オーケストラ公演チケットが「45万ウォン」の秘密


この秋、「オーケストラ大戦」が繰り広げられる。「世界最高」を誇るベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)、ルツェルン祝祭管弦楽団(LFO)など、伝統と名声のある楽団がソウルに集まってくる。特に来年は音楽監督から退く指揮者サイモン・ラトルとピアノ界のスーパースター ラン・ランが動員されるベルリン・フィルの公演は垂涎モノだ。しかしときめきもしばらく、いざ前売りが始まるとファンは煩悩におちいる。

まさにチケットのためだ。

総製作費24億ウォン(業界推定)が必要とされることが知られているベルリン・フィルハーモニーの来韓公演(11月19~20日、ソウル芸術の殿堂)はR席45万ウォン(全体の座席の34%、一回当たり866席)で、今年のオーケストラ公演中で最高を記録した。

S席39万ウォン、A席28万ウォン、B席17万ウォン、C席7万ウォンの順で続く。不況により一番最初に売れた座席はやはりC席で、去る7日のチケットオープンで即日完売を記録した。価格割引なしで2回公演が売り切れた場合のチケット販売額は12億ウォンで、総製作費の50%に過ぎない。不足している予算は主催側の錦湖アシアナ文化財団とメルセデスベンツ・コリアの支援金で充当される。

オーケストラ界の「ドリームチーム」と呼ばれるリッカルド・シャイーの指揮するルツェルン祝祭管弦楽団(10月12日、ロッテコンサートホール)もあなどれない。 R席は40万ウォンであり、段階的に10万ウォンずつ落ちる。 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(11月15~16日、ロッテコンサートホール)は、R席33万ウォン、S席27万ウォン、A席15万ウォン、B席7万ウォンの順だ。クラシックマニアにも大きな決心が必要な金額だが、まして一般人の目にこのような価格がかわいく見えるはずがない。

インターネットのコメント欄には、月給をどれぐらい集めるとこんな公演を気軽に見れるのかという不機嫌な声が出ている。去る5月にはウン・スミ前国会議員がソーシャルネットワークサービス(SNS)に、40万ウォン台のチケットをめぐって「暮らすのも大変なのになんで音楽」と語り、音楽界の非難を買うこともした。

主催側がこのような現実を知らないはずはない。問題はいくら努力しても、もはや料金を下げることが難しいほどの製作費だ。企画会社が収益を最小限にとるか財団が非営利目的で推進しても、超えることのできない障壁だ。公演料金は演奏料(ギャラ)、航空運送・宿泊費、国内公演会場の貸館料と広報費、源泉税等に応じて決定される。通常は演奏者のギャラと航空費が最も大きな比重を占める。

120~150人ほどのオーケストラが動くとき、8~10トンの楽器がいっしょに動く。水準の高い楽団ほど団員の楽器は億の声を聴くほど高価であり、一般の貨物とは異なって、いちいち専用車両で特別な角度に固定される必要があり、運送費は相当なものだ。ある公演関係者は「楽器の輸送コストが全体製作費の20~30%を占め、演奏料に匹敵するときも多い」とした。

ベルリン・フィルの航空運賃は3億ウォンを超えることが分かった。団員の楽器は航空輸送はもちろん、国内に到着しても恒温・恒湿機能の備わった専用トラッでのみ運ばれる。ベルリン・フィルの全団員はチャーター機でビジネスクラスの席に座って移動することでも有名だ。事実、楽団の誕生自体が「運送費」から始まった。ベルリンフィルは1882年、外国ツアーの時に4等席に乗せたことに憤慨した54人の団員が飛び出して新たに結成した団体だ。

税金(源泉税)も無視できない要素だ。来韓公演を行った外国人の演奏者は、演奏料の22%ほどを国税庁に税金として支払って行くが、有名団体の場合はこの費用がギャラを定める際に考慮される。例えば演奏料1億ウォンで契約した場合、主催者が出す実際の費用は1億2200万ウォン程度だ。

2005年から今年まで、ベルリン・フィルの来韓を5回推進した錦湖アシアナ文化財団の関係者は、「2005年はR席45万ウォンでC席9万ウォンだった」とし、「毎年上がる演奏料と物価上昇を考慮すると、今回も収入を得るには全座席を今の2倍以上に高くしなければならない」とした。

ベルリン・フィルの演奏料は、総製作費の半分に近い「特A級」団体の一つだ。具体的な金額は機密だが、二日間の演奏料は13億ウォンと推定される。故パク・ソンヨン会長時代から続く錦湖グループの全面的な支援があるので可能なことだ。実際にベルリン・フィルの海外ツアーは費用のせいで、民間の企画会社ではなく非営利組織や国公立団体で主に行われる。

ベルリン・フィルとならんで最高にあげられるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の公演も、ロッテ文化財団(代表ハン・グァンギュ)の支援を受けて比較的低料金になった。財団関係者は「韓国であまり見ることのできない団体なので、他のプログラムの2公演をすべて見ようとするファンの問い合わせが多く、これを料金に考慮した」とした。

収益追求を無視できない民間企画は、さらに困難な状況だ。昨年から「不正請託および金品授受の禁止に関する法律(キム・ヨンラン法)」のために、大企業の協賛が減り、チケット収入だけでは高額の費用を支払うことが難しくなったからだ。招待楽団の「価格対性能比」がよりいっそう重要になった理由だ。

ある公演企画会社の担当者は、「実力に比べてギャラの低い海外楽団を発掘して、これらを国内で複数回の公演で組む戦略が必要になった」とした。今年、来韓したケルン・フィルハーモニー管弦楽団やスペイン国立管弦楽団のようなヨーロッパの中堅楽団は、観客から良い反応を引き出した。

専門家らは、クラシック市場の拡大のために最高級の楽団を呼ぶことも必要だが、長期的には名声だけに依存しない来韓団体の多様化、室内楽公演の大衆化などが緊要だと口をそろえる。
  • 毎日経済 オ・シンヘ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-07-12 23:44:14