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公演チケット、ダンピング戦争

不況により50~70%割引チケット・1+1マーケティング乱舞 

  • 公演チケット、ダンピング戦争
「1+1」
大型マートの品物のことではなく、ミュージカル公演チケットを買うと、もう一枚くれる割引イベントが溢れ出ている。公演の閑散期に、制作社が生き残るために打ち出した苦肉の策だ。

2月は、伝統的に公演界の「春窮期」だ。新学期を目前にし、学費などの支出が増え、公演場への外出を自制する時期だ。がら空きの客席を埋めるため、非人気公演は、70%の割引マーケティングまで繰り広げている。100回公演記念、バレンタインデー特別割引、年男・年女顧客優待など、割引名分もさまざまだ。

これまでの購入顧客は、くやしい。「定価を出して公演を観ると愚かだ」という言葉まで出る。今すぐ危機を抜け出すために、手段・方法を選ばず客席を埋める「チケット価格ダンピング」は、結局、公演市場の価格秩序を攪乱させる。高い割引チケットに対する情報がない観客は、依然として定価で購入しており、公平性の是非まで生じている。

50%以上の割引チケットが流通する経路は、主にSNS(ソーシャルネットワークサービス)だ。カカオトークの公演チケット友達と、ティモン、クーパン、ウィメプなど、携帯電話アプリを通じて公演愛好家に伝えられる。SNSに慣れない中・壮年層は、疎外されるのが常だ。

SNS広告は、チケットの販売順位を左右するほどに影響力が大きい。このため、制作社は「泣きながらカラシを食べるように」に1件あたり500万ウォンを支払いながら、SNSマーケティングに参与する。

しかし、チケット価格のダンピング副作用は、結局ブーメランになり、公演制作社に戻ってきている。チケットを事前に購入すると損だという心理が作用し、事前前売りに悪影響をおよぼす。売上額が分散されず、特定の時期に集中すると、制作社も資金難を経験するほかない。

通常チケット価格に対するバブル論難も生じる。半額で売ってもよい公演を、10万ウォン台の高価に策定するという不信が広がる。また、SNS販促の公演は、興業に失敗した作品だという偏見が生じ、その後のチケット販売にも支障をきたす。

ミュージカル評論家で、順天郷大学のウォン・ジョンウォン教授は、「近視眼的な破格割引イベントは、長期的に健全なチケット価格形成を遮る。いっそのこと最初から安く販売したほうが無難だ。合理的な価格で観客底辺を広げ、収益構造を強壮につくらなければならない」と指摘した。

制作社の間で、「自分の身を削って食べる」割引競争は、公演市場が飽和状態に達したという証拠でもある。観客数は増えないが、公演は急増している。最近、ミュージカル市場が好況を享受しながら、我も我もと飛び込み、出血競争を繰り広げている。2月の閑散期にも、130個のミュージカル(チケット前売りサイト「インターパーク」統計)が公演中だ。

過度な割引マーケティングは、競争社にも致命的な被害をおよぼす。外国ライセンスの大型ミュージカルの割引攻勢に勝てず、創作公演の興行成績が低調だ。最初から、最高価格を7万ウォンに策定したミュージカル「英雄」の制作社「エイコムインターナショナル」のユン・ホジン代表は、「14万ウォンの外国ライセンス公演を、7万ウォンで見れるので、観客がそちらに押し寄せて行く。今では創作熱情が冷め、業種転換をしたいほどに凄惨だ。市場が崩れた後、再度秩序が生じれば、その時にしたい」と吐露した。チケットは、当日に消費されなければ価値が消える商品であるため、割引の誘惑を乗り越えにくい。

専門家は、ミュージカル制作社協会の次元で、合理的で論理的な割引政策を論議する必要があると強調する。

ウォン・ジョンウォン評論家は、「文化愛好家養成のための、肯定的な割引方法を考えなければならない」と指摘した。
  • 毎日経済_チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-02-19 17:04:48




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