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イ・ソンミン、無骨さな中に生きる役者魂


  • イ・ソンミン、無骨さな中に生きる役者魂
18日午前9時30分、ソウル三清洞に位置するカフェ前。寒波が押し寄せるソウル都心は早朝から冷たい風が吹いた。少し早く到着したためか。インタビュー時間を30分ほど残してカフェのドアは固く閉ざされていたが、先に来た中年男性一人がその前で手を揉んで立っていた。どこか見覚えがある。じっと見つめれば俳優イ・ソンミン(48)だった。初対面の挨拶をすると「寒いのに早くいらっしゃった」と心温まる笑顔を見せた彼。初対面の人見知りが瞬時にして武装解除された。町内のおじさんのようだったと言うべきだろうか。

27日に公開される『ロボット、音』にて彼は事故で娘を失った父親ヘグァン役を熱演した。30年の演技人生、映画では初の単独主演だ。しかし彼は本人ワントップ映画で輝くことをかき混ぜた。「いやいや主演だなんて。本当の主演はそこの『音(ロボット)』ではないかと思いますね」この日インタビューした場所の片隅には彼と呼吸した先端ロボット「音」が同席した。「時々こいつが誤作動するときがありました。しまいには監督が『もうやめてくれ』と言ったっけな。はは」

映画は2003年の大邱地下鉄惨事後が背景だ。死亡者192人を出したこの事故で娘を失った父親ヘグァン(イ・ソンミン扮)。10年間娘ユジュ(チェ・スビン扮)の死を受け入れることが出来ず、都心を一人徘徊する。そんな中ヘグァンの人生に特異なロボットが突如登場するのだが、音声だけで位置を追跡し話すこともできる先端ロボット音(声:シム・ウンギョン)だ。

相手役がロボットであるため演技するのに困難はなかっただろうか。イ・ソンミンは「そこまで難しくはなかった」と話した。ただし「動作が上下左右がすべてで表情もないこの機械とどうやって調和を作り出すかは宿題だった」と伝えた。「ヘグァンは40代後半~50代前半の韓国の平凡な中年男性です。少し保守的で、あまり柔軟ではありません。そんな彼が先端ロボットに向き合ったとき、その年配男の一般的な反応を表現することが簡単ではありませんでした」

映画を撮影しながら娘のことを思い出さずにはいられなかったという。「私の周辺状況を考えながら演技したことがあまりない」という彼は今回は少し違ったという。「とてもつらい事故が背景であるためか、そんな想像自体が嫌でしたが、時間が流れ私も知らぬ間に娘を考えながら感情を移入するようになっていました。両親の本能が撮影の中に発揮されたというのでしょうか。息子はいないので良く分かりませんが、娘は少し特別なもののようです」

そんな彼の娘は現在中学2年生、他と変わらない思春期の少女だ。そのせいだろうか。父子間での言い合いが頻繁だという。「15歳の少女と50歳になるおじさんが口げんかをするんです。些細なことで激しく。たまに『俺がなぜこうしているんだ』、『あいつはどんな度胸でこんな年齢の父親と…』と考えるときがありますよ。娘がそれでも女性だからか、私が無条件に負けます。娘なのに、論理からも駄目なのに、中学生に、私が言葉も言えないのか、はは」

彼は慶北奉化の山奥出身だ。偶然に接した演劇にはまり劇団生活をしたことが俳優人生の始まりであるが、30数年中27年が無名だった。演技者にとって「知られていない」ことは死よりもより苦痛であろうが、彼は観客が知っていようがいまいが「サイの角のように」愚直に演技した。ついに『未生-ミセン-』(2014)を起点に一躍スターとなったが、現在も助演や脇役をいとわない。

「配役が大きい小さいは重要ではありません。良い人々と良い作品に参加することが意味あること」
  • 毎日経済_キム・シギュン | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-01-18 17:03:34




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