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韓国製「遠隔リハビリ治療機器」…米国で人気


  • 韓国製「遠隔リハビリ治療機器」…米国で人気
  • ネオフェクト社製「スマートグラブ」


「コロナ19」事態で患者の病院訪問を最小化する現実的な制約のために一時的に許可した非対面電話診療が、あたかも水が流れるように無理なく拡散して実効性も高いことが示されたことから、遠隔医療の全面施行に対する声が高まっている。

これまで一部既得権の医師勢力の反対にぶつかって、20年目でモデル事業のみながら一歩も前に出なかった政府も、遠隔医療施行に対して前向きな姿勢に旋回した状態であり、これまで以上に遠隔医療が現実化する可能性が大きくなったという雰囲気だ。

遠隔医療を行うには医師と患者を接続する機器と正確な診断・処方、事後決済まで行うプログラムが必要だが、情報技術(IT)強国である韓国はすでにそれにふさわしい技術力を備えている。医療法上の非対面で医師が処方して診断を下す遠隔医療が禁止されているが、許可のみされるとすぐに遠隔医療を実施するのに充分な関連技術力を確保した革新的な中小企業が多い。

国内で開発した遠隔医療機器を海外で販売し、活用している企業も少なくない。「遠隔医療を導く革新中小企業」シリーズを通して、遠隔医療市場をリードする革新的な中小企業を紹介する。遠隔リハビリ医療機器の韓国企業であるネオフェクト(Neofect)社の代表商品「スマートグラブ」は、米国でオンラインビデオを通じた双方向遠隔リハビリ機器として広く活用される。脳卒中などの中枢神経系疾患の患者が手袋式で作られたスマートグローブをはめて、コンピュータの映像を使用してセラピストの説明と指示に従って、リモートでリハビリを受けるようにしたものだ。

患者の手の動きの情報は、Webポータルに接続されたスマートグローブを介してリハビ治療師に毎日配信され、このようなデータをもとに治療師は患者にどのような運動を行うように画面を見ながら注文することができる。チェックされた運動量はネオエフェクト医療スタッフのためのWebポータルに送信され、継続的に管理することができる点も効率的だ。ネオフェクト社は手の動きのためのスマートグローブのほか、スマートバランス(足)、スマートボード(肩・腕)、スマートキッズ(子供用)、コンコグ(認知症リハビリテーション)などのリモートリハビリ製品7種を米国市場に出した。筋骨格系や神経系の損傷による下半身リハビリを助けるスマートバランスは、1月に米ラスベガスで開かれた世界最大のエレクトロニクスショー「CES 2020」で革新賞を受賞した。

このように、患者とリハビリセラピストを映像とWebポータルで接続し、患者が病院に行かなくても自宅で手軽にリハビリを行うことができることから米国で人気を集めているのに対し、遠隔治療とカウンセリングが禁止されている国内では病院のみに製品を納入するだけで、家庭には販売することができない。ネオフェクト社のパン・ホヨン代表は、「リハビリ患者は体が不自由で病院訪問が困難なだけに、遠隔経由で頻繁にリハビリをするのが重要だが、スマートグローブを開発しても肝腎の国内ではまともに活用できていない」と指摘した。

それとともにパン代表は、「スマートグローブなどわが社の製品を使用した多くの医師は、リモートでリハビリ運動をさせることが患者の治療に大きく助けになると言う」とし、「リモートリハビリ治療は医師の処方をもとにするため、医師の利害関係を侵害するものではない」と強調した。同氏は「米国を含め40カ国以上に、わが社の製造したリモートリサイクル製品7種を輸出している」とし、「国内で遠隔医療が可能になるとリハビリ・トレーニングを非対面にするための技術的な問題はほとんどない」と説明した。

これと関連しネオエフェクト社は、データをベースにしたリモートリハビリプログラムで国内の監督当局に規制サンドボックスを申請した状態だ。政府の許可を受ければ2年のあいだ、米国のようにリモートリハビリのモデル事業を進めることができる。また、非対面医療(遠隔医療までを包括)で何よりも重要なのは、情報通信技術(ICT)をベースにした患者と病院間のデジタル接続システムの構築だ。ウェアラブル測定機器やスマートフォンなどを通じて、患者の健康情報が病院内のプラットフォームに転送され、これを医師が監視できてこそ正確な処方が可能だからだ。この時に患者の診療データがデジタル化されていれば、医師がリアルタイムで患者の情報を見ることができるので、医療データの技術は遠隔医療の実施に必須だ。

これと関連し、病院内のデータをデジタル化する医療画像情報システム(PACS)の技術を保有しているIT医療機器専門企業のインフィニティヘルスケア(INFINITT Healthcare)社も、遠隔医療時代を準備している企業の一つだ。インフィニティヘルスケア社のキム・ドンウク代表は、「デジタル化された診療データがない場合は遠隔医療は不可能」だとし、「磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピュータ断層撮影(CT)などを通じて収集された多数の診療データを単独のサーバに統合した後、データ管理とリアルタイム照会などを行うことができるプラットフォームを提供するPACSを遠隔医療に活用することができる」と説明した。

デジタルヘルス情報企業のライフセマンティクス(LifeSemantics)社はコロナ19事態が拡散するやいなや、3月に電話診療支援ソリューション「エフィルケアM」を無償配布した。症状を疑う者が体温や心拍数、血圧などの自己診断データをアプリに上げると、医療スタッフはノートPCにインストールされたエフィルケアMプログラムで監視することができる。これらの製品は2018年に「エフィルケア」という品目名で食品医薬品安全処のユヘルスケア(Ubiquitous Health Care)診断支援システムとして許可された。

同社は「当時の技術でも非対面診療が可能だったが、医療法の制約上で出荷が遅れたが、コロナ19事態で一時的に活用できるようにした」と説明した。エフィルケアは患者がインターネットに連動したモバイルアプリを使用して定期的に本人の健康状態を入力すると、医師が監視した後に深刻な場合は来院を要請することができる。ライフセマンティクス社は遠隔医療の許容状況に応じて、オンライン上の処方・診断が可能なエフィルケアのアップグレード版をリリースする計画だ。

とは言え、非対面医療の一つであるオンライン医薬品の流通などはまだ道のりは長いという評価だ。これはオンラインで消費者に専門医薬品を販売することで、米国や英国・日本・中国などではオンライン流通が活発だ。しかし国内の薬事法は薬局以外の場所での医薬品販売を禁止しており、必ず処方箋を持って薬局を訪問する手間をかけなければならない。業界の関係者は、「完全な非対面医療や遠隔医療にするには、処方された薬までオンラインで購入することができなければならない」とし、「技術的に難しくないので、最終的には制度の改善の問題」だと指摘した。
  • 毎日経済_キム・ビョンホ記者/イ・ジョンファ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-06-04 23:17:50




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