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TPP参加すれば年3億ドルの黒字...不参すれば1億ドルの赤字

韓国政府、TPP損益分析を初公開 

  • TPP参加すれば年3億ドルの黒字...不参すれば1億ドルの赤字
韓国が環太平洋経済連携協定(TPP)に参与すれば、貿易収支は年間で最大3億ドル増えると分析された。自動車・繊維・鉄鋼などの製造業が直接に恩恵を受ける業種であるうえ、肯定的な生産誘発効果により、TPPをめぐるバランスの軸は参与に向かって傾いたという分析が出た。

しかし、肉・魚類などの農水産業は、貿易収支だけではなく生産の減少も憂慮される。コメ関税化猶予の終了をめぐって通商懸案が混戦を重ねるなか、TPPと韓・中自由貿易協定(FTA)までが重なり、農業被害が加速化して、今年の下半期にはこれをめぐる激論が避けられないようだ。

韓国の産業通商資源部は2日、韓国の国会に「TPP参与・不参与時の業種別・分野別影響分析」報告書を提出した。昨年7月に対外経済政策研究院が発表したTPPのレポートが、マクロ経済への影響の程度を観察したならば、今回の産業研究院・農村経済研究院・海洋水産研究院などが作成した「TPPレポート第2弾」には、交渉と譲歩のシナリオに沿った産業別の影響が盛り込まれた。事実上のTPP参与を計る尺度だ。まず、TPP参与時の貿易黒字は、年間2億~3億ドル増えると観測された。メーカーの貿易収支は年間2億~4億ドル好転するが、農業と水産業の貿易収支はそれぞれ4000万ドルと3000万ドル減少すると予想された。

一方、TPP不参与の場合は製造業の貿易赤字が年間1億ドルに悪化すると分析された。年間生産の増大効果は参与時に1兆ウォン、不参与時は4000億ウォンと見込まれた。参与時には、製造業は1兆ウォン以上の生産増加効果をみるが、農業は1000億ウォン、漁業は500億ウォン前後の生産減少が予想される。

分野別では、製造業の中でも自動車・鉄鋼・繊維は貿易収支と生産効果が上昇し、化学・非鉄金属・生活用品は悪化するものと見られる。農業は肉類・果実・果菜・酪農品、水産業の中では魚類・甲殻類・軟体類の生産が減少すると見られた。

カナダとオーストラリアとの相次ぐFTAで、TPPに伴うマクロ経済効果が半減したという点も目立つ。

韓国の対外経済政策研究院は昨年のレポートで、TPP参与時の韓国の実質国内総生産(GDP)は、発効10年後に2.5~2.6%の増加、不参与時は0.11~0.19%減少するとみたが、今回の報告書では同じ基準での参与時は実質GDPが1.7 ~1.8%の増加、不参与時には0.12%低くなると予想された。対外経済政策研究院の金準東(キム・ヂュンドン)通商貿易室長は、「カナダとオーストラリアとのFTAの効果を今回のTPPの影響分析から除外して、TPPに伴う当初の効果は減少する側面がある」と語った。韓国がTPPに参与するということは、農水産業の貿易赤字を製造業の貿易黒字で埋めることができるという意味なので、全体的には参与に糸口をつける見込みだ。

しかし、難関も少なくない。まず、TPP不参与に伴う製造業の貿易赤字の悪化の程度(1億ドル)が、参与に伴う期待効果(最大4億ドル)よりも総量が少ないことが現実だ。ここでの1億ドルはTPP参与時の、農水産業の貿易収支減少とほぼ同じ水準だ。

けっきょく製造業の被害の程度と農水産業の被害の程度は、参与・不参与に基づいて克明に分かれる。ここにコメ市場開放と韓・中FTAに伴う農産物の被害を考慮すれば、TPP参与のための政局を乗り越えるところの負担はより大きくなる。

さらに、政府は高率関税をかけてコメ市場を開いても、TPPはコメを交渉から除外して保護するという立場だが、現実は容易ではない。TPPをめぐって5大農産物保護を鉄則とした日本が、米国との交渉でコメを一部でも開放することを決定する可能性も残っている。

この場合、韓国もコメ開放の負担をそのまま担うことになる。このことが、韓国がTPP参与を下手に急げない理由でもある。今回のTPP報告書はコメを譲許から除外することを前提にしたため、TPPでコメ市場が一部開放されれば農民の被害負担が増える。
  • 毎日経済_キム・ユテ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-07-02 17:41:21




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