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純宗皇帝が乗った100年前の「朝鮮リムジン」…国立故宮博物館


  • 純宗皇帝が乗った100年前の「朝鮮リムジン」…国立故宮博物館
  • 純宗皇帝御車(左)と純貞孝皇后御車。 写真提供=国立故宮博物館



去る20日、景福宮の入口の左側に位置する国立故宮博物館の1階。 2階から階段をゆっくりと降りてきて四方をキョロキョロと眺めたところ、3つの展示室が目に入った。第4展示室「大韓帝国室」と「企画展示室」そして「天文科学室」。

しかし視線を一番長く止めさせたのは、ロビーの中央に斜めに置かれた思いがけない2台の御車(オチャ)だ。「オチャ」という言葉を最近はほとんどない使わないことから少しぎこちないが、別の表現をすれば「朝鮮リムジン」ぐらいになるだろうか。

一つは大韓帝国第2代皇帝の純宗(スンヂョン、1874~1926、在位1907~1910)が乗っていたものであり、他の一つは純貞孝(スンヂョンヒョ)皇后が乗っていたものだ。両方とも紅色に外観デザインが仲むつまじく似ているが、1997年に文化財庁と現代自動車が5年にわたって修理・復元したものだ。詳細に観察すれば、車体は鉄ではなく木製だ。

外側は漆で塗装されており、内装と外装は大韓帝国皇室を象徴する黄金のプラムの花柄が刻まれている。鼻が長めで狭く、全体的な形状は西部を縫うように走る駅馬車を連想させる。

ではどちらが皇帝の乗った車で、どちらが皇后の乗っていた車だろうか。判別は思ったより簡単だ。サイズからして違う。

純宗が乗っていたオチャは大きくどっしりした男性的な気品が漂い、純貞孝皇后のオチャは相対的に小さく可愛らしい。左右前後をあちこち見回せば、可愛い感じが自然にするけれど、ブランドロゴを除けばそれはそれで最近の「お車」よりははるかに個性あふれる。

大韓帝国期の皇室でオチャを輸入して乗り始めたのは、だいたい1910年代以来だ。純宗皇帝が乗った車は米ゼネラルモーターズ(GM)が製作した「キャディラックリムジン」で、スペックは7人乗りの31.25馬力という。エンジンは8気筒で、排気量は5153㏄くらいだ。全世界に20台だけが残っているが、希少車で1918年に製作されたことから韓国年齢で言えば100歳だ。

夫人の純貞孝皇后のオチャも車種はリムジンだ。英国ダイムラーが製造した7人乗りで、スペックは純宗に少し及ばない。 7人乗りであることは同じだが、20馬力のエンジンは4気筒で排気量は3309㏄だ。しかし希少価値の面ではるかに上を行く。 1914年産で、今年なんと104歳のうえに、全世界に3台しかないと言う。国内でも現存する最古の自動車だ。

「朝鮮リムジン」2台を見て次の「大韓帝国室」に入ると、観覧の楽しみは倍加する。 1897年の帝国宣言後、近代と前近代が共存していた皇室の変化像が一目で見られる。

フランスやイギリス、日本などから輸入した西欧式の椅子やテーブルにカーテンとカーペットなどと、伝統のプラムの花柄刺繍の屏風が一緒に置かれた宮廷内部の様子は、それ自体で奇妙なインスピレーションを醸し出す。

わが国初の紙幣であり、新旧貨幣の交換証書である「戸曹兌換券」から、英親王が幼年時代に着ていた紅色プラム花柄の陸軍ローブなど、どれひとつ完全な朝鮮式でも西欧式でもない。大韓帝国はよしんば刻苦の努力にも拘わらずいっせいに国権を奪われてしまうが、それまで維持しようとしていた民族的自負心がある程度感じられる。

国立故宮博物館は大韓帝国から始まり、朝鮮時代に時間をさかのぼって観覧するのも一つの楽しみだ。朝鮮、大韓帝国時代の王室服飾と生活遺物1900点が3つの階層で10室に置かれているが、博物館自体はそれほど広くないのでひとつひとつ回ってみると良い。
  • 毎日経済_キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-03-01 16:42:41




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