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今年、観客2000万人狙う俳優ソン・ガンホ

映画「雪国列車」「観相」そして「弁護人」演技は勝敗がかかるスポーツではない…私はいつでも新しい作品を渇望する 

  • 今年、観客2000万人狙う俳優ソン・ガンホ
ことし一年、1億人の観客が韓国映画に出会った。このうち1800万人がこの俳優を見た。それぞれ900万人を動員した「雪国列車」と「観相」の主人公俳優ソン・ガンホ(46)だ。彼が主役を引き受けた「弁護人」が18日の封切りを目前にしており、ソン・ガンホは今年、映画3編で観客2000万人は軽く越すものとみられる。韓国映画史上、一人の俳優が一年でこれだけ多くの観客を動員した事例はなかった。韓国の観客5人のうち1人は彼の映画を見たということだ。演技で自他公認の「ナンバーワン」俳優は、デビュー22年後に「興業キング」というタイトルも握るようになった。

彼の演技は時空間を行き来した。気候異変により終末を目前にした地球で、破局に向かって走る汽車に乗り込み(雪国列車)、1400年代の朝鮮時代にさかのぼり首陽大君が政権奪取を目的に、反対派を粛清した癸酉靖難(ケユジョンナン)の渦に巻き込まれた(観相)。映画「弁護人」では、1980年代政権の無慈悲な暴力に立ち向かう人権弁護士に変身した。

3つのキャラクターは、時代が確然に異なり個性があまりにもはっきりとしているが、ソン・ガンホはそのたびに役割に完全に入り込んで見る人を魅了した。相次いで映画が封切りになる場合、観客は俳優の顔から全作品の残像を探すはずだが、ソン・ガンホにはこの話が当てはまらなかった。それだけ役割に入り込んでいるからだ。

3編の映画で毎回多彩な魅力で2000万人を魅了したソン・ガンホの魔力は何だろうか。去る4日、ソウル市内のあるホテルで出会った「演技の達人」は、「こんなふうに良い時もあれば憂鬱な時もあるものではないか。俳優として常にうまくいって幸せなわけではない。もちろん気分がいいし感謝しているが、ことし特別にうまくいったからといってうぬぼれない。すべて通り過ぎて行く過程の中にある良い年であるだけ」と語った。

★私と監督たち

イ・チャンドン-映画を教えてくれた人

パク・チャヌク-私にとって新世界

ボン・ジュノ-「ソン・ガンホ」というキャラクターをつくってくれた


★私と「弁護人」

演技しか知らない政治は門外漢

ただ常識的な世界に生きたいという願いがあるだけ


1時間ほど続くインタビューのあいだ中、彼の話し方は全般的に落ち着いていた。

30編を越える作品の中で、残念な気持ちや後悔はまったくないという彼は、「うまくいったにしろできなかったにしろ、演技は全的に私の責任」だと語った。「演技は野球ではない」という信条を持っている彼は、「良い人たちに出会いここまで来るようになったことを感謝している」とし、「今は主役をするが、今後助演になってさらに年をとり端役をしたとしても、いつまでも演技をするだろう」と語った。次は一問一答。

Q.封切りした映画「弁護人」は、故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の弁護士時代をモチーフにした。政治的な論難が予想されるが負担にならなかったか。

A.もちろん十分に予想した。しかし、「雪国列車」や「観相」も社会的にイシューの種になるものが多かった。映画が社会的波長を与えるのは自然なことだ。映画を見ると分かるが、幸いこの映画が語ろうとする志向点を見るとまったくそうでない。偏見をもってこの映画を眺める方々は仕方がないが、映画は理念的に訴えない。本当にその時代を懸命に生きた人たちを見せる。

Q.政治的論難を覚悟していたという意味か。

A.もし私に(政治的なカラーを)かぶせるのならかぶる。私の意図とは異なりかぶされたものをどうするというのか。しかし私の人生の軌跡を見れば、私は俳優ソン・ガンホそのものだ。演技以外を知らない、政治の門外漢…私の人生がそれを証明している。

昨年、大統領選挙開票放送を見ていると、現代史を映画で整理して見せてくれた。ところが、映画が10編なら8編が私が出演した映画だった。「共同警備区域JSA」もあり、「大統領の理髪師」もあり、「グエムル-漢江の怪物」もそうだった。自分でも知らずにフィルモグラフィーがこんなふうに積もってきたんだなと感じた。私は政治カラーや理念的なカラーをあらわにする人間ではない。単に常識的な世界に生きたいという願いがあるだけ。
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Q.「雪国列車」「観相」が続々と大ヒットを飛ばし、「弁護人」も尋常でなかった。作品を選ぶ感がいいようだ。

A.私はキャラクターや素材をみて作品を選ばない。「雪国列車」で未来に行ったので過去に行かなければと「観相」をやり、過去に行ったので近い現在に行こうとして「弁護人」を選んだのではない。偶然の一致であるだけだ。ただし、この映画がどんな視角でつくられたのか、語ろうとするところが何なのかをみる。まったく同じ素材であっても新しい観点から語る映画が好きだ。

