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SEOUL ICM 2014、ヘッジファンドを論ずる

世界の数学者5千人が参加する世界数学者大会(SEOUL ICM 2014、International Congress of Mathematics) 

  • SEOUL ICM 2014、ヘッジファンドを論ずる
  • ハーバード大学数学科教授出身の成功したファンドマネージャー、サイモンズ名誉会長。

「数学オリンピック」と呼ばれる「2014世界数学者会議(ICM)」には、世界の有名数学者5000人がソウルに集まる。大会期間に数学のノーベル賞と呼ばれる「フィールズ賞」に加え、「ネヴァンリンナ賞」(数理情報科学賞)や「ガウス賞」(応用数学賞)、「リーラーヴァティ賞」(数学大衆化賞)などの数学界有数の賞の授賞式が開かれる。また、数学の碩学らが大衆講演と数学映画の上映、数学ゲーム大会など、一般人にアプローチするための多様なイベントが繰り広げられる。

参加者の中で最も大衆の目を引く人物は、13日の大衆講演に登場するルネッサンス・テクノロジーのジェームズ・サイモンズ名誉会長(76)だ。サイモンズ名誉会長は大会開幕日の13日午後8時に、さまざまな産業を融合して新たな価値を創出する数学の影響力を紹介する大衆講演を行う予定だ。「クァント(Quant・定量分析)キング」と呼ばれることもあるサイモンズ名誉会長は、数学者と投資家の両方で成功した代表的人物だ。

サイモンズ名誉会長23の歳にハーバード大学の数学教授になり、米・国家安全保障局で暗号解読家として活動した。その後はニューヨーク州立大学数学科の学部長職を引き受け、微分幾何学の父と呼ばれる中国人数学者チェン・シンシェン(陳省身)とともに、微分幾何学と理論物理学に大きく寄与した「チェン・サイモンズ理論(Chern--Simons theory)」を発表したりもした。しかし、彼は純粋な数学者としての生に終わることはなかった。1970年からウォール街に進出した後、1982年にルネッサンス・テクノロジーというヘッジファンド投資会社を作って運営を始めた。当時、サイモンズは数学者・統計学者など、徹底して非経済・金融家の従業員を雇用して会社を組織した。そして、数学的モデリングを通じて投資設計を行いながら、金融界でも数学が驚異的な威力を発揮できるということを証明した。

サイモンズは今年のフォーブスが選定した世界の億万長者94位に上がった。現在、資産だけで125億ドル(約13兆ウォン)だ。現在、サイモンズ名誉会長は大学に寄付するなど、慈善活動も行っている。

フランスのエコール・ノルマル・リヨン大学教授兼アンリ・ポアンカレ研究所長のセドリック・ヴィラーニ(41)教授も、今回の世界数学者大会で注目すべき人物だ。ヴィラーニ教授の研究分野は気体分子の運動性と位置を統計的に把握する「気体運動論」だ。ヴィラーニ教授は2009年12月、気体運動方程式から「セドリック定理」を完成した成果で2010年にフィールズ賞を受賞した。

しかし、今回のソウルの世界数学者会議では、「なぜ私は数学が嫌いになったのか」という映画を通じて、今日われわれに与える数学の意味について話し合う。ヴィラーニ教授はファッショニスタとしても有名だ。端正に分けられた髪と大きなリボンスカーフ、クモのブローチがトレードマークのヴィラーニ教授は、学者たちはファッションに無神経でみすぼらしいという認識を一気に破った人物でもある。

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  • 変わり種の数学の天才であり、クモのブローチを愛用するファッショニスタ、ヴィラーニ教授。

中国系米国の数学者である張益唐(Zhang Yitang)米ニューハンプシャー大学教授も、閉会式での講演のために韓国を訪れる。張教授は2500年のあいだ難題として残っている「双子素数推測(Twin Prime Conjecture)」に対して最も大きな突破口を提示したという評価を受けている。双子素数推測とは3-5や17-19などの、値が2の差となる双子素数は無限に存在するという命題だ。

専門的な数学の講演として行われる基調講演にも主要人物が参加する。今年のフィールズ賞受賞者として有力に推されている、プリンストン大学のマンジュル・バルガヴァ教授が基調講演者として登壇する。バルガヴァ教授は、フェルマーの定理を解いたアンドリュー・ワイルズ教授の指導を受けた人物としても知られている。Maryam Mirzakhani米スタンフォード大学教授、カリフォルニア大学バークレー校のVera Serganova教授など、女性数学者も基調講演者の名簿に上がっている。フィールズ賞では一度も女性数学者が受賞したことがないので、女性数学者の講演も注目される。

ファン・ヂュンムク教授など、韓国人6人講演
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今回の数学者会議に招待された韓国人の数学者を見ると、高くなった韓国数学の位相を確認できる。ファン・ヂュンムク高等科学院教授は、韓国人で初めて基調講演を引き受け、招待講演者もこれまでで最も多い5名の韓国人数学者が選ばれた。

ソウル大学物理学科を卒業しハーバード大学数学科で博士号を取得したファン教授は、国際数学界からも認められている碩学だ。1999年、幾何学の分野で難題として挙げられる「ラザースフェルト予想」を最初に証明し、これ以外にもさまざまな成果で、韓国人としては初めて2006年の世界数学者大会で分科講演者として招待を受けた。

今回の世界数学者会議招待講演者としては、ソウル大学数理科学部のカン・ソクチン教授、イ・ギアム教授、ハ・スンヨル教授と、高等科学院数学部のキム・ボムシク教授、延世大学数学科のキム・ビョンハン教授が選定された。

カン・ソクチン教授は米イェール大学で博士号を取得し、2002年に高等科学院のホン・ヂン研究員と共同で発表した「量子グループと結晶基底の紹介(Introduction to Quantum Groups and Crystal Bases)」という論文は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)、エール大学、ウィスコンシン大学大学院の教材として採択された。

イ・ギアム教授は偏微分方程式の世界的な碩学で、キム・ボムシク教授は代数指数・斜交幾何学・超弦理論の融合分野であるミラー対称性理論の世界的権威として知られている。ハ・スンヨル教授は統計物理学、キム・ビョンハン教授は代数理論に精通した学者として講演に招請された。
  • 毎日経済_ウォン・ホソプ記者/キム・ミヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-08-11 17:06:05




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