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オルバン、王の気力保存食「タラクヂュク」まで

韓国料理の珍味、家庭食・宮廷式ビュッフェ 

  • オルバン、王の気力保存食「タラクヂュク」まで
  • < 香ばしいシゴルコンタンと油気のとれた網焼きプルコギ >

あまりにも当たり前だが、ある三段論法。家庭食は母、母は懐かしさ、家庭食は懐かしさ。ソウルで客地生活をする多くの人たち。一人で暮らすのか、家庭をもって暮らすのかに関係なく、母が作ってくれる家庭食を食べたくなる時が多い。不思議なことに、母のいる処に行くだけであっというまに一杯がなくなり二杯めもかるい。

故郷に行きさえすれば、胃が倍にひろがるようだ。母の誠意には明らかに(!)足りないかもしれないが、それでも懐かしさをまぎらわせてくれるレストランは、見回してみると多い。二皿三皿、量を問わず無制限に食べるにはビュッフェがお勧め。汝矣島の真ん中に位置する韓食(ハンシク/韓国料理)ビュッフェの「オルバン」は、「オルバルゲ(きちんと)作って正しく並べた」と付けられた名前だ。名前からして清潔だ。事実、考えてみれば最近のビュッフェはこれという特徴がない。広々とした空間に、コーナーごとに韓国料理・中華料理・日本料理がすべて混在しているのが大部分だ。そのような点から、オルバンはひたすら韓食だけを扱った「平凡」さがむしろ特異だ。とりあえずは野菜側へ向かうと、書かれている名前が多様だ。ただサンチュだけがあるのではなく、赤カラシ葉、赤オークの葉、サムケイル、ロメインレタスなど、聞きなれない野菜が美しく横になっている。これらを盛って冷菜とサラダをひとつずつのせれば皿はいっぱいだ。

気力補充が必要だと考えた瞬間、肉類もすぐさま現れる。「ファドク サムギョプサルグイ」は直火焼きならではのカリカリさが生きていて、「網焼きプルコギ」は脂気がすっきりと抜けて淡白だ。「タックイ(鶏焼き)」も脂まみれの代わりに醤油焼きのすがたで出ている。豆腐(トゥブ)料理が特に多く、「シゴルコンタン」のような料理を、肉をひとしきり食べてからひとさじひっかけると香ばしさは倍になる。

オルバンは豆・米・醤・菜などの4大核心素材を、各地域の特産物を空輸して料理のそこここへ入れた。だから自分がよく知っている料理だけを盛れば家庭食そのままだ。とは言え、これまで韓食ビュッフェでは珍しい料理がところどころに隠れているので、それらを皿にうまくのせてこそオルバンの「チンバン(真飯)」だ。

まずは「ナクチタンタンサラダ」から。タコを包丁できざんで作る、湖南地方の有名料理「ナクチタンタン」をサラダにするアイデアをなぜ思いつかなかったのか。食べるたびに「ユーレカ」を叫びたいくらいだ。特に「ミガンタラクヂュク」を抜きにしたくはない。さっと搗精したコメを敷き(ミガン/米糠)と、これにスーパーフードの燕麦とタラク(駝酪=牛乳)を混ぜて作った、見た目にはごく普通のお粥だが、実は昔の王が食べていた宮廷食とまったく同じだ。王は朝食前から気力を養うために、「早い朝食」のいわゆる「チョヂョバン(初朝飯)」を楽しんで食べたが、その代表的な食べ物がまさにタラクヂュクだ。

家庭食と宮廷食をあれこれとりまぜて、皿に盛っておかずを選ぶことに気をとられ、食べる時には雑談も出ない。そうするうちに、いつの間にか腹がいっぱいになる。それでもデザートは食べなければと立ち上がるが、デザートコーナーの献立はよりいっそう華麗だ。麦で作ったスダン(ファチェ/花菜)とスルパン、ヌルンヂ(おこげ)、揚げたじゃがいもを甘いみつでからめたカムヂャマッタンなど、どれもこれも思い出の駄菓子だ。何よりも「カソンビ」(価格性能比)が良い。ビュッフェなのにランチ(平日)1万4900ウォンと夕食(週末・祝日を含む)2万2900ウォンで、一般的な総合式ビュッフェよりも安い。ただし一つ。週末は予約を受けない。夕方の開始時間は午後5時だが、わざわざランチを抜いて週末の午後4時50分頃にオルバンを訪れた。

きっちり5分後の、4時55分から入り口に長蛇の列ができた。ここでは時間に余裕を持って、ちょっと早めに行くのが良いだろう。いや、長い列で首を長くして待っている人々のために、レストラン側が待機者専用のシッケでも一杯ずつだしてくれればとどんなに暖かいだろうことか、頭をかすめて過ぎていった。

■ 汝矣島「オルバン」 : ソウル永登浦区汝矣島洞45-21アリアンツタワー地下1階
  • 毎日経済_ソ・ヂヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-11-21 15:59:48