ナノフィルターの韓エンバイオニア社、炭素繊維に挑戦


  • エンバイオニア社ハン・ジョンチョル代表


「炭素繊維複合素材の開発に果敢に投資し、世界の素材産業を率いる会社になることが目標です。」

尖端複合素材の開発企業エンバイオニア(ENVIONEER )のハン・ジョンチョル代表(57)は最近、毎日経済新聞とのインタビューで「素材産業は短ければ10年、長ければ100年先を見据えて、長い呼吸で事前に準備しなければならない分野」だとし、「炭素繊維などの先進複合素材を先取りして、急変する産業トレンドの要所を守る100年素材企業になる」と抱負を明らかにした。

エンバイオニアは対外経済政策研究院(KIEP)出身のハン・ジョンチョル代表と、ハン代表の夫人のパク・ソンウン副社長(CTO、延世大学博士)が2001年に共同創業した尖端素材の専門企業だ。 2019年10月に技術力を認められて、技術特例上場でコスダック市場に進出した。昨年の売上げは82億ウォン水準で、コロナ19の影響で前年(97億ウォン)に比べて小幅で減少したが、コロナ19が発生する前までは毎年売上げが着実に成長していたエリート企業だ。

現在、国内の浄水器フィルター市場で最強の一社であるエンバイオニアは、将来の新成長動力を確保するために、炭素繊維を活用した「薄膜(厚さが1000分の1㎜以下の薄い膜)炭素繊維複合素材」の研究開発(R&D)に焦点を当てしている。

炭素繊維は鋼よりも強度が10倍強いが重さは4分の1にしか過ぎず、既存の金属やプラスチックなどを代替する軽量素材として注目されている。航空・宇宙と防衛産業やスポーツ・レジャー産業から自動車産業に至るまで、幅広く適用されており「未来産業の米」と呼ばれる。世界の炭素繊維市場の規模は、2019年の約47億ドル(5兆4000億ウォン)から2024年には約78億ドル(9兆ウォン)に成長すると予想される。

エンバイオニアが作る薄膜炭素繊維複合素材は、水素燃料電池の部品、自動車の軽量化部品、電磁波遮蔽材などの各種電気・電子部品に広く使われると予想される。最近、各企業が強調するESG経営(環境・責任・透明経営)や親環境エネルギー運動基調とも相まって、需要は急増するものと期待される。

ハン代表は「長い時間を薄膜炭素繊維複合素材の研究開発に投資しており、いまは量産のための設備導入が必要な時点」だとし、「今年の4月に転換社債(CB)と新株引受権付社債(BW)を50億ウォンずつ計100億ウォン規模で発行し、その資金は設備投資に使われる予定だ」と明らかにした。

未来の有望事業が炭素繊維であれば、現在の主力製品は直水型浄水器に使用される「正電荷フィルタ」だ。エンバイオニアは現在、LG電子、クークー、ボディフレンドなど、国内の主要な直水型浄水器メーカーに正電荷フィルタを供給している。直水型浄水器とは、水タンク(貯水槽)なしに水道管にフィルターが付い浄水管を直接つなぐ方式の浄水器を意味する。水タンク型浄水器よりも小さいだけに、設置スペースはそれほど必要でないことから最近は脚光を浴びている製品だ。

エンバイオニアが開発した正電荷フィルタは不織布の表面に正電荷属性を与え、負電荷を帯びる汚染物質を付着させてろ過する方式だ。既存のフィルタよりも通水性(水が通過する程度)がはるかに高く、直水型浄水器の市場普及を誘導した。ハン代表は「既存の浄水器のフィルターは細かい穴を開けた網のように汚染物質をろ過する方式だが、正電荷フィルタは穴のサイズに関係なく、電荷で汚染物質をろ過する方式」だとし、「フィルタの穴を大きくすることができ、水が円滑に出ることから直水型浄水器のすばやい普及が可能となったわけ」だと説明した。

正電荷フィルタは世界市場を3社が寡占しているが、国内では唯一でエンバイオニアが生産している。この会社は正電荷フィルタに加えて、コロナ19体外診断キットに使用される吸湿パッドとサンプルパッド用素材も国内で唯一で生産し、医療機器メーカーに供給している。ハン代表は「尖端素材の開発には多くの時間と費用が必要だが、ひとたび開発に成功したならば、誰でも追従できないことから参入障壁が高い。エンバイオニアが100年以上続く韓国代表素材企業になることができるように、長い呼吸で見守ってほしい」と要望した。
  • 毎日経済 | チョン・ジソン記者
  • 入力 2021-08-05 19:11:20