トップ > 数字経済 > 企業 > 「Azar」ハイパーコネクト社、大規模な投資誘致に乗り出す

「Azar」ハイパーコネクト社、大規模な投資誘致に乗り出す


  • 「Azar」ハイパーコネクト社、大規模な投資誘致に乗り出す

「中東のカカオトーク」として脚光を浴びている韓国のベンチャー企業のハイパーコネクト(HYPERCONNECT)社が、海外で大規模な投資誘致に乗り出す。

ハイパーコネクトは2014年、ソウル大学工学部・浦項工科大学出身の若者が意気投合して設立した映像技術の企業で、この会社が作ったビデオチャットアプリ「アザール(Azar)」は世界230カ国で1億人以上が使用している。国内外の投資業界では、ハイパーコネクトがクーパンやヤノルジャに続く、また一つの韓国ユニコーン企業(企業価値1兆ウォン以上の非上場スタートアップ)の隊列に加わることができるか神経を尖らせている。

31日の投資銀行(IB)業界によると、ハイパーコネクトは上場前の株式投資(フリーIPO)を推進するために最近、モルガン・スタンレーを諮問社に選定した。先だって8月中旬に多数の外資系証券会社に入札提案を要請し、投資誘致作業に突入した。ファンディング目標額は3000億~4000億ウォン水準と知られている。市場関係者は、「スタートアップが100億ウォン単位の投資を誘致する時、諮問社をとくに選ばない」とし、「ヤノルジャやムシンサのような1000億ウォン規模以上のファンディングを行うところが外資系IBをさがす」と説明した。

ハイパーコネクトが投資誘致に直接乗り出すのは5年ぶりだ。 2015年にソフトバンクベンチャーズ(Softbank Ventures)とアルトス・ベンチャーズ(Altos Ventures)を対象に、100億ウォン規模の切り替え償還優先株(RCPS)を発行した。アルトス・ベンチャーズは2014年にも、22億ウォン相当の普通株式とRCPSを買い入れている。国内投資家の中では韓国投資パートナーズ(Korea Investment Partners)が株式を保有している。

ハイパーコネクトは通常のスタートアップのように、資金調達に続けざまに乗り出す必要はなかった。創立初期の2016年には既に50億ウォン台の純利益を残すほど、現金創出力がしっかりしていたからだ。昨年は売上高1689億ウォンと営業利益203億ウォンをあげて、前年比でそれぞれ1.6倍と1.2倍増加した。今年の上半期には1235億ウォンの売上げと177億ウォンの営業利益を収めて常勝疾走している。

市場ではこのような特徴のために、ハイパーコネクトが私募ファンドやベンチャーキャピタルよりも一般的な企業を誘致することを好むと受けとっている。事業を一緒に拡大させる戦略的パートナーを探しているわけだ。また別の市場関係者は、「欧州と中東市場でのプレゼンスを拡大するための資金調達であり、関連サービスを展開したり、関心のあるグローバル企業が優先順位」だとし、「国内ではハイパーコネクトのビジネスモデルに力を与えるほどの大企業はみあたらない」と語った。

ハイパーコネクトは今回の投資誘致でユニコーン企業に跳躍することを希望している。今年の初めに金相憲(キム・サンホン)前ネイバー代表を経営顧問に迎え入れたのもこのためだった。キム顧問はネイバーでハンゲームの分割、LINE(ライン)の海外上場、事業構造の改革などを陣頭指揮した。

グローバル市場調査会社のCBインサイツによると、韓国のユニコーン企業はクーパン、ムシンサ(MUSINSA)、ヤノルジャ、クラフトオン(KRAFTON)、ビバリパブリカ(トス)などだ。ハイパーコネクトが兆単位の身代を認められれば、国内11番めでユニコーンに合流することになる。ハイパーコネクトは2018年にコスダック上場を推進し、韓国投資証券を主幹事会社として選定した。投資誘致作業を開始しただけに、会社の証券市場進出の時点も多少持ち越される可能性が高まった。

ハイパーコネクトは「NeoWiz Games (ネオウィズ)」で知られたアン・サンイル代表とチョン・ガンシク最高技術責任者(CTO)、ヨン・ヒョンテク最高研究責任者(CRO)が2014年に共同設立した。アン代表とチョンCTOはソウル大学工科部、ヨンCROは浦項工科大学出身だ。

コアサービスはモバイルビデオチャットアプリ「アザール」だ。アザールはランダムに接続された見知らぬ人と1対1でビデオチャットを行うというコンセプトだ。国内では認知度が落ちるが、海外市場の存在感ははるかに大きい。特に中東地域では韓国市場のカカオトークと変わらない存在感を確保した。文字と通話の代わりにビデオチャットに慣れた文化圏を攻略して大ヒットを出したわけだ。

現在、アザールは230カ国で19の言語でサービスされている。中東をはじめ、ヨーロッパやインドでの利用者が多い方だ。今年1月にはGoogle Playの非ゲーム部門の売上高で6位に上がったし、今年の上半期には累積ダウンロード5億件を突破したりもした。ハイパーコネクトの売上高の95%以上が海外で出ている。スタートアップを超えて「グローバル企業」に近いという評価に力がこめられる理由だ。

ハイパーコネクトは外見上はサービス企業だが、最終的的には技術企業を標榜する。ウェブブラウザの用途で開発されたウェブのリアルタイム通信(RTC)技術を、モバイルに初めて適用して商用化した。サーバーなしのスマートフォン自体で動作する軽量ディープラーニングエンジンだけでなく、顔を認識して拡張現実(AR)グラフィックをかぶせる機能も開発した。韓国に比べてスマートフォンの通信環境が劣悪な国で成功したことも、このような技術力のおかげだった。

ハイパーコネクトは確保した資金で技術投資を増やしていく計画だ。アザールに傾いたビジネスモデルを多様化し、第2の成長を模索するためだ。昨年4月にローンチしたリアルタイム放送アプリ「ハクナライブ」は、1年足らずで1000万ダウンロードを跳び越えた。これはアザールの初期成長速度よりも速い。また別の市場関係者は、「国内で投資誘致をするだけの誘因動機が大きくない企業」だとし、「最初からグローバル市場をターゲットに事業をひろげただけに、今後の動きはよりいっそう期待される」と評価した。
  • 毎日経済_カン・ウソク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-08-30 17:36:20




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア