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サムスン電子、ソフトウェアも一流を目指す

「品質状況盤」を作成 

サムスン電子は事業部・部処別のソフトウェア(SW)の開発状況と品質を数値化して一目で比較する社内「SW状況盤」を、早ければ来月に発足させる。これまで「衆口難防(衆口防ぎ難し)」だったサムスン電子のSW開発を、標準化された数値指標として管理して開発速度と完成度を引き上げるという目標だ。「製造超一流」だけでなく、SWも超一流に生まれ変わるという李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長の「新しいサムスン」プロジェクトの一環とみられる。

11日のサムスン電子によると、サムスン総合技術院は社内SWソリューションの開発状況を監視できるWebベースのシステムをほぼ完成した。一種のサムスンSW能力ポータルであるこのシステムは、すでに半年以上のあいだ企画・開発されてきた。発足は早ければ来月で、まずサムスン電子DS部門で活用する予定だ。サムスン電子の関係者は、「新しいシステムは各事業部が進行中のSWソリューションの進捗・完成度と品質を指標化し、ひと目で把握し比較できるようにしたポータルであり状況盤」だと説明した。

SのW開発状況を数値化しようというアイデアは、金奇南(キム・ギナム)サムスン電子DS部門長(副会長)が出したという。キム副会長は家電・半導体・スマートフォンなどのハードウェアは開発・生産状況を容易に知ることができる一方で、SWはそうではないという問題意識を持っていたと伝えられる。また「SWの開発進捗状況の定量化指標を出してほしい」と注文したことが分かった。

また別のサムスン電子の関係者は、「家電メーカーとして出発したサムスン電子は、部品の標準化を通じて製造の革新を成し遂げたが、SWは事業部ごとに開発能力の差が激しい」とし、「DSだけでなく携帯電話(IM)・消費者家電(CE)部門も導入を検討するSW状況盤は、全社のSW能力を上方に標準化しようとする試み」だと語った。

これまでサムスン電子は米国などの海外競争企業に比べて、ファームウェアとオペレーティングシステム(OS)を網羅する全体的なSW能力に対しては「まだ道は遠い」という指摘を受けてきた。 1992年に発売したウィンドウズOSベースのワードプロセッサ「訓民正音」は評価が良かったが、サムスンの社内SWに転落し、最終的には2014年に廃棄した。 AndroidとiOSに対抗して野心満々で開発したスマートフォン向けのモバイルOS「パダ」と「タイゼン」も、低い完成度と外部開発者の参加の低調で事実上は失敗した。事業部ごとにSWの開発能力が千差万別であることも、「サムスン電子はSW企業としては二流」という批判を裏付けた。

しかしサムスン電子などサムスングループの系列会社は、2010年代に入ってSW開発能力の強化に全力を尽くしている。サムスンの系列各社は、ハードウェアが中心となって補助的な地位にとどまったSWをハードウェア・SWという二大構造に改編した。

サムスン電子は2013年、人文・社会専攻の新入社員を6ヶ月のあいだ教育し、SW開発者として転換採用する「サムスンコンバージェンスソフトウェアアカデミー(SCSA)」を開設した。 2016年に当時の高東真(コ・ドンヂン)サムスン電子無線事業部長(社長)の指示で、社内放送を通じて「サムスン電子SWエンジニアがGoogleに転職を試み、成功した割合は1~2%にしかならない」「4人が6週間で開発したインスタグラムをサムスンで作成した場合、数百人が1年は取り組むことが必要だっただろう」という、痛烈な自省番組を放送したことも話題を集めた。

サムスン電子のSW能力は、単にスマートフォンアプリケーション(アプリ)、半導体コントローラなどSWを超えて、スマートホームと人工知能(AI)、システム半導体の生態系を支配するために必要な要素として認識される。サムスンはAIと第5世代(5G)移動通信、バイオと車両用半導体・電子機器を4大成長事業として集中的に育成することにし、3年間で180兆ウォンをグループ次元で投資すると2018年に発表した。業界では李副会長による今年5月の「新しいサムスン」宣言も、システム半導体とAI育成のためのSW能力強化に焦点を当てたものと解釈している。

サムスン電子は2018年、Google出身の世界的AI研究者のラリー・ヘック(Larry Heck))博士をサムスンシリコンバレーAIセンター長(専務)に迎え入れた。今年もセバスチャン・スン(韓国名スン・ヒョンジュン)プリンストン大学教授をサムスンリサーチの新所長(社長)に迎えた。世界的に名高いスン所長は昨年11月、副会長と直接会ってAI戦略を助言した。サムスン電子は今年だけで、AIの専門家1000人を迎え入れるという目標だ。

これに関連してサムスン電子は今年に入って海外では、特に米国で活動中のSW・AI・半導体の博士級人材の採用も本格化した。このほかにサムスン電子はクラウド企業のイディッシュ本・ジョイント、AIスタートアップのビキャリアス・マルーバ、インテリジェント・文章認識検索エンジンのリアクトルラボ・キンジンなどを最近買収した状態だ。
  • 毎日経済_イ・ジョンヒョク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-11-11 20:41:03




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