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「新型肺炎…全面戦争が必要」韓国の科学技術団体


  • 「新型肺炎…全面戦争が必要」韓国の科学技術団体
  • 5日、ソウル市中区の韓国プレスセンターで開かれた「新型コロナウイルス感染症取り組み緊急討論会」で、イ・ジェガプ翰林大学江南聖心病院感染内科教授が新型肺炎に対する保健当局の先制的対応を促している。 写真提供=韓国科学技術翰林院



「武漢肺炎は感染力が強い上に、無症状感染も懸念される状況だ。いまや2次や3次感染など意味がない。全面戦争が必要だ」。

イ・ジェガプ翰林大学江南聖心病院感染内科教授は5日、ソウル市中区の韓国プレスセンターで開かれた「新型コロナウイルス感染症取り組み緊急討論会」で、保健当局は3次・4次感染を見据えて先制的に対応すべきだと注文した。

この日の討論会は韓国科学技術団体総連合会と韓国科学技術翰林院、科学技術情報通信部、国民生活科学諮問団が共同で主催した。イ・ジェガプ教授は、「現場で感染症の危機管理を強化しなければならないと提案しても、政府が受け入れる時点ですでに遅れてしまう状況が繰り返されている」とし、「現在は流入患者を遮断し、地域社会の伝播を防ぐことが急務」だと指摘した。これとあわせて、イ・ジェガプ教授は「今は厳格な管理と対応が切実に要求される時期」だとし、「被害を最小限にする方向で、全体的な防疫体系を点検しなければならない」と強調した。

事実、新型肺炎の伝播力はマーズ(MERS/中東呼吸器症候群)に比べて高いことが分かった。世界保健機関(WHO)は先月24日、新型肺炎の予想伝染病再生指数(R0/感染者1人が直接感染させる平均人数)を1.4~2.5と推定したが、徐々に上がって現在は2.5~3.3レベルとして分析されている。MERSの場合はR0が0.4~0.9に過ぎなかった。 SARS(重症急性呼吸器症候群)のR0は4程度だ。

症状がまったく表れない潜伏期間や、症状が弱い初期伝播に対する懸念も提起されている状況だ。李教授は「国内の3番患者が6番患者に伝播した様相を見ると、症状の初期にも感染が容易に起こると思われる」とし、「ふつう感染症は症状が深刻になったときに伝播が容易になるが、その様相と異なるパターンと解釈される」と述べた。

このような懸念にもかかわらず、保健当局は申告された新型肺炎が疑われる患者のうちで、中国に行ってきた者に限って診断を実施するなど、微温対応にとどまっている。タイから入国した16番めの患者(42才・女性)の場合は確定に先立って数回保健所側に検査を依頼したが、担当者は中国に行ってきた患者でなければ検査をしないというのが保健当局のガイドラインだとして拒否した。発汗など新型肺炎が疑われる症状で去る1日、疾病管理本部への申告後に選別診療所を訪れた50代の女性Aさんも、同じ理由で検査を受けないまま不安を抱えて帰宅しなければならなかった。当時の医療スタッフは、「隔離を望む場合は病院に残るように」という言葉だけを残したと伝えられた。

イ・ヒョクミン延世大学医学部診断検査医学科教授も、「今回の新型コロナウイルス(2019-nCov)は先に発生したSARSやマーズに比べ、適切な検査を開発して評価するための時間的余裕が比較的不足しているという側面から非常に危険だ」と警告した。続いて同氏は、「2015年に国内で問題になったマーズの場合、2012年には既に報告され「ていたし、2014年にはすでに診断法を開発した状態であったため、比較的迅速に対応することができた」とし、「一方で2019-nCovは、世界的に一度も報告されたことのない病原体であるうえに、感染力が強くて非常に憂慮すべき状況」と付け加えた。

ただし国際的に2019-nCovの分析データが迅速に共有されているという点で、新型肺炎に対するワクチンと治療薬の開発が円滑に行われることができるだろうという意見も出た。

プ・ハリョン韓国生命工学研究院感染症研究センター責任研究員は、「2019-nCovの塩基配列解析を見ると、蝙蝠(こうもり)から分離したコロナウイルスとは96%、SARSウイルスとは79.5%の類似性を示しており、細胞の感染を媒介するタンパク質がSARSと同様であることが分かった」とし、「SARSやMERSのプラットフォームを活用して、ワクチンと治療剤の開発がもっと早くに行われることもあると思う」と語った。

またプ研究員は「中国保健当局によると、初期の新型コロナウイルスの死者のほとんどが60歳以上であるか基礎疾患のある人であり、これはSARSの時と変わらない」とし、「同じウイルスであっても、宿主に応じては感染後に無症状から死亡まで、異なる結果になることがありうる」と述べた。イ・ジュシル汎部処防疫連携感染症研究開発事業団長は、新型感染症対応のためには「疾病管理本部を中心に、さまざまなシナリオによる汎部処の定期的な状況訓練が必要だ」とし、「新型感染症に起因するすべての予期せぬ状況を分析し、方向を再設定して国民と関係者を理解させることのできる各分野の専門家を参加させて育成することも重要だ」と強調した。

韓国科学技術団体総連合会のキム・ミョンジャ会長はこの日の開会の辞で、「新型コロナウイルスの対応を妨げる最大の障害は、実体を知らないという事実」だとし、「不確実な状況で社会的動揺が大きくなっているだけに、科学技術界でもこの事態をどのように対処するかが最も重要な問題になってている」と、今回の討論会の開催の背景を明らかにした。
  • 毎日経済_ソン・ギョンウン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-02-06 10:09:08




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