるとともに増加する構造だからだ。

モバイル決済サービスに加入した業者のペダルトンとペダレミンジョクは、固定的な広告費に加えてそれぞれ決済額の最大11%(付加税含む)・13.8%(付加税含む)・ヨギヨは広告費なしに17~20%(付加税含む)水準の手数料を受ける。

活況な出前アプリサービスがさらにしっかりと定着するためには、まだ解かなければならない課題が多い。

とくに、適正決済手数料の水準をもって雑音が絶えない。一部の出前飲食業主の間で、手数料がとてつもなく高いという反発が出始めたということだ。いくつかの業者は、アプリで注文する価格を売場での価格より高く表示し、手数料を除いてもマージンをさらに残そうとする手口を使ったりもする。結局、被害が消費者に転嫁される状況だ。

ソウル中区のある出前飲食店の社長は、「ほとんどの出前飲食店の純収益が約10%程度なのに、出前アプリの決済手数料はそれより高い。商売の収益を全部出前アプリに取られている。出前アプリを通じた注文が続けて入ってきており、サービスをやめられないでいるが、チラシを配るのがもっとましだと考えたりもする」と訴えた。

これに対し出前アプリ業者は、サービスと手数料水準に満足する業者も多いと反駁する。ペダルトンのイ・サンフンマーケティングチーム長は、「出前アプリサービスを利用する前、出前飲食業者は月平均20~30万ウォンのチラシ広告費を使うと知られている。出前アプリの月定額広告料が3万~5万ウォンラインであることと比較する時、費用がはるかに節減されるということだ。モバイル決済手数料の部分に対しては、現在の水準から2%程度減らすなど、業者の不満を解消していく方向で協議していく予定」だと語った。

モバイル注文・決済システムが完全に自動化されなかったという点も問題だ。現在は顧客がモバイル注文・決済した内容が出前アプリ電算網に受付されると、出前アプリ業者のコールセンターで再度飲食店に注文内容を電話で伝える方式が主を成す。顧客が直接飲食店に電話し、一度に注文していたものが、2回に分けてなされるというしくみだ。そのようなせいで出前情報が誤って伝わったり、時間が長くかかり消費者の不満も提起される。

最近、顧客の注文と同時に、出前業者の端末機もしくは業主の携帯電話に情報が表示される自動システムに次第に変わっている。

しかし、電話で注文内容を伝えられることに慣れている業主が多く、完全な転換は容易でない状況だ。パク・ジヒ副社長は、「飲食店に設置された端末機を通じて伝達するなどの自動注文方式に50%以上転換した。さらに良い自動化システム開発プロジェクトも進行中」だと語った。
  • 毎経エコノミー_ソ・ウンネ記者
  • 入力 2014-04-29 11:15:05




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