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性売買特別法 施行10年…性売買街は消えても「奇妙な変種」のさばる

利用者も他人名義の携帯、摘発避ける 

  • 性売買特別法 施行10年…性売買街は消えても「奇妙な変種」のさばる
  • < 性売買犯罪処罰推移 *資料=韓国警察庁 >

「ソウル警察庁広域取り締まり捜査チームです。取り締まりに協力してください」

潜入警官の言葉が終わるやいなや、出入口の前で待機していた警察官がドアを壊して押し寄せた。事業主はその場からあわてて逃げようとしたが、すぐにあきらめる。服を脱いだ若い女性が慌ててタオルで体をかくす。事業所の中はあっという間に修羅場と化した。この店は俗称「リップカフェ」と呼ばれる、一種の類似性売買店だ。

去る18日午後5時、ソウル市新堂洞(シンダンドン)のある建物の地下に位置した性売買業者を急襲した警察の取り締まり現場に、本誌記者が同行した。1階にはカフェや大衆食堂が堂々と営業している一般的な建物で、外からは性売買店があることさえ気付きにくい。広域取り締まり捜査チーム所属の警察官6人はそれぞれ任務を分け、3時間前から潜伏状態に入った。「餌」任務を引き受けたある警察官は、事前に店に予約をした後、客のように店に入って性売買の証拠を収集した。店は135平方メートル規模で、類似性行為が行われる部屋だけで10室あまり備えている。事業主のキム某氏は「新大方洞(シンデバンドン)で性売買業を経営していたが三ヶ月前に取り締まりにかかり、ここでまたオープンした」とし、「まだ前回の摘発件の裁判も終わっていないので、一度だけ見逃してほしい」と訴えた。

▶ 事業主は4〜5カ所まとめて運営、一カ所摘発されても堂々と営業

23日には「性売買特別法」施行10年を迎える。違法だが事実上は合法のように横行して、「死角地帯」に置かれていた性売買に対する罰則を本格化したのはこの時からだ。しかし、性売買業者は「無限進化」を重ねて氾濫しており、取り締まりの実効性はますます低下している。

警察庁によると、性売買処罰件数は2010年の9583件から2011年は7241件に減ったが、2012年は7598件で2013年には8668件と、再び増加傾向にある。今年に入っても8月までに5137件を記録し、政府の強力な取り締まり意志をあざ笑うかのようだ。

ソウル地方警察庁のペク・ナムギュ広域取り締まり捜査2班長は、「取り締まっても終わりがないというのが性売買取り締まりの難しさ」だとし、「事業主が4〜5ヶ所まとめて運営し、一カ所が取り締まりにかかっても公然と営業を続けて‘パヂ社長(名義社長)’を仕立てるなど、加重処罰を避けるためにあらゆる手を使う」と吐露した。

▶ リップカフェ・耳そうじなど「奇妙な変種」のさばる...「取り締まりぐらい…」

業態も細分されて「リップカフェ」はもちろん、手を用いて類似性行為を行う「ヘンプルバン」、耳垢をとりつつ類似性行為につながる「クィチョンソバン(耳掃除部屋)」と「キスバン(キス部屋)」、オフィステルで性売買を行う「オピバン」などが盛況のうちに営業中だ。「ミアリ588」や「清涼里テキサス」などの「集娼村(性売買街)」は撤退を迎えて消えつつあるが、新種の性売買業者は都心のそこかしこはもちろん住宅街にまで入り込んで、「毒キノコ」のように粘り強い生命力を維持している。

これらの店は予約制や会員制などで運営され、警・検の取り締まりをうまく避けている。ほとんどはインターネットや携帯電話で予約が行われ、一部では警察のおとり捜査を避けるために、客に身分証明書と在職証明書を要求するところもある。また買い手も最近では取り締まりを避けるために、「大砲フォン(他人名義の携帯)」を使うほどだ。

警察関係者は、「相当数の江南地域のオフィステルには、こんな変種の性売買業が少なくとも2ヶ所以上はあると見ていい」と語る。

さらに業者同士が協力に乗り出して「パヂ社長(名義だけの社長)」を立てるなど、二重三重に保護膜を設けており、実際の事業主を検挙することは容易ではない。また、性売買産業の主犯であるルームサロンと居酒屋などは、依然として大通りで堂々と営業するほどに、捜査網を巧妙に避けている。2010年、ソウル大学女性研究所の調査によると性売買産業の規模は6兆8600億ウォンで、このうちルームサロンや居酒屋などの一般的な遊興店を通じての性売買額は3兆5729億ウォンに達する。

「性売買特別法」は2000年と2002年、全羅北道の群山市大明洞とケボク洞の性売買店火災惨事をきっかけに、2004年9月23日から施行された。それまで性売買取り締まりの根拠法であった「性売買行為防止法」に比べて事業主に対する処罰を強化した。法務法人トセムのキム・グァンサム代表弁護士は、「刑事的処罰のほかに摘発したら店を永久閉鎖するなど、行政的形態で管理監督できる法制度が用意されなければならない」と指摘した。

  • 性売買特別法 施行10年…性売買街は消えても「奇妙な変種」のさばる
  • < ファン・ウニョン ソウル中央地検女性児童部長 >

▶ フルサロンの一日の売上げはふつう3千万ウォンを超え...不当利益はすべて回収

「性売買は産業犯罪です。営業収益を遮断することが核心ですが、現在、法規定はあっても事実上有名無実です」

検察で性売買を抉り出す尖兵の役割を果たしているソウル中央地検女性児童調査部のファン・ウニョン部長検事(48)は、性売買を根絶するためには「処罰強化」だけが解決策だと強調した。ファン部長検事は、「性売買女性に対する検察の処分は、前科がなければ起訴猶予で前科があれば罰金というふうに、簡単に済ませることが問題」だと語る。性売買特別法によると、常習的な性売買事業主は7年以下の懲役と7000万ウォン以下の罰金を科すことができる。

ファン部長検事は、「最近氾濫しているフルサロン(性売買が含まれるルームサロン)は、一日の売上げが3000万ウォンにもなる」とし、「法が定めた最大の罰金1億ウォンを宣告しても、このように金を稼ぐ事業主にとっては小銭」だと指摘した。

ファン検事は、「口座追跡を通じて性売買で稼いだ収益規模を特定して剥奪してのち、事業主の拘束・捜査を通じて厳しく処断する」と語った。事業主の営業収益を徹底して没収・追徴し、量刑を上げて性売買営業そのものを減らしていくというものだ。

ファン検事は、「宿泊業のためのモーテルや、長期投宿のために建てられたレジデンス、事務用や住居用として建てたオフィステルを性売買に活用して摘発されたなら、建物主まで共犯者として見ることができる」と付け加えた。
  • 毎日経済_ウォン・ヨファン記者/ユン・ヂンホ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-09-21 17:33:08




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