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サムスン電子 Siriを作ったニュアンス・コムの買収を推進

買収価格の交渉中...スマートホームの世界市場先行獲得の布石 

サムスン電子が世界最高の音声認識技術を保有している米国のニュアンス・コミュニケーションズの買収を進めていると伝えられた。

米国の経済紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)は16日(現地時間)、サムスン電子がニュアンス・コミュニケーションズ買収のための、水面下の接触を進めていると報道した。ニュアンス・コミュニケーションズはAppleのiPhoneの音声認識サービス「Siri」を作った会社だ。

サムスン電子はニュアンス・コミュニケーションズ買収のために私募ファンドなどと手を組んで、年初から買収意志を打診してきたと伝えられた。サムスン電子は昨年11月、アナリスト・デイで積極的な買収・合併(M&A)の試みを予告していた。サムスン電子側はこれと関連し、「何も確認してさしあげられない」と明らかにした。秘密保持を基本とするM&Aの特性上、両社が直接に交渉の進行状況を明らかにすることは難しいと思われる。ニュアンス・コミュニケーションズは1992年の設立以後、音声認識技術を基盤にした「ドラゴンスピーチ」「ドラゴンディクテーション」などのサービスで有名になった。携帯電話だけでなく、テレビやナビゲーションなどに音声認識技術を適用した経験が豊富だ。

現在、サムスン電子はAppleとニュアンス・コミュニケーションズの最大取引先の一つだ。既にGALAXYスマートフォンやタブレットPCなどにもニュアンス・コミュニケーションズの音声認識技術が使用されている。ニュアンス・コミュニケーションズはAppleとサムスン電子やアマゾンだけでなく、中国のIT企業とも取引関係を維持している。

サムスン電子がニュアンス・コミュニケーションズの買収を試みるのは、「モノのインターネット(IoT)」の競争力強化のための事前準備作業と考えられる。「モノのインターネット」は人や物および電子製品がインターネットでつながったもので、人の声で家電製品を作動させたり停止させて制御するために、音声認識技術が絶対的に重要だ。

サムスン電子は去る4月、ウェアラブル機器に「外出」「帰家」などの音声命令を下すことでエアコンや照明・ロボット掃除機などを操作する、スマートホーム・サービスを韓国・米国・英国など11カ国で披露したことがある。しかし、現在のところは簡単な命令しか認識できないレベルで、本格的なスマートホーム・サービスのためには音声認識の技術レベルをさらに高めなければならないという指摘が提起された。サムスン電子のニュアンス・コミュニケーションズ買収は、向後のスマートホーム市場をめぐって、アップルとの競争で優位に立つという試みとしても窺われる。Appleは最近、世界開発者会議(WWDC)でスマートホーム・サービスの「ホームキット」を発表し、サムスン電子に一種の宣戦布告を行った。「ホームキット」はiPhoneで家庭の温度調節装置など、スマートホーム関連の機器を制御できるソリューションだ。ニュアンス・コミュニケーションズ買収は、これに対するサムスンの反撃として見ることもできる。特に、ニュアンス・コミュニケーションズはAppleの音声認識サービスである「Siri」を作ったという点から、サムスン電子のニュアンス・コミュニケーションズ買収はAppleに重大な脅威となりうる。

とは言えAppleやGoogleなどは、将来のスマートホーム市場を狙った独自の技術開発とは別個に、会社買収・協力締結などの複雑で多様な試みを行っており、今後の市場を予測するのは容易ではない。

サムスン電子のニュアンス・コミュニケーションズ買収の最大の障害は買収価格だ。ニュアンス・コミュニケーションズのこの16日の終値基準の時価総額は54億2000万ドルに達した。

さらに、サムスン電子の買収説が提起されて株価は急激に上がっている様相だ。

サムスン電子が大規模なM&Aを念頭に置いて、高い営業実績を基盤に現金を確保してあるとはいえ、これまでに大規模なM&Aを成功させた経験が不足することから、最終契約までは確信できない。

韓国では「企業ハンター」として知られるカール・アイカーンがニュアンス・コミュニケーションズの株式19%を保有する筆頭株主であり、これも障害になりうる。
  • 毎日経済_イ・ヂンミョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-06-17 17:34:40




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