サムスン家、韓国初の感染症専門病院つくる

故人の遺志を継いで 


  • 1993年4月、サムスンソウル病院の建設現場を訪れて点検中の故李健煕(イ・ゴニ)会長。 [写真提供=サムスン電子]


故李健煕(イ・ゴニ)サムスン会長の遺族は、故人の現金資産のうちから1兆ウォンを医療貢献の形で社会に還元する。遺族はこのうち感染症と闘うためのインフラ造りに7000億ウォンを、小児がんと難治療疾患を患う全国の低所得の子供の患者のために3000億ウォンを出捐する。全世界を席巻する「コロナ19事態」の再発を防ぎ、グローバル企業市民としての役割を果たしたいというのが遺族の意志だ。その根には国内医療の発展を、最優先社会貢献として強調した故人の遺志が込められている。

故イ・ゴニ会長は2008年4月、裏金と脱税などの疑いで起訴されると会長から退き、借名財産をすべて実名に転換すると発表した。それとともに罰金と支払わなかった税金を納付し、残った財産の約1兆ウォンを「有益なことに使う」と国民に約束した。遺族の1兆ウォンの現金寄付は、故人の約束を13年ぶりに守ることになる。

遺族は1兆ウォンのうち5000億ウォンを国内初の感染症専門病院である「中央感染症専門病院」(仮称)の建設を支援することにした。政府は150病床規模で一般・集中治療・高度陰圧病床と陰圧手術室、生物安全検査室を備えた感染症専門病院の建設を進めている。サムスン側はすでに詳細な計画について、政府側と議論してきたことが分かった。

遺族はここに2000億ウォンを疾病管理庁傘下の国立感染症研究所の研究施設建築費と感染症ワクチン・治療剤の開発費用として出捐することにした。寄付金はまず国立中央医療院に出捐した後、関連機関が協議して専門病院と研究所の建設・運営に活用する。

サムスン家は残りの3000億ウォンを小児患者に支援する。白血病とリンパ腫をはじめとする13種類の小児癌を患う小児に1500億ウォンを提供し、クローン病を含めて14種類の希少疾患を患う子供たちに600億ウォンが使われる。今後10年のあいだに小児がん患者1万2000人、希少疾患の患児5000人の計1万7000人が支援を受けることになるだろうとサムスン家は期待する。

サムスンの関係者は、「小児がんと希少疾患児のうちで家庭の事情が厳しい子どもたちに遺伝子検査・治療費、抗がん治療費、新薬投与の費用を支援する」とし、「治療支援にとどまらず、これらの疾患の治療薬研究のためのインフラ構築にも900億ウォンを投入する」と説明した。遺族はこれと関連し、ソウル大学小児病院が主催する委員会を構成した後、小児患者に対する支援事業を運営することにした。

故人は大衆に「韓国の半導体産業を導いた巨人」で有名だが、医療事業にも生涯をと通じて力点を置いてきた。李会長は生前、周辺から「最大の関心事業は半導体や病院」という言葉を聞くほど、医療分野を特に力を入れたという。故人は「人類の健康と生活の質を高めることは企業の使命」だと2010年5月の社長団会議でも強調している。

1994年12月に開院したサムスンソウル病院は、先進国レベルの病院を作るという故人の強い意志で誕生した。サムスンソウル病院は建設当時に3300億ウォンをかけて、世界最高水準の医療インフラを備えたものと評価される。サムスンソウル病院の出入口の壁面には「健康な社会と福祉国家実現のため隣近所の人とともにある暖かい企業としての使命を果たそうとサムスン医療院を設立した」という故人の発言も刻まれている。

故人は「遅れた病院がは患者の立場からどれほど大きな苦痛であることを知りながら、そのまま放置しておくことは企業の総帥としてできない」とし、医療現場の先進化に努めた。サムスンソウル病院は故人の指示で「患者中心のサービス」に力を入れた。故人は若くて有能な医療人材を選抜して世界的に有名な病院で学ぶようにしたし、病院の建設関係者を米国ジョンズ・ホプキンス病院や日本の東京大学病院に入院させて、患者としてのサービスを体験させてみた。

故人はサムスンソウル病院の葬儀場・霊安室の吸音設備、常駐休憩スペース、換気設備まで几帳面にチェックして改善し、病院研究所と医療機器研究所、病理学研究所をともに運営しようというアイデアも出した。この他、故人は2000年に「がん疾患克服」のためにソウル大学医学部がん研究所に300億ウォンを寄付した。

特に李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長をはじめとするサムソン家の遺族は、2015年の「中東呼吸器症候群(MERS/マーズ)」感染事態当時の悪夢を忘れていない。サムスンソウル病院は対処不十分でマーズ患者を大量に発生させた温床になって、世論の非難を受けた。李副会長はその年の6月、マーズ事態と関連した対国民謝罪を行った。

一方、こんかい遺族が小児患者の支援事業に3000億ウォンを出すことにしたことも、故人の遺志による社会貢献だ。故人はグループの総帥に上がった直後の1989年、私財102億ウォンを出捐してサムスン福祉財団を設立した。

その年の12月に開院したサムスン初の保育園であるチョンマ保育園以来、サムスンは全国で30カ所の保育園を運営している。故人は「低所得層の子供たちに質の高い保育プログラムを通じて、希望のはしごを提供しなければならない」という所信をいつも表明してきたことが伝えられた。故人は保育園の建設現場を訪れ、「5歳~6歳の子供たちのために、家具の角がたっていてはならない」と指示したり、「一日の供給カロリーはどのくらいなるのか」と尋ねるなど格別の関心を見せたという。
  • 故人の遺産額(上)とサムスンの社会貢献計画


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  • 毎日経済 | ノ・ヒョン記者/イ・ジョンヒョク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2021-04-28 17:38:33