『新聞記者』のシム・ウンギョン…「俳優は経歴よりも素養」



2014年、シム・ウンギョン(26)は20歳で「百想芸術大賞」の最優秀演技賞受賞者として呼称された後、大きな目をぱちくりさせたことで話題を集めた。本人が最高の栄誉を抱くとは予想できなかった俳優は、受賞の所感のためにマイクの前に立った時も涙をこらえようと長い時間をかけた。「たいへん申しわけありません。わたしがもらって」と述べた。

彼女のファンたちは今年の日本アカデミー賞を見て、時がもう一度繰り返されたような奇妙な体験をした。シム・ウンギョンが日本進出3年ぶりに、最優秀主演女優賞の主人公として名を呼ばれたのだ。彼女は目をぱちくりとさせたが、マイクの前では泣くことをこらえて「受賞を全く予想していなくて、何の準備もしなかった。申しわけありません」とした。

12日、俳優シム・ウンギョンは毎日経済との書面インタビューで、「受賞を全く考えていなかった」とし、「授賞式はお祭りの意味もあるので、お祝いと感謝の気持ちで参加したけれど、とても素晴らしい俳優の方々と一緒にいる場で思わぬ大きな賞を受けて本当に驚いた」とした。「じつはまだ実感があまりないのです」。

1978年に日本アカデミー賞の授賞式が始まって以来、韓国の俳優が最優秀演技賞を受賞したのは初めてのことだ。歴史的な瞬間は、3年前から日本語の実力を基礎からじわじわと磨いてきた努力から始まった。彼女は「言語の基本的な枠組みをつかんで、その上に再びキャラクターの感情や演技的な表現を乗せなければならにことが難しかった」と振り返った。

『新聞記者』は安倍政権で起こった私学不正をモチーフにした映画だ。日本では珍しい社会告発性の映画であることから、製作段階から難航したという。その中でも揺れなかったのは、ヒロインのキャスティングだった。監督は政権の圧力にも真実を最後まで暴く新聞記者の吉岡エリカ役として、最初からシム・ウンギョンを念頭に置いていた。シム・ウンギョンがこれまで見せた演技とキャラクターが、真実だけを追う主人公とぴったり似合うと思ったからだ。シム・ウンギョンは「何かひとつのことに陥ると夢中になって、その部分だけを調査して考えるという点」で、キャラクターと似ているようだと明らかにした。

  • シム・ウンギョンは映画 『新聞記者』での熱演で、今年の日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞した。 写真提供=THE COUP



「映画は人間群像の断面を示すメディアという思いがするけれど、そのような面から吉岡エリカは無駄がありませんでした。終始真剣だったし、自分の力で困難にぶつかっていく人物でした。そして、そのような吉岡エリカを通じて見えるジャーナリズムに関する問い、私たちはマスコミを通じてどのように見て聞くのかに対する省察が感じられた台本でした」。

新聞記者に変身するために新聞社を見学し、記者たちの特徴をつかんだ。カメの首のように、首を前に突き出して働くことが印象深く、演技に適用したという。

現在26歳で俳優界では幼い側に属するが、俳優としてのキャリアは15年が過ぎた。 2004年のドラマ『結婚したい女』と映画『トマ安重根』でデビューした。その後はコメディジャンルの『怪しい彼女』や独立系映画の『Queen of Walking(歩く女王)』など、ジャンルや映画の規模を選ばず幅広く出演してきた。シム・ウンギョンは「映画を選択する基準は毎回違う」という。

「最近では人物の主体性を多く見るようになりました。私が演技する人物が、この作品の中でどのように独立性を持って動くのか、その人物から私の演技にしていくことができる余白があるのか、そのような明確さがキャラクターの中にあるかどうかを念頭に置きながら台本を読んでいます」。

母国でのスター性を土台にして日本に進出する代わりに、現地の映画界でデビューした新人のようにして階段を一歩ずつ踏んだ。韓国ではすでに確固たる地位を確立していた2017年には、そのような挑戦をするのは難しくなかっただろうか。彼女は俳優という職業の核心は「キャリア」より「素養」にあると答えた。

「私はアメリカ留学をした経験があるが、新しい経験と教養を積みたいたからでした。日本活動を決心したきっかけも同じ脈絡です。キャリアを積み重ねていくことも重要だけど、私にとって俳優という職業の資質は素養を積み重ねていくことができます」。
  • 毎日経済_パク・チャンヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-03-12 17:07:14