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数字経済 > マーケット > 韓国でナホルロ旅行(1人旅行)ブーム、年齢比では20・30代が多い
20年めの会社員パク・スチョルさん(48・仮名)の今年の夏季休暇のテーマは「休憩」だ。家族とともにすごす休暇は、実際には「自分だけの休暇」とはほど遠い。むしろ家族に対する集中奉仕期間だ。2週間あとには、完全に一人だけの単独休暇に発つパクさんは、ときめく心を隠せない。目的地はいつも夢見てきたスペインのサンティアゴ巡礼だ。結婚生活16年めに初めて許可された、「自分だけの旅行」だ。職場で溜まった疲労は一週間のあいだに吹き飛ばす予定だ。家族の心配もしばらく置いておこう。
最近、大企業などを中心に2週間の休暇を与える「集中休暇制」が広がり、「一人休暇」が新しい旅行のトレンドとして定着した。家族であれ友人であれ、ワイワイ騒いでこそ休暇らしいという言葉は古語だ。一人休暇はもう未婚の女性・独身者だけの専有物ではない。長い休暇中の半分を家族サービスで使い、半分は仕事と家族から解放され、自分だけの「安息日」にしようと中年サラリーマンの「逸脱(?)」が始まった。
国土交通部が韓国交通研究院に依頼して実施した夏季休暇アンケート調査によると、今年の夏に休暇を過ごす人のうち、3人以上が同行するケースは84.4%だ。 2005年(91.5%)と比較すると目に見えて減った。一方で、同じ期間に2人で一緒に休暇を過ごすケースは8.2%から14.1%に増え、「ナホルロ休暇」を楽しむナホルロ休暇族の割合は0.3%から1.5%に、5倍ほど増加した。インターパークによると、最近エアテル(航空・宿泊をパッケージにした旅行商品)海外旅行のうちで、30%以上がナホルロ休暇者(一人休暇者)として分析された。一人旅行客全体の83%は20~30代の若者たちだが、しだいに40~50代の中年(17%)もナホルロ休暇((一人休暇)に加わっている。一人消費文化が広がり、休日さえも「ナホルロ(一人)」で発つケースが増えているわけだ。
来年に還暦を迎えるウォン・ヨンソンさん(59・女)は最近、4泊5日間の夢のような時間を過ごした。子供二人の世話をしてほしいという長女の願いを断れなくて、この数年間を育児に追われてきたウォンさんは、「本当に久しぶりに味わった自由だった」と語る。ウォンさんは、済州島のあるホテルに一人で滞在し、「完全な休息」を満喫した。思いっきり寝坊して、食べたい物も腹いっぱい食べた。新鮮な空気を吸いたくなれば、一人であたりの道を歩いた。夕方にはスパで全身の疲れを洗い流した。夫の食事を用意するという負担もなく、孫たちを幼稚園に送るために朝からせわしくたちまわる必要もなかった。いまや孫や孫娘をもつお婆さんになってしまったウォンさんには、十数年ぶりに訪れた「自由時間」だ。
ソウル大学心理学科のクァク・クムヂュ教授は、「ナホルロ休暇((一人休暇)のトレンドは、SNSなどでさらに広くなった人間関係に囲まれて暮らすこの頃の現代人が、休暇だけは完全に自分だけの時間として活用したい心理を反映している」とし、「家庭と職場からはじまるストレスを解消し、殺伐とした人間関係から少しでも脱却したいのが現代人の姿」と分析した。
「戦闘食糧かついで無人島」、ちょっと変わった「潮干狩り」などさまざま
ティモンで販売されている「ソム旅行 2弾」。釜山から船に乗って、日本の北九州を巡る日程だ。未婚男女が対象。短い期間だが、さまざまなカップル・ミッションの遂行を通じて「カップル作り」をサポートする。「ソムタギ(潮干狩り)」とはまた別の「ソムタギ(相手探し)旅行」だ。休暇がユーウツなシングル族のための、カスタマイズ商品だ。
一人で発ってホテルで休む「ヒーリング旅行」、有名休暇地に劣らず人波が押し寄せる「テンプルステイ」などは、いまや休暇の一類型として定着したほどだ。血気盛んな20代の若い男性たちの休暇法は、斬新どころか奇抜だ。大学生のイ・スチャンさん(23)は今回の休暇の時、テアン沖の無人島に行ってくるつもりだ。もちろん一緒に行く者はいない。食料は市中で入手可能な軍隊式戦闘食糧だ。遊撃訓練に劣らない「苦行」の目標は「克己」だ。
「ナホルロ休暇」が広まり、このような「一人休暇」旅行者を狙った商品も洪水のようにあふれている。特にチケットモンスターやウィメプなどのソーシャルコマースには、実利派「シングル休暇族」をつかまえようと必死だ。テンプルステイは一人休暇者のためのベストセラー商品だ。曹渓宗では全国110の名刹プログラムを盛り込んだ統合情報センターを構築し、体系的に申請者を受け付けている。