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ジャズの歌姫 ウンサン

「癒したい ... だから歌う」 

  • ジャズの歌姫 ウンサン
ウンサン(本名:キム・ウンギョン/39)の声はしっとりと落ち着いている。感情を自由に表現するジャズボーカリストだが、彼女の歌にはむしろ節制された美しさが感じられる。「淡白なジャズ」この矛盾した言葉が彼女の音楽を絶妙に表現している。彼女が10年を超えて日本で愛され続けてきたのに続き、今アメリカ進出まで夢見るようになった原動力でもある。

「今年からは行動範囲が広がりそうです」

去る13日、ソウル忠武路、メギョンメディアセンターで会ったウンソンは、慎重に、しかしときめいた表情でそう話した。アメリカのPOPスター、アリシア・キーズの夫であり有名音楽プロデュサーであるスウィズ・ビーツがウンサンの歌声に聞き、彼女の公演を観るために韓国に来るとのことだ。今回の出会いをきっかけに日本のみならずジャズの本場で活動できるかもしれないという考えに胸を膨らませた様子だった。

「新しい音楽に絶えず出会い続けることはミュージシャンの運命でしょう。まだ本格的に接したことのないアメリカ主流のポップミュージックが私をどんなふうに導いてくれるか楽しみです」

事実、ウンサンこそが日本の韓流一世代といえるだろう。18歳で出家し「何千年もの間変わらない山」という意味の「ウンサン」と言う法名を得た彼女は、音楽活動を「第2の修行」と考えジャズミュージックの土壌がまだ固められていない国内に代わり日本で10数年にわたり活動してきた。最近彼女は日本のNHKの音楽ドキュメンタリーである「Amazing Voice」で韓国を代表するミュージシャンとして、イ・ウンミと共に選定されたりもした。

「Amazing Voice」は魂を揺さぶる声を持った世界のミュージシャンを紹介する音楽番組で、韓国人ミュージシャンの出演はその時が初めてだった。インタビュー当日も彼女は、大阪、名古屋、鳥取、静岡などを巡るツアーを終えてから2日しか経過してない状態だった。しかし休む暇もなく15日に開演する「ウンサンのLOVE Story with Pops Orchestraコンサート」の準備に入った。

「私が選んだ道はゆっくりと戻っていく長い道のりでした。まわりの人たちがKTX(韓国高速鉄道)に乗って進んできたとしたら、私は国道を進んで来たといえるでしょう。でも、私は行く手にどんな山があるのかどんな道があるのかをゆっくり眺めながら進むことができたので、それが私を強くしてくれた原動力になったと思う」

ウンサンが日本で愛された理由の一つは、技巧の多い日本のボーカリストとは違っていたからだ。悲しいからといってその悲しみを全て表現したら歌う人も聞く人も皆疲れてしまう。心を込めて正直に、音楽的に歌うのが最も良いようだ、というのが彼女の説明だ。

「私が音楽をする理由は歌の上手な人になりたいためではなく、苦しんでいる人のための癒しになりたいからなの」

人々に癒しを与えたいと願う彼女は、インタビューの途中に涙ぐむこともあった。来る4月東京のある小学校でブラスバンドを行う学生たちと協演することにしたという話をしている途中だった。その学生達とは、昨年日本を襲った津波により両親を失った子どもたちだ。

「昨年タクシーに乗ったときに、70歳ぐらいに見えるタクシー運転手が、韓国も地震のせいで大変だねと言うんです。そこで、韓国には地震はないですよと答えたら、”おいおい、そんな天国がいったいどこにあるんだ”とそのように言われました。大事なことを忘れて生きていると思い知らされました」

昨年末に発売した彼女のアルバムに収録されている曲「Tomorrow」も地震により傷を負った日本人を癒すために直接書き下ろした曲である。

「誰でも皆生きるのは辛いけれどそれをどうやって乗り越えられるかについて話したいです。私は、お金がたくさんあったりとても有名だったりするわけではないけれど、音楽をどうすればもっと楽しめるかについては知っているから、そういったものを分け与えたいってことなんです」

彼女は自身が海外で音楽をするにあたり最近の韓流ブームが力になっていると述べた。

「田舎の村に行っても人々はチャン・グンソクやKARAを知っているんです。たとえ違うジャンルの音楽をしていたとしても、この広大な陸地で自分は一人じゃないんだと思えるだけで癒しになるんです」

歌手ALiの先生としても有名な彼女は現在、キョンヒ大学ポストモダン学科とタング大学実用音楽科に教授として在職し、学生らを指導している。彼女はPOPミュージックだけでなくジャズ音楽界での注目が期待できそうな後輩ミュージシャンが育って来ていると話した。

「韓国のジャズはやっとスタートしたと言えます。才能あるミュージシャンが続々と育っています。ジャズはすべてのジャンルを包含する母親のようなジャンルです。韓国のジャズがアジア音楽の歴史を塗り替えるのではないでしょうか?」
  • 毎日経済 文_キム・ジア記者 / 写真_イ・チュヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2012-02-15 12:00:00




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