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韓、精油各社「泣き顔」…低硫黄燃料が値崩れ

「コロナ」で船舶の貨物取扱量が減少 

  • 韓、精油各社「泣き顔」…低硫黄燃料が値崩れ
  • 高・低硫黄燃料の価格推移


今年の国内精油各社の業績改善に親孝行役を果たすものと期待されていた「低硫黄燃料」の価格が急激に下落し、関連業界に憂いが深まっている。

世界的に船舶燃料の硫黄含有量を低下させる規制が今年の1月から施行されて、精油各社は低硫黄燃料の生産量を増やして市場の拡大に対応してきたが、コロナ19の拡散で船舶の貨物取扱量が減って価格が下落したわけだ。精油業界は今年の低硫黄燃料販売による営業利益は、昨年に期待していた目標の半分水準にとどまると見ている。

去る17日、カナダ所在の船舶油価格情報会社である「Ship & Bunker(シップアンドバンカー)」によると、今月に入って市場で取り引きされている低硫黄燃料の価格はバレル53.1ドルで、今年1月の102.6ドルと比較して51.7%減少したことが分かった。年初と比較して半分近くに価格が落ちたわけだ。低硫黄燃料は硫黄の含有量を減らす設備を経なければならないだけに、既存の船舶油として使われる高硫黄燃料油に比べて価格が高い。今年1月の高硫黄燃料油の価格はバレル当たり56.8ドルだった。

世界170カ国あまりを加盟国にもつ「国際海事機関(IMO)」は今年から、船舶燃料の硫黄含有量基準を従来の3.5%から0.5%に下げる「IMO2020」規制を施行した。これによって世界のほとんどの港に入る船舶は、低硫黄燃料を使用してこそ接岸が可能だ。酸性雨の原因となる硫黄の排出量を削減し、船舶が環境に与える影響を最小限に抑えるという趣旨だ。

規制を控えて国内の精油各社は低硫黄燃料の生産設備を拡充するなど、素早く対応した。現代オイルバンクは昨年11月、国内で初めて船舶用低硫黄燃料専用生産設備を構築したことに続き、SKイノベーションも今年初めに1兆ウォンを投資して建設してきた「減圧残渣油脱硫設備(VRDS)」を竣工して操業を開始した。 Sオイルも蔚山工場内に「残渣油(原油を精製した残りの油)」から硫黄を除去する設備を増設してきた。

今年初めまでは国内精油各社の戦略は的中した。精油業界の関係者は、「昨年末と今年初めまでの低硫黄燃料は、市場在庫なしですべて売れた」とし、「低硫黄燃料の販売で今年のSKイノベーションは2000億~3000億ウォン、現代オイルバンクも数百億ウォンから1000億ウォンほどの利益を期待していた」と語る。昨年は米・中貿易紛争による景気萎縮で精油業界に不況が続いただけに、低硫黄燃料は精油会社の立場から「恵みの雨」のような存在だった。

予期せぬコロナ19が足を引っ張った。海運業界の関係者は、「コロナ19以来、多くの工場が稼動を中断して輸出入の物量が減少し、けっきょくグローバルな海運会社が船舶の運航を減らした」と説明した。運航する船舶が減って市場に低硫黄原油あふれだし、価格は下落した。大韓石油協会の関係者は、「今年の国内精油各社は低硫黄燃料の販売で実績改善を期待したが、戦略の変更が不可避になった状況だ」と語った。

精油各社は海運業界の繁忙期である第3四半期に入って、低硫黄燃料価格の反騰に期待をかけている。一般的に年末と年初を控えた第3四半期は、世界の船舶の貨物取扱い量が最大を記録するためだ。海運業界の関係者は、「タンカー市場をはじめ、石炭などの燃料輸送量も冬を控えた第3四半期に増える」とし、「低硫黄船舶油も3~4月のように大きく下落することなく、後半の増加傾向に入り込むことができるだろう」と予想した。
  • 毎日経済_ウォン・ホソプ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-08-18 17:42:04




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