実際に彼のフィルモグラフィーを見ると、それぞれの作品は韓国映画史に里程表を残すほどにジャンルや内容が革新的なものが多い。昨年封切りした「青い塩」は、映像美を重点にロマンスを解き、「凍える牙」は刑事もので異例的に女性主人公を抜擢した。また彼は、「シークレット・サンシャイン」は人間の救済に対する奥深い主題意識が独特で出演を決心し、「渇き」・「復讐者に憐れみを」も挑発的で創意的な役割を通じて自信を壊したく出演を敢行したという。彼は「配役の大きさよりは作品のストーリーが重要だと考える。辛さよりは新しい映画を撮るというときめきと、俳優として感じる快感・喜悦が大きい」と語った。

Q.アクション・スリラー・史劇・ロマンスなど、ジャンルを問わず演技をしてきた。今では演技が神技に達したようだ。

A.そうは思わない。演技は本当にどれだけやっても辛い。とくに「観相」を撮った時は、演技というものがこんなにも辛いものなんだなとよく感じた。演技自体がこんなに不慣れに感じるのは初めてだ。2時間のあいだ髭をつけて明け方3時、零下17度だった日、ヨンインで韓服だけを着て野外撮影をおこなったが若干くらくらした。

しかし、物理的なこと以外に俳優としても限界にぶつかった気分だった。史劇が与える妙な想像力の範囲内でキャラクターをどこまで表現できるか、その負担感が一方では魅力的でもあった。

Q.毎回、役割ごとにすさまじく入り込むが、参考にする人物に対する事前調査なしに台本をみてすぐに演技すると聞いた。

A.それなりに47年を生きているが、少なくない桎梏があった。そういったものが間接的に投影されているのではないかと思う。もちろん、俳優個人の体験では限界がある。本質をとらえることが人物を表現する最初の一歩だ。ある職業をもっている人の本質を判断するのが近似値ではないかと思う。
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Q.ソン・ガンホを無条件に信頼する監督との因縁が目立つ。みな大韓民国を代表する監督だ。イ・チャンドン、キム・ジウン、パク・チャヌク、ハン・ジェリム監督について話してほしい。

A.イ・チャンドン監督は、「グリーンフィッシュ」を通じて私が本格的に映画の現場に飛び込むようにさせた。映画の演技に目覚めさせてくれた人だ。パク・チャヌク監督は、ソン・ガンホという俳優にとって新世界だ。これまでのイメージを踏襲しない彼の作品(「復讐者に憐れみを」など)で、アーティストとしての感性を再発見した。キム・ジウン監督は、私を初めて主役に抜擢(反則王)した人だ。彼のジャンル的な変奏に毎回驚き、私に新しい映画的な成就をもたらしてくれる。ボン・ジュノ監督(グエムル-漢江の怪物など)は、大韓民国の大衆の中にソン・ガンホというキャラクターを最も強烈に刻んでくれた監督だ。ハン・チェリム監督(観相など)は、自分の映画の世界を執拗に掘り下げる。その気根を尊敬している。

Q.1年に2~3編は着実に撮る。また、出演料がトップクラスだ。お金はたくさん稼いだか。

A.私は他の俳優と違って広告をたくさんしない。ドラマも撮らない。イメージがコミカルで身近なので、広告モデルとしては安くもなく高くもない報酬だ。今回の映画(弁護人)以降には、もうそれ(広告)すら入ってこないが。はは。

Q.演技こそいうまでもなく最高で、興業成績も俳優のなかでトップだ。商業映画で実験的な作品まで、やってみたことのないものがない。演技者としてさらに以上成しとげる目標があるか。

A.演技は勝者と敗者が分かれるスポーツゲームではない。演技は単に自然人ソン・ガンホが青年・壮年・老年を経ながらそれぞれの時期で感じる感情を見せることだ。人にいつでもいいことだけがあるわけでなく、すべてのことが目標どおりに叶わないではないか。私は作品一つ一つがひとつの点だと考える。失敗も一つの点で、成功も一つの点だ。俳優とはこの点をつけながらゆっくりと歩いていく走者だ。ただし、点の最終的な目標はある。いつでも新しいストーリーを通じて新しい演技をしたい。

■He is・・・

1967年慶尚南道金海で出生/1991年演劇「同乗」でデビュー/1997年「グリーンフィッシュ」「ナンバースリー」で大衆に刻印/2000年「反則王」で初主役/2003年「殺人の追憶」1000万観客動員/2006年「グエムル-漢江の軌跡」韓国映画興業1位/2013年「雪国列車」「観相」「弁護人」封切り
  • 毎日経済_イ・ソニ記者/写真=イ・チュンウ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2013-12-06 16:08:19




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