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サムスン電子「Neo QLEDテレビ」開発の「三銃士」


  • サムスン電子「Neo QLEDテレビ」開発の「三銃士」

  • サムスン電子ネオQLED TV開発の主役たち。左からイ・ゲフン首席、イ・ボングン首席、イ・ミンフン首席。 [写真提供=サムスン電子]


「テレビはとてもアナログ的な電子製品です。画面を見る人が良いと感じなければどんな高度な技術も意味を失うしかないでしょう。今回の開発の過程で最も重要視した点も、スペックや性能との戦いに没頭せずにモノを目の前で見るような躍動感でユーザーの没入感を引き出すことができるように努力しなければならないということでした。」

去る16日、サムスン電子水原事業場R4リテールラボ。毎日経済新聞とのインタビューのために集まった映像ディスプレイ事業部所属の研究者3人は、「数字ではなく、人の目を見てテレビを開発した」と語る。彼らが開発したのはサムスン電子が今年リリースした新製品「ネオ量子ドット発光ダイオード(Neo QLED)テレビ」だ。ミニLEDの専門家イ・ギェフン首席、半導体プロセッサの専門家イ・ミンフン首席、駆動アルゴリズムの専門家イ・ボングン首席などの三人は年初の製品公開後、米国と欧州の主要認証局・専門家に「最高のテレビ」という賛辞を受けているネオQLEDテレビを開発するために重要な役割を果たした。

ネオQLEDテレビの核心部品は「量子ミニLED」と呼ばれるミニLED素子だ。 QLEDテレビなどの既存の液晶表示装置(LCD)テレビは自ら光を出さず、別途にLED光源が必要だ。これは真性の黒の表現を難しくしてビトセム現象などの欠点につながった。量子ミニLEDは従来のLED素子のサイズを40分の1に小さくし、より多くの素子を配置することによってこのような欠点を克服しようとした。サイズを画期的に減らした数万個のミニLEDを光源として配置し、自発光ディスプレイに次ぐ表現力を実現したという説明だ。

サムスン電子がミニLED素子を精巧に制御するために開発したのが「量子マトリックス」技術だ。この技術は量子ミニLEDの明るさを12ビット(4096段階)まで微調整する。イ・ミンフン首席は「以前は明るさの段階が8ビット(256段階)レベルであれば問題はなかった」とし、「これを現在のレベルに引き上げる過程でのみ3件の特許を出したほど、サムスンの技術力が集約された結果だ」と説明した。

最適の性能を引き出すために、サムスン電子は「ネオ量子プロセッサ」というまた異なる半導体まで開発した。量子ミニLEDが楽器で、量子マトリックス技術が演奏者であれば、ネオ量子プロセッサは、指揮者というわけだ。イ・ボングン首席は「与えられた部品と技術を活用し、テレビ画面を表現するための最適の駆動アルゴリズムを見つけることが重要だった」と説明した。

イ・ミンフン首席は「中間点検品評会を毎週開いて、お互いの結果に対する指摘とフィードバックを繰り返した」とし、「今日集まった三人が開発プロセスでは本当にたくさん争った間がらだ」と笑った。

ネオQLEDテレビは構想から開発まで1年もかからなかった。これは半導体などのテレビの核心部品はもちろん、ソフトウェアまでもサムスン電子が直接担当することから可能なことだった。イ・ミンフン首席は「競合他社がテレビの心臓となるシステムオンチップ(SoC/複数の機能を一つのチップに実装した半導体)を外注に任せるのとは異なり、私たちは希望する仕様の半導体素子を直接開発して時間を大幅に短縮した」と語った。

ネオQLEDテレビはこのように、最先端の技術が集約された製品だが、開発者は「数字で表現される性能に埋没することを最も警戒した」と口をそろえた。技術的な強調点が実際の消費者の使用感に優先しないように気をつけたわけだ。特定の条件でのみ性能を発揮するよりも、一般的な消費者の視聴環境で最適な性能を提供できる製品を出荷することが最優先の目標だったという説明だ。

イ・ゲフン首席は「テレビは映像と目を接続する媒介体であるだけに、目を理解して目が最も快適な画面を作ることに集中した」とし、「開発者に先立って、テレビ消費者の位置で、多様な環境でも実物感を最もソースに近く表現できる製品を作ったと確信している」と語った。
  • 毎日経済 | 水原=パク・チェヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2021-04-21 18:52:51




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