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断食テンプルステイ体験記


  • 断食テンプルステイ体験記
  • ネパールから来たソルウン(雪雲)僧侶の説明を注意深く聞いているテンプルスティの参加者達。同日、プログラムには記者(右側)と一緒に
    曹渓宗テンプルステイの広報を担当しているチョン・ヨンウルさん(左側)とユン・ビッナさん(右から2番目)が`参加した。

異色のテンプルステイ、それも断食で「定評」がある六地蔵寺(www.yukjijangsa.org・京畿道楊州の取材。

確認するまでもなく「OK」だった。

心もからにして「腹部脂肪」を減らすことが出来たら、魂(?)でも売るだろう。記者が選択したコースは六地蔵寺最高のコースという1泊2泊体験型ダイエット。効能・効果のファクト(fact)をしっかり見せる為に史上初で記者の体重も公開する。空腹に飢えるのは基本、早朝4時起床でカン・ホドンも泣くほどしんどいと言われている「遊撃108拝」まで。緊迫した1泊2日の取材現場を案内しよう。

[午後4時] 俗世を離れる

ぐらりと体重計のデジタル数字が激しく揺れる。ぴたりと止まったのは、80kg。六地蔵寺のホームページはこう案内する。「テンプルステイで1日1kgずつ減量」と。果たして本当だろうか。こっそりと日程表を覗き見るが殺人的(?)だ。食事は毎食禅食。更に千里行軍より大変だという108拝が2回も含まれる。ここへ、癌細胞まで焼いてしまうという、かの有名なモグサお灸と温灸体験の2コースがある。間々には大和尚の心の声を聞く淡々とした茶啖まで。すでに心まで清らかになる感じだ。準備するものは?ない。俗世の全ての欲望を置いて、ただ旅立てばよい。

[午後5時30分] 無残な初の供養

六地蔵寺はソウルからすぐ近くにある。仏光洞を抜けて20分ほど行くと到着する。寺の前庭に車を駐車できるのが幸運だ。寺はジウォン大和尚に似て清潔ですっきりとしている。1万坪余りに達する寺の跡地の真ん中に大雄殿が置かれており玉階段に続きその下の両側には善財堂、修禅堂が置かれている。大雄殿では、楊州道理山一帯を一望することができる。僧服をまとうと髪が長いだけで、どこから見ても修行僧(僧侶の前段階)だ。

少しの間、注意事項を聞いているとかすかに聞こえてくる木魚の音。待ちに待った供養の時間だ。晩餐(?)はリンゴ、ニンジンをすりおろした汁に僧侶たちが服薬しているという薬草の粉末が全てだ。案内を務められた金剛居士がにやっと笑って一言付け加えた。「ごくごくと飲むものではありません。スプーン一杯ずつ自分の年の数だけ召し上がって下さい」

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[夕方6時40分] 初めての茶啖神経戦

初日の茶啖は六地蔵寺ナンバー2のヒョミョン僧侶。暖かいプーアル茶をもてなして下さり、低い声でお話をしてくださった。茶啖はテンプルステイのハイライトである。清々しいお茶を共にし僧侶らと対話をする時間だ。これは素晴らしい。香りの良いお茶と同じくらい、体と心が香しくなる。サムギョプサル、オギョプサル、ユッギョプサルまで、酒池肉林、享樂の至尊だけだったが、法廷僧侶の本で目覚め29才の年で突然出家されたそうだ。「えい~」と言いながら信じられないという反応を見せるとすぐに受け返された。「以前は48kgだったが最近は太って52kgになった。この私の前に座っている記者ヤンバンは何kgだ?」大和尚様は意地悪だ。私はこう見えても心はか弱い。

[夕方7時] 今年もやってきた、108拝

とうとうこの瞬間がやってきた。恐怖の108拝。事実、108拝を超える良い「運動」はない。108拝をすれば自動的に体の温度が1度程、上昇する。癌に勝つといわれる魔法の体温37度台になる。

しかし、口で言うほど簡単なものだろうか。がらりとした大雄殿。108拝がはじまる。1拝、2拝と進行する間、様々な箴言が耳に響く。ゆっくりゆっくり荒い呼吸とともに時間も流れてゆく。時間に流されて生きてきた私が見える。人生のどのあたりまで来ているのか、自分の位置が見える。「真の自分」を正しく見る時間だ。そうだ。ずきずきと痛む腰、脚の痛みを抱え40歳になったばかりの私、それがしっかりと、いや、ようやく見えた。

[夕方8時] 魔法のモグサお灸

六地蔵寺のプログラムは科学的だ。その代表的な例がモグサお灸と温灸体験だ。続けられるモグサお灸の時間。丹田(へその下六寸目の地点)にモグサのお灸をすえる時間だ。気血の循環を旺盛に助け五臓六腑と内分泌腺の機能を強化してくれるという説明。事実、お灸は万能治療薬である。108拝のように体温を魔法の37度へ1度高める機能がある。

[夕方9時] 就寝 午前4時起床

108拝の疲労に襲われる。目が自然と閉じられる。特にすることもない。携帯電話は自動でOFF。更にインターネットも接続出来ない。だから寝るしかない。起床は朝の4時。4時30分から108拝の時間だ。普段なら、ほろ酔いになって家に帰る時間に起床だとは。

ところが、自然と目が覚めた。それなりに体が適応しはじめたようだ。夜明け、玉階段を上がって大雄殿に向かう途中に霧が立ち込める。恐らく世界が見る夢なのだろう。2回目の108拝はずいぶんと楽だ。リズムに乗り自然に体が動き出す。この際思い切って出家でもしてしまおうか。朝の供養は、間違いなくリンゴ・人参ジュース。これを歯を食いしばって噛んで飲む。一杯のスプーンに自分の年齢分である40回しっかり」。

[午前] 茶啖....そして布行く

午前の茶啖はジウォン僧侶が務めてくださる。核心はこうだ。八万大蔵経を5文字でまとめれば「 一切唯心造」と言う。すべては、決心するのにかかっている。実に納得のいく言葉だ。ところが私の心は今、肉のことしか考えていない。2日間飢えに耐えてみろ。ジウォン僧侶の言葉も耳に入ってこない。茶啖が終われば最後のコースである布行。布行とはゆっくりと歩きながら、禅を行うことだ。簡単に言えば歩きながら悟るという意味だが、それがどれだけ難しいことか。

布行後に六地蔵寺「所願を廻る」寺の跡地に沿って置かれた108梵鐘。ひとつひとつ順番に打つと、先立たれたご先祖様と自分に福が訪れるという霊物だ。3名の地蔵菩薩も見える。その表情は無心だ。ポーカーフェイスだ。まるでこのような感じだ。「祈ってみてもどうしようもない、すべては決断にかかっているのに」そうだ。「この肉体から脂肪の塊を少し取り出し少し変わったとしても、それが果たして人生だろうか。下山する途中でヤンジュ ハヌマウルに立ち寄ろう。つややかな霜降りが絶品らしい。
※取材協力=韓国仏教文化事業団、六地蔵寺
  • 毎日経済_シン・イクス 旅行・レジャー専門記者/写真イ・スンファン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2013-11-15 11:56:00




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